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2025.09.01
知財ニュース
国内初、日本円建てステーブルコイン「JPYC」金融庁が承認―今秋発行へ

JPYC株式会社は、2025年8月18日付で資金決済に関する法律(資金決済法)第37条に基づく「資金移動業者」(登録番号 関東財務局長 第00099号)の登録を得たと発表した。これにより、国内で最初の、日本円と1:1で連動する電子決済手段(ステーブルコイン)を発行可能な資金移動業者となった。
ステーブルコインでは、米ドル連動のUSDT(Tether社)やUSDC(Circle社)が先行して広く流通しており、その市場規模は2,500億ドルを超えている。また、米国ではステーブルコインを対象とするGENIUS法が2025年7月に成立して整備が進んでいる。さらに、USDCを発行するCircle社は2025年6月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場するなど、ステーブルコインの普及に向けた動きが加速している。
JPYCはこれまで、前払式支払手段として日本円建トークン「JPYC Prepaid」を発行してきたが、今回の資金移動業者の登録を得たことで、国内資金移動業者としては初めて、より幅広い利用シーンに対応可能なステーブルコイン「JPYC」の発行を開始する。
「JPYC」は、資金移動業型電子決済手段(ステーブルコイン)で、日本円と1:1で交換可能な日本円建ステーブルコインであり、裏付け資産は日本円(預貯金および国債)によって保全される。これにより、ユーザーは同額の日本円に償還できるステーブルコインを利用できる。今回の資金移動業で発行される日本円建ステーブルコインJPYCはEthereum、Avalanche、Polygonの3つのチェーンで発行を予定している。
同社は、アステリア株式会社と連携し、「JPYC」の決済データをノーコードで連携することの出来る「ASTERIA Warp」専用「JPYCアダプター」を開発することも発表されている。
「ASTERIA Warp」専用「JPYCアダプター」は、日本円建ステーブルコインJPYCのトークン送受を、企業の財務会計システム、基幹システム、クラウドサービス等とノーコードで直結し、資金移動を自動化、高速化するなど、企業システムとして実装できる仕組みを実現する。10,000社を超える企業での採用実績のあるASTERIA Warpを使うことで一般企業へのステーブルコインの普及を促進し、企業間の資金移動のみならず、将来的な環境整備によりEC事業やデジタル給与振込等への活用も期待できる。
ステーブルコイン「JPYC」は、資金決済法第2条第5項に基づいた「電子決済手段」であり、「暗号資産(仮想通貨)」とは全く異なるものだ。日本円(預貯金および国債)を裏付け資産としており、日本円と1:1で価値が連動するように設計されている。他方、「暗号資産(仮想通貨)」は、価格が常時変動しやすい性質を有しており、法定通貨への換価が保証されているものでもない。また、同社は、暗号資産交換業を行うものではないとしている。
Top Image : © JPYC 株式会社