News

2021.06.28

知財ニュース

世界初、「水空合体ドローン」をKDDIらが開発─人手不足が深刻な水域インフラ点検を支援

水空合体ドローン

KDDIは、空を飛ぶドローンの一部が離れて水中探索を行う「水空合体ドローン」を開発したと発表した。開発は、KDDI、KDDI総合研究所、産業用ドローン開発を手掛けるプロドローンが共同で実施し、水空合体ドローンの開発としては世界初となる。2021年5月31日には技術実証も完了したという。

水空合体ドローンの機体には、自律飛行する空中ドローン(親機)に、水中の映像伝送と音響測位が可能な水中ドローン(子機)を搭載。空中ドローンで点検場所まで飛んでいき、到着後水中ドローンを分離し点検を行うという形で、ダム・港湾設備点検や水産漁場監視などでの活用を想定している。

水空合体ドローン

本ドローンの操作はタブレットで行う。4GLTEなどのモバイル通信を活用し、飛行・着水・分離・潜航・浮上・回収・帰還といった一連の動作を遠隔で制御する。水中点検時の映像は、子機が操作者へリアルタイムに伝送。水中での子機の位置は、音波で位置を計測するKDDI総合研究所独自の音響計測技術で測る。

分離・回収

 左図:親機から分離した子機が潜行する様子
 右図:子機を回収し水面から離水・飛行する様子

開発の背景には、水産養殖・水域インフラの点検を行う作業者の高齢化・人手不足がある。水中ドローンは以前から作業支援方法として注目されていたが、点検場所まで船を出し機体を運ぶ必要があった。本ドローンは点検場所まで自律飛行して子機を運ぶため、作業負荷軽減・省人化に寄与できる。

3社は今後、2022年度の水空合体ドローン実用化に向け、開発を行っていくという。

ドローンの進化はここ数年加速しており、様々な形態のドローンが誕生している。今回機体開発を行っているプロドローンは、老朽化が進むトンネル内の点検を行う「PD-WL」や人が立ったまま乗れる「SUKUU」なども手掛ける。海外では、トンボの力を借りて飛ばすステルス型ドローン「DragonflEye」なども登場。ドローン技術の進化・自由な発想と共に、ドローン活用はますます加速していきそうだ。

プレスリリースはこちら

Top Image : © KDDI株式会社

広告