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2024.10.29
知財ニュース
海水を飲み水に変換―自己完結型、水・電力供給システム「BeamWell」、ガザや災害地支援に貢献
米サンディエゴを拠点にしたクリーンテクノロジー企業のビーム・グローバル社は、海水を淡水化して飲み水を提供、さらに電気、e-モビリティ(電動バイク)を供給する自己完結型運用システム「BeamWell」を正式リリースしたと発表した。
このシステムは、人道危機に直面している地域における清潔な飲料水、モビリティ、電力に対する重要なニーズに対応するように設計されている。
「BeamWell」は、同社の特許取得済みである移動式の電気自動車(EV)用充電装置「EV ARC」のシステムをベースにした装置だ。安定した浄水供給が不可能な場所や、塩水、汽水、汚水しか利用できない戦場や遠隔地、災害地域で使用するために開発されたのだという。
追跡型太陽光技術(特許取得済み)を使用して、電動バイク用のクリーンエネルギーを生成、貯蔵し、この再生可能エネルギーを使用して海水を淡水化して飲料水を提供、さらに電力、支援物資を届ける手段も提供するプラットフォームだ。
海水を飲み水に変え、それを3,000リットルの統合タンクに貯蔵し、毎日補充。医療機器や通信機器、調理や照明に使用できる電源の提供も可能。また、4台の電動バイクを充電し、食料、水、医薬品など重要な資源を迅速に配布することができる。
完全な自己完結型のため、輸送コンテナで輸送することができ、建設や電気工事、サポートインフラストラクチャ不要、数分で展開することができるとのこと。
最近の推計によると、中東・北アフリカ(MENA)の約6,000万人が清潔で安全な飲料水にアクセスできない状態にあるのだという。2024年10月現在、ガザ地区の水危機は深刻で、紛争の継続と水道インフラの損傷により、約230万人の住民が清潔な水へのアクセスが制限されている。
支援物資には水も含まれているが、その量は全人口のニーズを満たすには著しく不足しており、多くの組織は長期にわたる紛争の間、地域全体で継続的な支援を提供することに苦労しているのだという。
ビーム・グローバル社は配備計画を最終調整中で、同社のシステムをできるだけ早く世界的援助組織を通じて中東に届ける予定だとしている。
Top Image : © ビーム グローバル