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2025.06.06

知財ニュース

名建築を「泊まれる文化資産」化して次世代に引き継ぐ kessaku、資金調達で事業を加速

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歴史的建物などの名建築の保全・活用を推進するkessaku(ケッサク)は、2025年5月30日、第三者割当増資を実施した。活用されていない名建築を再生し、共同継承するプラットフォーム「kessaku」を軸に、事業を展開している。今回の調達で、シードラウンドでの累計調達額は8,000万円を超えた。

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FireShot Capture 298 - How it works - Kessaku - Become an Owner of Unique Architectural He - -kessaku.com-

「kessaku」では、歴史的・文化的に高い価値を持つ建築物のオーナー権を購入できる。クラウドファンディング型のサービスで、オーナー権を365口に小口化。1口購入につき、毎年1泊分の宿泊利用権が付与される。

オーナーは、別荘やセカンドハウスとしての利用に加え、貸し出して収益を得ることが可能。資産として保有・活用しながら、名建築や歴史の保全に貢献できる。建築物のリノベーションはもちろん、保全・メンテナンスや清掃などもkessakuが担うため、維持管理の負担もない。さらに、購入したオーナー権を他人に売ることも可能だ。

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事業の背景には、日本の歴史的・文化的な建築物が姿を消している現状がある。近年、老朽化に伴う解体などにより、数百件単位の有形文化財(建造物)の登録が抹消されている。原因の1つは、個人所有のまま築年数が経過し、管理や修繕が困難になっていること。価値ある建築物が活用されず、多くが空き家化している。特に欧州と比べるとその傾向は顕著だという。

一方で、訪日外国人による歴史的な建物での宿泊ニーズは高く、物件購入を希望する人も少なくない。そうした時代の流れを踏まえ、2024年2月、kessakuを設立。岡山県矢掛町(旧山陽道の宿場町)での豪商の邸宅の再生を皮切りに、「kessaku」の事業化をはじめた。

現在進行中のプロジェクトは、前述の岡山県の邸宅と富山県南砺市(五箇山文化圏)の古民家で、いずれも販売を終了。新たに、京都府京都市の町家のプロジェクトに着手しており、2026年6月の販売開始を予定している。順調に事業を拡げており、今回の調達に至った。第三者割当増資は、シードラウンド向けのベンチャーキャピタルであるTHE SEEDが引き受けた。

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調達した資金は、日本各地に残る旧宿場町・城下町・旧街道沿いの名建築を対象とした新規プロジェクトの展開や、設計・施工・運営体制の強化、地域社会との共創を通じた持続可能な観光資源化などに充てる。名建築の持続可能な保全と活用を実現する「新たな社会インフラの構築」を目指し、事業を加速させる方針だ。

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「kessaku」公式サイト

Top Image : © 株式会社 kessaku

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