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2025.06.11
知財ニュース
国土交通省、首都圏外郭放水路をマインクラフトでリアルに再現―ゲーム内で探検しながら治水施設の仕組みを学習

国土交通省江戸川河川事務所は、管理する「首都圏外郭放水路」を世界的な人気ゲーム「マインクラフト(Minecraft)」の世界にリアルに再現した。プレイヤーがゲーム内で探検しながら治水施設の仕組みやインフラ整備の重要性を学べ、子どもたちが主体的に防災知識を身につけられる設計になっている。
マインクラフトとは、プレイヤーが自由な発想でゲーム内の空間(ワールド)を探索し、建築、冒険、実験などを楽しむことができる創造性の高いゲームとして、小学校などでもプログラミングの学習教材として活用されている。
首都圏外郭放水路は、埼玉県春日部市に位置し、「地下神殿」とも称される壮大な地下施設だ。毎秒200立方メートルの排水能力を誇り、豪雨時に河川の氾濫を防ぐための重要な役割を担っている。
今回作成されたワールドデータでは、首都圏外郭放水路の施設を自由に探検できるほか、首都圏外郭放水路の職員が洪水時に行っている施設の操作や洪水調節が終わった後の維持管理を疑似体験することができる。プレイヤーに楽しんでもらうため、実際の作業は一部デフォルメされている。
「ポンプ稼働シミュレーション」では、首都圏外郭放水路の役割を理解してもらうために、ワールド内に大雨が降り、洪水が発生した状況を設定している。プレイヤーは、ゲート操作を行い、地下トンネルに洪水を取り込むとともに排水機場のポンプを稼働させ江戸川に洪水を排水することで、周辺地域の浸水被害を防ぐ。
「地下神殿の泥清掃体験」は、地下神殿(調圧水槽)に水が流れ込むと、細かい土砂も一緒に入ってきてしまう。そのため、洪水調節が終わった後は広大な調圧水槽の泥掃除をしなければならない。プレイヤーはブルドーザーを使い、東京ドームのグラウンド約1つ分の広さの泥掃除を行う。
この取り組みは首都圏外郭放水路の防災ツーリズムにおける8つのパワーアップ計画の一つなのだという。
ワールドデータの設計にあたっては、実際の設計図を基にマインクラフト用に落とし込み、リアルさを追求。さらに、普段立ち入ることができない場所や設備の機能もゲーム内で確認できるなど、マインクラフトならではの楽しみ方も盛り込まれている。
さらに、「マインクラフト」を利用した新コース「マインクラフト防災学習コース」が6月から登場する予定だ。参加者はゲームを通じて、首都圏外郭放水路の防災機能やその役割について深く理解することができ、より実践的な防災知識を身につけることができる。
Top Image : © 国土交通省江戸川河川事務所