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2024.12.11
知財ニュース
スタバが紙ストロー廃止、バイオプラ製に切り替え、飲み心地を改善―25年3月から全国展開へ
スターバックス コーヒー ジャパンは2024年12月6日、生分解性を持つ植物由来のバイオマスプラスチック製ストローを導入すると発表した。口当たりや耐久性などに課題感があった紙製ストローの代わりとして、順次切り替える。2025年1月より沖縄県内のスターバックス全32店舗に先行導入し、同年3月以降、全国の店舗に展開する。
新ストローは、カネカが展開する生分解性バイオポリマー「Green Planet」製。アイスコーヒーや通年提供するフラペチーノなどのレギュラーストローから切り替える。2025年4月上旬を目途に、季節のフラペチーノなどに使用する太い口径のストローにも導入する予定。新ストローにより、「なめらかな飲み心地で、時間が経過しても変わらない飲用体験」を提供するという。
「Green Planet」は、植物油などを原料に用い、微生物によってつくられたポリマー(PHBH;3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート重合体)だ。生分解性を持ち、土壌中や海洋中の微生物によって水と二酸化炭素(CO2)まで自然分解されるため、環境負荷を抑えられる。
1990年代前半からカネカが開発を進め、土の中でポリマーを作り出す微生物を発見。バイオ技術など独自技術を結集して試行錯誤を重ね、世界で初めて工業化に成功した。加工性が高く、ストローやカトラリー、レジ袋、包装材などに活用されている。2024年4月には、ソニーが大型テレビ梱包時の緩衝材に採用した。
スターバックスは、ストロー以前にも「Green Planet」を活用してきた。2022年3月には、持ち帰り用のフォーク・ナイフ・マドラースプーンなどのカトラリーに導入。石油由来のポリスチレン製カトラリーの代替として、全国の店舗に展開した。同社は新ストローの導入により、ライフサイクル全体で紙製ストローよりもCO2排出量を低減できると見込んでいる。
2020年1月から開始した紙ストローの提供も環境負荷低減の取り組みの1つで、当時注目を集めた。2021年9月には太い口径のストローも紙に変更し、石油由来のプラスチック製ストローを全廃。一方で、消費者から「時間が経つとふやける」「飲みづらい」という声が出ていた。同社は今回、そうした顧客の声を受け止めストローを変更。「飲み心地の良さと環境負荷低減を両立」するという。
Top Image : © スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社