News
2021.07.28
知財ニュース
東大バイオデザイン、研修効果を「デザイン思考テスト」で数値測定─受講者の創造力を実証
VISITS Technologiesは、自社が手掛ける創造性を測るツール「デザイン思考テスト」が東京大学の研修効果測定に導入されたと発表した。活用されたのは、東京大学バイオデザイン(スタンフォード式デザイン思考プログラム)の研修プログラムの効果測定。非受講者とのスコア比較で、受講生の創造力の高さが実証されたという。
東京大学バイオデザインとは、スタンフォード大学のDr. Paul Yock氏らがデザイン思考をもとに開発した、医療機器イノベーションを牽引する人材育成を目指すプログラム。イノベーションは、特定の既存技術や分野に依存せず、医療現場での未解決ニーズを出発点に、医学・工学・ビジネスなどを融合し現場で求められる医療デバイスを創出することを指す。2015年にスタンフォード大学と日本の3大学(東京大学・大阪大学・東北大学)が協力協定を締結し、取組みを開始。社会人や学生を対象に、毎年プログラムの受講者を募集している。
▲バイオデザインプログラムのプロセス ( 1. 医療現場の未解決ニーズの特定 2. 問題を解決する医療デバイスの開発 3. 事業化を通じたイノベーションの実現 )
東大は、同プログラムの研修効果を定量把握するためデザイン思考テストの導入を決定。テストは2021年5月に実施し、受講者17人と非受講者20人に受検させた。結果、受講生は非受講生との比較で、単位時間あたりのアイデア数が約1.5 倍、創造力スコアが約1.3 倍と、受講生の創造力の高さが実証されたという。
デザイン思考テストは、従来測定が難しかった課題発見力や解決策を考え出す発想力、目利き力などを測定するテスト。VISITSが独自開発した特許技術(Consensus Intelligence技術)で創造性を客観的に数値化し、デザイン思考スコアとして算出する。新しい生活様式など変化の大きい環境下で、イノベーション創出を担う人材の採用・発掘・育成を目的に、企業や教育機関での導入が増えているという。
受講者がデザイン思考で高スコアを獲得
デザイン思考テストの導入実績
VISITSは、「AIを超える技術で社会価値を創造する」を掲げるテック企業で、2014年に創業。従来の仕事がAIに代替される未来を見据えて人が持つ「創造性」に着目、定量化を行う独自技術を開発した。その技術を活用し、「センス」「スキル」「人脈」といった定量化が難しい「感覚的な資産」の数値化も将来視野に入れている。
VISITSは今後、日本のイノベーション・DXの加速を支援するプロダクト開発などに取組んでいくという。
AIに人間の仕事が代替しても、未来の社会では今はない新しい仕事が生まれていくかもしれない。人の創造力は、きっと機械や既成を超え、新しい未来を拓いていくだろう。
Top Image : ©VISITS Technologies株式会社