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2022.04.19

知財ニュース

3Dバイオプリント培養肉の社会実装へ大阪大・島津製作所・シグマクシスが提携、万博での披露目指す

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大阪大学大学院工学研究科、島津製作所、株式会社シグマクシスは3月28日、「3Dバイオプリント技術の社会実装」に向けた協業に関する契約を締結したと発表した。また、それに先立ち大阪大と島津製作所は、「3Dバイオプリントを応用したテーラーメイド培養肉の自動生産装置の開発」に関する共同研究契約を締結したことを発表。2025年開催の大阪・関西万博で装置の展示や培養肉を使った料理の提供を目指す。

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これまで報告されている培養肉のほとんどは、筋線維のみで構成されるミンチ構造であり、複雑な構造の再現は困難だった。そこで大阪大研究グループは、筋・脂肪・血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それらを束ねて統合する3Dバイオプリント技術を開発した。これにより和牛の美しい“サシ”などの再現が可能。脂肪や筋成分の微妙な調節も可能になり、味や食感、風味、噛み応えなど「美味しさ」に関わる項目はもちろん、栄養分などの含有量といった「機能性」の分析・計測技術も提供する。

今後の協業では、複数種類の細胞ファイバーを同時にプリントしたものを培養し、それを成形して培養肉などを得る、といった一連の工程を自動化するシステムの構築を目指す。大阪大と島津製作所は、3Dプリンターで本技術による培養肉の生産を自動化する装置の協同開発と社会実装を進める。

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スクリーンショット 2022-04-05 19.53.50 ▲3Dバイオプリントを応用したテーラーメイド培養肉自動生産装置のイメージ

さらに発表によると本培養肉技術は、食糧問題、環境問題の解決に加え、ヒトの細胞を活用することで、再生医療や創薬への応用も期待できるなど、社会課題を解決する大きな可能性を有しているとのこと。例えばヒトの臓器モデルを作成することで、動物実験の代替が可能となり、稀少疾患の研究や個別化医療への応用が可能だという。3者は本技術を多様な企業とともに活用することで社会への実装を加速させると述べる。

3者は本活動を通じて、環境・食糧問題の解決や、人々の健康増進、創薬、医療の進化への貢献を目指す。

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Top Image : © Getty Images

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