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2025.01.09

知財ニュース

Dentsu Lab Tokyo、AIの「ハルシネーション」を記録する研究プロジェクトをスタート―限界と創造性を未来に残す

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Dentsu Lab Tokyoは、AIが事実とは異なる情報を提示する「ハルシネーション」に着目した研究プロジェクトをスタートさせた。AI技術の進化とともに、いずれ修正されて消えてしまうであろう現在のAIの「エラー」を記録し、未来に残す試み。

意図的に古いバージョンの生成AIアルゴリズムなどを採用しながら、当時の技術的限界点である様々なHallucinationを収集した2024年度研究報告書「尤(ゆう)」を限定1,000部発行する。本報告書はDentsu Lab Tokyoの関連イベント等で配布予定。

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ケンブリッジ辞典が選出する2023年の「今年の単語」に「Hallucinate」が選出されるなど、AIが引き起こす誤認識「ハルシネーション」が問題になりつつある。

AIのハルシネーションは、例えばチャットボットが間違った情報をあたかも真実のように語ったり、画像生成AIが人間の手をうまく描けずにスパゲティを素手で食べる画像を作り出したりといった現象。他にも、砂漠の画像をポルノと誤認識するなど、様々な問題を引き起こしている。

同社は、これらのハルシネーションを単なるエラーとして片付けるのではなく、なぜそのような問題が起こったのかを分析することで、AIの限界と創造性を理解する手がかりとして捉えられると考え、研究プロジェクトを立ち上げた。

Denstu Lab Tokyo Creative Director土屋泰洋氏は、「例えば8bitゲームの粗いグラフィックやフィルム写真のもたらす独特の色合いやブレ、粒子感などが、今では独特の魅力として愛されているように、現在の技術的限界がもたらすAIのハルシネーションも、未来にとって今の時代を映し出す技術史料としての価値がある。本冊子が、思わぬハルシネーションから新たな創造性を見出すきっかけとなり、テクノロジーとクリエイティブの未来を形作る想像力を刺激するものとなれば」としている。

プレスリリースはこちら

Top Image : © Dentsu Lab Tokyo

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