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2025.01.22
知財ニュース
三井化学、東京科学大学ら、医療用ARグラスの開発に着手―「メタマテリアル」技術で医療用ARグラスが軽量・高性能化
東京科学大学、三井化学と、次世代デバイスのARグラス用ディスプレイおよび空間認識エンジンの開発を手がけるCellid株式会社は合同で、JSTの研究プロジェクトに採択された医療用ARグラスの開発・研究プロジェクトに着手する。
同プロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の2024年度の戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択され、メタマテリアル技術を活用し、素材開発から光学設計、製造技術の確立、ソフトウェアアプリケーションを含めた実装、臨床現場での検証に至るまで一気通貫の体制で実施する。
医療分野でのARグラスの活用として、遠隔での診断支援、手術の前段階のシミュレーションや手術中の生体情報の可視化などが期待されている。
従来のARグラスは重さや大きさから、医療現場での長時間の使用に課題があったが、Cellidの最先端のARグラス技術により、鮮明な画像のARグラス用のレンズを実現し、一般的なメガネレンズと同等の薄さと軽さ、鮮明な画像表示を実現できる見込み。
東京科学大学のメタマテリアル研究とVR手術の知見、三井化学のメガネレンズ素材の開発技術を生かし、CellidはARグラスの設計・実装、ソフトウェア開発、実証実験を担当。医師のフィードバックを基に、医療処置を妨げない視野角の広い表示方式などを目指し、臨床現場での有効性と安全性を検証していく。
Cellidの白神CEOは、医療現場に最適なARグラス開発への大きな一歩だとし、東京科学大学の吉田准教授は、医療処置を補助する革新的なARグラスのデザイン開発に意欲を示した。また三井化学の飯田グループリーダーは、高屈折率かつ成形性に優れた新素材開発「ナノインプリント材料」への取り組みを表明。
同プロジェクト「メタマテリアル技術を活用した医療用ARグラスの実現」の研究は、2024年度~2029年度の期間を予定しており、約3億円の研究費が投じられる。
Top Image : © Cellid 株式会社