No.1057
Tech Direction Awards受賞作品
2025.08.05
AIを用いたラップバトル形式のディベート生成システム
Debate Generation System in Japanese Rap Battle Format

概要
「Debate Generation System in Japanese Rap Battle Format」とは、日本語ラップバトル形式のディベート生成システム。テーマをインプットすると、生成AIが2つの異なる意見を生成し、フリースタイルラップバトル形式でそれぞれの主張を展開する。苦手意識を持つ人も少なくない議論をエンターテインメント化するため、ラップバトル形式で視聴できる独自のシステムを構築。文脈・相手の主張・ビートを踏まえながら、韻を考慮したリリック(歌詞)を生成し、「フェイクニュースの規制」などの社会課題から「今日の晩ごはん」といった身近な話題まで対応する。視聴を通じて、多様な視点や自分の意見を持つきっかけをもたらし、世代・特性を問わず自由に意見表明できる社会づくりを後押しすると期待されている。
なぜできるのか?
AIによる日本語ラップ形式でのディベート生成
AIを用いて2つの異なる意見と意見に基づいた即興ラップを生成している。対話ラリーで行う一般的なラップバトルの形式をもとに、ディベートする際の制約・ルールなどを盛り込んだプロンプトを作成。文脈内学習として生成AIに事前に与え、指定テーマに応じてラップバトル形式でディベートを生成するAIを構築した。単に主張をやり取りするだけでなく、日本語ラップ特有のリズムと韻を考慮したリリック(歌詞)を生み出すことが可能。また、進行中の議論の文脈認識や、相手の主張に対する応答ができ、一貫性のあるラップバトルを展開できる。
パフォーマンスを行うシステムの構築
ラップバトル形式のディベートを手軽にパフォーマンスできるWebシステムを構築した。ユーザーがテーマを入力するだけで、ラップバトル形式のディベートが自動的に始まる。生成したリリックと相互のやり取りは映像で表現。音楽のリズムに合わせてテキストを音声変換できる音声合成技術を搭載しており、ビートにのせてラップを刻む。映像と音響を組み合わせたオーディオ・ビジュアルパフォーマンスで、ライブ感のあるラップバトルを提供する。
「Brain Rap」をベースとした開発
脳波を用いたラップバトル「Brain Rap」のシステムがベースにある。脳波で選択した言葉に基づきリリックを生成するAIシステムで、2019年開催のALS啓発音楽フェス「MOVE FES. 2019〜NO LIMIT, YOUR LIFE.〜」で公開された。Dentsu Lab Tokyoは、システムの企画・プロデュースを担当。当時のリリック生成チームが中心となり、社内外のAI専門家などと連携しながら、「Debate Generation System in Japanese Rap Battle Format」を構築した。構築したシステムは、コンピュータグラフィックス・インタラクティブ技術の国際学会「SIGGRAPH Asia 2024」の「Real-time Live!」で発表。セッションの最高賞である、「BEST OF SHOW AWARD」を受賞した。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
SNSの動画配信に用いて問題提起や意見醸成を促進
会議・商談のアイスブレイクやアイデア創出のきっかけに活用
- 教育・人材
議論を楽しむマインドや多角的な視点を持つ教材として活用
- アート・エンターテインメント
イベントや展示会などでインタラクティブ体験のコンテンツとして展開
- IT・通信
課題や悩みごとをラップバトルで俯瞰し解決を促すツールの開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。
Top Image : © Dentsu Lab Tokyo