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2023.12.18
知財ニュース
QPS研究所の小型SAR衛星5号機「ツクヨミ- I」打ち上げ成功─36機の衛星コンステレーション構築へ前進
QPS研究所の小型SAR衛星「QPS-SAR」 5号機(愛称:ツクヨミ- I )は日本時間12月15日、米Rocket Lab社のロケットで打ち上げられ、軌道投入に成功した。打ち上げは同日13時05分(日本時間)、ニュージーランド・マヒア半島のオネヌイ射場で実施し、14時02分に高度約575kmで軌道投入。約40分後には初交信に成功し、衛星の正常動作を確認した。
「QPS-SAR」は、QPS研究所が開発した高精細小型レーダー衛星で、夜間や天候不良時でも地球観測が可能。100キログラム台という世界トップレベルの軽さとアンテナ収納力の高さに特徴を持つ。大型アンテナを搭載しており、画像解像度は1m以下と高精度に観測できる。
5号機となる「ツクヨミ- I」は当初、米Virgin Orbit社のロケットで、2023年初頭に打ち上げ予定だった。しかしVirgin Orbit社の打ち上げ失敗に伴う事業停止で実施を延期。2023年8月、Rocket Labと新たに打ち上げに関する契約を締結し、今回の打ち上げに至っている。
QPS研究所は衛星の軌道ごとに愛称を付けており、「ツクヨミ- I」は、日本神話の月読命(ツクヨミノミコト)をもとに設定。それを踏まえて、Rocket Labとの打ち上げミッション名を「The Moon God Awakens」と名付けている。
同社は日本時間12月16日朝、「ツクヨミ- I」の収納型アンテナの展開を実施。展開に成功したとして、衛星のアンテナの一部分を撮影したセルフィー画像を公開した。
QPS研究所は、36機の小型SAR衛星コンステレーションを構築し、概ね地球上のどこでも平均10分以内に画像撮影して観測データを取得することを目指している。2025年以降の構築に向け3号機から衛星を改良。2022年に3.4号機の打ち上げを行ったが、ロケットの不具合で失敗した。
2023年6月には、SpaceX社のロケットで先行して6号機の打ち上げを実施。軌道上でのアンテナ展開を完了している。今回の5号機は、コンステレーション構築に向けた2機目の成功となる。今後の進展が期待される。
Top Image : © 株式会社 QPS研究所