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2021.12.03
知財ニュース
集英社が「集英社XR」を発足、XR体験の提供を目指す─「ポケモンGO」の米Nianticとパートナー契約締結
集英社は、2021年11月、新規事業開発部の中に「XR事業開発課」を新設し、同社のXR事業として「集英社XR」を開始した。 XRとはクロスリアリティの略称で「超越現実」を指し、一般的にはVR(仮想現実)/AR(拡張現実)/MR(複合現実)の総称とされる。集英社XRではVR/ARなどに留まらず、5G以降の未来のインターネットを活用した新しいXR体験の提供を目指すという。
集英社XRが目指すものは大きく3つある。社内のメディア全般をXR化すること、XRを軸とした新たなパートナーシップをもとにビジネスモデル変革を行うこと、そしてXRシステムの構築・運用を行うこと。その実現のために集英社は、IoTにおけるシステム企画開発やVRコンテンツ制作などの事業を展開している株式会社ティーアンドエスと業務提携を結んだ。
ティーアンドエスは、VR/ARやプロジェクションマッピングなど最新テクノロジーを活用した制作やプロデュース、事業支援などを行っている。ソフトバンクの5Gプレサービスの1つとして、バスケットボール日本代表国際親善試合向けにARコンテンツを開発・提供したり、デジタルアート展で同社制作コンテンツが受賞するなど、多数の実績を持つ。
ティーアンドエス制作の作品「Stillness」。3次元的な映像と音を用い禅の世界観の一端を表現。2020 アジアデジタルアート大賞展FUKUOKAエンターテインメント(産業応用)部門、大賞/経済産業大臣賞を受賞。
さらに集英社は、ARプラットフォームを開発し世界展開しているNianticと「Niantic Lightship ARDK」に関するパートナーシップ契約を締結。Niantic Lightship ARDKとはAR開発者に広く提供されている開発ツールで、その技術は「Pokémon GO」「Pikmin Bloom」などの基盤にも用いられている。集英社XRは、NianticのAR技術と地球規模のインフラ活用により、日本だけでなくグローバル規模での展開も視野に入れているという。
2019年3月にNiantic、ポケモン社、ソフトバンクが共同制作で実施した「Pokémon GO AR展望台」。MR等アプリケーション開発をティーアンドエスが手がけた。
集英社はまた、集英社XRのプロジェクトは単独で取り組むのではなく、コラボレーションを積極的に取り入れる方針。これまでの取引先に加え、新たな価値創出につながる各産業の企業と積極的にパートナーシップを締結する意向を示している。同社はそれにより、日本のメディア・知的財産・エンターテインメントの活性化を目指していくという。
Top Image : © 株式会社 集英社