No.1056

Tech Direction Awards受賞作品

2025.08.05

あらゆる言葉から触り心地を生成するAIシステム

FANTOUCHIE

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概要

「FANTOUCHIE」とは、入力した言葉から触り心地を生成するAIシステム。テキスト入力から触覚フィードバックを生成し、振動スピーカーを通じて出力する。開発の過程では、ピエゾセンサを搭載した爪型デバイスを実装し、さまざまな素材の触り心地を音として収集。これらの音データとオノマトペを紐づけることによって、独自のデータセットと触覚生成モデルを構築した。「ユニコーンの角」のような架空のものの質感も表現できることを特徴としている。現在の生成AIは、視覚や聴覚の領域では革新的な成果を上げているが、物理的な触覚体験の創出については、まだ大きな可能性が眠っている。言葉から触覚を生成することで、デジタルとフィジカルの架け橋となることを目指している。

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なぜできるのか?

触り心地の音と42種類のオノマトペが紐づいたデータセットを構築

ピエゾセンサを搭載した爪型デバイスを開発し、岩、砂、布、樹脂、革、ゴム、紙などのさまざまな素材の音を収集し、収集した触り心地の音と42種類のオノマトペ(擬音語・擬態語)を紐付けた。さらに各オノマトペを感性AI株式会社が開発したイメージ分析AIツール「感性AIアナリティクス」により43の項目で評価し、数値化することで、安定したモデル構築を実現している。

架空の言葉からでも触感の生成が可能

「洗濯したてのタオル」や「ユニコーンの角」のような架空の質感を含むテキストからも触り心地の音を生成できる。さらに振動スピーカーを用いてフィードバックを行うことで、ユーザーが様々な触り心地の体験が可能となる。

既存のコンテンツやサービスに追加し新たな体験価値を提供

既存のコンテンツやサービスに新たな体験価値を追加し、ユーザー体験を向上させることが可能。例えば、小説に含まれる言葉をもとに触り心地の音を生成することで、「文章が触覚としても伝わる」新しい読書体験を提供することができる。さらに想定される活用例として、没入感を高めるゲームや、楽曲の世界観を触覚で体感する没入型音楽体験の創出なども挙げられる。触り心地に着目した製品やソリューション開発への活用も可能。障がいの有無に関わらず楽しめる製品やコンテンツ、サービスの開発、触覚フィードバックを活用した新しいアクセシビリティの可能性の開拓などが想定される活用例として挙げられる。

相性のいい産業分野

教育・人材

触感でのリアルな体験を通じた学校教育やビジネス現場での人材育成への活用

ロボティクス

ロボットのさらなる触覚フィードバックの精度向上への活用

アート・エンターテインメント

ゲームや読書、美術館、博物館でのさらなる没入体験への活用

旅行・観光

VRとの連携でリアルな観光体験を提供

メディア・コミュニケーション

翻訳ツールへの展開など、グローバルコミュニケーションへの活用

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Dentsu Lab Tokyo