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2023.10.06
知財ニュース
東芝、高速道路の穴を検知する「路面変状検知AI」を開発─AIでリアルタイムに検知、重大事故防止へ
東芝と東芝デジタルソリューションズ株式会社は2023年9月12日、インフラ保全の国際会議「PHMAP23」で、高速道路に空いた穴を検知する「路面変状検知AI」を開発したことを発表した。
「路面変状検知AI」は、重大事故につながる可能性のある路面の穴(ポットホール)をリアルタイムかつ高精度に検知するシステム。世界初(※東芝調べ)となるポットホール検知に「弱教師学習」を適用したAIモデルの開発により、緊急補修が必要なポットホールの早期発見を実現し、日常点検の自動化・省力化と高速道路の保全と長期的な安定稼働に貢献する。
国内では、開通から30年を超える高速道路が5割以上を占め、老朽化による路面変状が増加している。加えて、ポットホールは、路面の変状から比較的短期間で路面損傷へと進展するため早期の発見と修繕が不可欠となる。しかし、従来ポットホールの定期点検は目視で行われており点検品質にばらつきがあるほか、都度停車しなければならないため時間的なロスも大きかった。
本AIでは、点検員が乗車する車両にカメラを搭載し、収集した画像にAIを適用することで、ポットホールを検出。さらに、変状の有無を選別して学習させることで画素から変状箇所を推定できる「弱教師学習」の手法により、画像の学習データ作成時間を従来の作業時間よりも約1/100に短縮し、時間とコストの大幅な削減を実現している。
また両社は、本AIの有効性を確認するため、2022年9月から中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)との実証実験を実施。NEXCO中日本管轄内の高速道路から収集した画像から作成した学習データで追加学習したポットホール検知モデルを用いた結果、検知精度が23%向上したほか、路面外の過検出を77%から4%に低減できたという。
両社は今後もNEXCO中日本と実証実験を進め、緊急補修が必要なポットホールの検出精度の向上に貢献するとともに、2024年度のポットホール検知システムの実用化を目指すとしている。
Top Image : © 株式会社 東芝