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2023.04.21

知財ニュース

Amazonが生成AIに本格参入─文章生成・要約・画像生成など、生成AIをAPIで利用できる「Amazon Bedrock」を発表

Bedrock

米Amazon Web Services(AWS)は現地時間4月13日、テキストや画像などの生成AIをAPIで利用できる新しいサービス「Amazon Bedrock」を発表した。併せて生成系の言語モデルとして「Amazon Titan」を公開。さらに生成AIに最適化したAWSインスタンス(クラウド上の仮想サーバ)やAI開発のサポートツールを一般提供すると明らかにした。

Open AIのChatGPTをはじめとする生成AIが世界中で盛り上がりを見せる中、Amazonの動向が注目されていたが、今後は生成AIの市場へ本格参入する形となる。

Amazon Bedrockは、APIで生成AIの基盤モデルを利用できるサービスだ。基盤モデルとは、事前に膨大な量のデータでトレーニングを行った機械学習モデルを指す。Amazon Bedrockの提供により、AWSのクラウド環境で生成AIの基盤モデルを活用でき、生成AIのアプリケーション構築や拡張が可能となる。

Amazon Bedrockで利用可能な基盤モデルは4つある。AI21 Labsの多言語対応可能な言語モデル「Jurassic-2」や、テキストから画像生成を行うStability AIの「Stable Diffusion」などで、今回発表したAmazon Titanもその1つに含まれる。

Amazon Titanは大規模言語モデルで、要約やブログ記事のテキスト生成などが可能。また単語やフレーズなどのテキストを数値表現(埋め込み表現)に変換する機能もある。Amazonが20年以上にわたって取組んできたAIと機械学習の経験を用いて構築したという。

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Amazon Bedrockの開発は、顧客の要望も踏まえて進められたという。顧客からは、目的にあった基盤モデルへアクセスできることや、量の多少を問わずに社内データを活用したアプリケーション構築が可能なこと、データ利活用のコントロールが可能で安全性・機密性が保持できることなどの要望が出ていた。

そこでAmazon Bedrockでは、基盤モデルのカスタイマイズを簡易化。大量のラベル付データの用意や読み込みを不要にしている。Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)にある20例ほどのラベル付きサンプルを読み込ませるだけで、モデル調整が可能という。

例えば、小売業者のキャッチコピー検討では、過去のキャンペーンで効果を上げたキャッチコピーと関連商品の説明をいくつかラベル付けして学習させれば、Amazon BedrockがSNSやWebなど各媒体向けの新しいキャッチコピーを自動生成してくれる。

また、データはすべて暗号化され、各企業の仮想プライベートクラウドに留まるのも特徴。個人情報や機密情報の保護に配慮した仕様となっている。

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Amazon Bedrock は現在、限定プレビュー版を提供中。Amazon Titanも数社の企業にプレビュー版を提供しており、今後数カ月のうちに提供範囲を広げていくという。AWSの参入により、生成AIの社会実装が加速すると期待される。

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「Amazon Bedrock」プロダクトサイト
「Amazon Titan」プロダクトサイト

Top Image : © Amazon Web Services, Inc.

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