News

2023.05.19

知財ニュース

視覚に頼らない新しい食体験「DIVERSUSHI」をTBWAが企画・開発─落合陽一氏、成澤俊輔氏が発起人

DIVER

TBWA HAKUHODOは5月15日、目の見えない人も見える人も一緒に楽しめる食体験「DIVERSUSHI(ダイバースシ)」プロジェクトを始動したと明らかにした。

発起人は、メディアアーティストの落合 陽一氏と、社会起業家で“世界一明るい視覚障がい者”の成澤 俊輔氏。TBWA HAKUHODOが企画・開発を担っている。スタートに伴い、同日15日より、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で第1回目の食事会イベントの支援募集を開始した。

「DIVERSUSHI」は、「Diversity(多様性)」と「Sushi(寿司)」からなる造語だ。寿司そのものではなく、「手で直接、一口で食べられる」寿司の食べ方をヒントにした、「誰もが食べやすい食事方法」を意味する。

プロジェクトでは、その食べ方をフランス料理やイタリア料理、中華などあらゆる料理にインストールし、新しい食体験の可能性を開拓することを目指している。スープやドリンクなど、液体もその対象に含んでいる。

Sushi1

プロジェクト発足のきっかけは、落合氏と成澤氏の何気ない会話にあった。「なんでも食べていいと言われたら、何が食べたいですか?」という落合氏の問いに対し、成澤氏が「う〜ん、寿司がいいです」と回答。その会話から、寿司が視覚障がい者にとって食べやすい食べ方だという発見に辿り着いたという。

箸やフォークなどを使う場合は、位置や距離感、高さを把握し、調整しながら口に運ぶことになる。また切り分ける必要があるものも、目が見えない人にはハードルが高い。その点、寿司は直接、手から口に運べる。さらに一口で食べられるため、こぼさず綺麗に食べられるかという不安を感じずに安心して食べられるという。

sushi2

メニュー開発には、ミシュランを11年連続で獲得した 村山 太一シェフと和の料理人 五十嵐 美雪シェフが参画。「食器を使わず、手で食べられること」「こぼす心配なく、一口で食べられること」「視覚に頼らない工夫をすること」という3つのポイントを設定して、開発を進めている。

「DIVERSUSHI」の食事会では4~5品の料理を提供予定。「視覚に頼らない工夫」では、落合氏と共に素材の音や調理の音をテクノロジーと組み合わせた空間演出も予定しているという。

sushi3

メニュー検討にあたってはさらに、視覚障がい者が食べたいものを探求するAIアプリ「ochyAI」を開発。ochyAIは、視覚障がい者が普段食事をする際に感じている「食べたいもの」「難しいこと」「困ったこと」「楽しかったこと」などを入力すると、オリジナルレシピを生成する。アプリは、視覚障がい者にヒアリングを重ねて開発を進めたという。

食事会は、2023年7月2日に東京都内で開催予定。クラウドファンディングは、6月16日まで実施を予定している。今後は、「DIVERSUSHI」という食べ方が、ハラールやヴィーガン、コーシャのように、世界中のレストランに導入される日を目指すとともに、「DIVERSUSHI」活動の全国展開を目指すという。

ニュースリリースはこちら
READYFORの「DIVERSUSHI」プロジェクトページ

Top Image : © 株式会社 TBWA HAKUHODO

広告