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2024.09.24
知財ニュース
Google、AIで咳音を解析する「HeAR」発表―結核の早期検知に期待
Google Researchは、AIで人の咳を分析して病気を検知する生体音響基礎モデル「Health Acoustic Representations(HeAR)」を発表した。
「HeAR」は、3億個の音声データを使用してトレーニングされ、特に咳のモデルは約1億個の咳の音を使用してトレーニングされている。これにより、咳の音を聞き取り、結核などの病気の早期兆候を知らせることができるのだという。
「HeAR」は、健康関連の音のパターンを判別することを学習し、医療用音声分析の強力な基盤を構築する。「HeAR」は幅広いタスクにおいて他のモデルよりも高いランクを獲得し、健康関連の音響データで意味のあるパターンを捉える優れた能力を発揮することがわかった。
また、「HeAR」を使用してトレーニングされたモデルは、より少ないトレーニングデータで高いパフォーマンスを達成したとのこと。これは、データが不足しがちな医療研究の世界では重要な要素なのだという。
AIを使用して咳の音を分析し、肺の健康状態を評価する「Swaasa」を開発したインドを拠点とする呼吸器ヘルスケア企業「Salcit Technologies」は、「HeAR」がバイオ音響AIモデルの機能を拡張するのにどのように役立つかを検討している。同社の「Swaasa」が、「HeAR」を使用して咳の音に基づく結核の早期検出の研究と強化に役立てているとのこと。
結核は治療可能な病気だが、毎年何百万もの症例が診断されずにいる。これは多くの場合、人々が医療サービスに簡単にアクセスできないことが原因なのだという。結核を根絶するには診断の改善が不可欠であり、AIは検出を改善し、世界中の人々がよりアクセスしやすく手頃な価格で治療できるようにする上で重要な役割を果たすことができる。
「Swaasa」は、機械学習を使用して病気の早期発見を支援してきた実績があり、場所に依存しない機器不要の呼吸器系健康評価を提供することで、アクセスしやすさ、手頃な価格、拡張性のギャップを埋めている。「HeAR」では、この研究を基にインド全土で結核のスクリーニングをより広範囲に拡大する機会があると考えている。
Stop TB Partnershipのデジタルヘルス専門家であるZhi Zhen Qin氏は、「HeARのようなソリューションは、AIを活用した音響分析を可能にし、結核のスクリーニングと検出に新たな境地を開き、最も必要としている人々に、影響が少なく、アクセスしやすいツールを提供するだろう」と述べている。
Top Image : © Google Research