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2023.05.12
知財ニュース
理研ら、国産初の量子コンピュータを利用できる「量子計算クラウドサービス」の無償提供開始、大阪大学、富士通、NTTらと協力
理化学研究所量子コンピュータ研究センター、大阪大学、富士通、NTTらの共同研究グループは2023年3月27日、量子コンピュータをクラウド公開し、量子コンピュータを外部から利用できる「量子計算クラウドサービス」の提供を開始した。
量子コンピュータとは、「量子重ね合わせ」や「量子もつれ」といった量子力学の基本原理を情報科学・情報処理技術に適用したコンピュータ。従来型のコンピュータ(古典コンピュータ)では容易に解くことのできない複雑な問題を高速で計算を解けることから注目を集めている。
今回の開発にあたり、共同研究グループは、量子コンピュータによる量子計算プラットフォーム構築の一歩として超伝導方式による国産量子コンピュータ初号機を整備。ユーザは理研との共同研究契約を通じて利用手続きを行う。
20世紀後半から急速に発展してきた量子情報科学では、量子力学の基本原理を計算・通信・計測に適用し、従来の技術にない高度な性能を引き出すための研究開発が世界中で進められてきた。理研でも、2001年に量子情報科学の研究を開始し、2021年には量子コンピュータ研究センターを設立。ソフトウェア・ハードウェア両面で広範な研究開発を推進してきた。
また、同研究所は、2021年に富士通株式会社と共同で量子コンピュータ研究センター内に「理研RQC-富士通連携センター」を設立。両者のコンピューティング技術や量子技術の応用に関する知見を統合し、2023年度中に産業への適用に向けた超伝導量子コンピュータの公開に向けた研究開発にも取り組んできた。本連携センターで得られた知見は、今回の「量子計算クラウドサービス」にも活用されている。
同社は、本研究成果が国内の量子情報の研究者育成だけでなく、情報技術分野を基幹とする国内産業の発展に貢献できると期待。今後は、大規模量子コンピュータを従来の半導体集積回路を用いたコンピュータ同様に自由に使えるよう、社会実装を目指すとしている。
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