News
2024.06.25
知財ニュース
Microsoft、1分以内に5日間の大気汚染予測と10日間の天気予報を作成できるAI基盤モデル「Aurora」を発表
Microsoftは、1分以内に5日間の世界規模の大気汚染予測と、10日間の高解像度の天気予報を作成する最先端のAI基盤モデル「Aurora」を開発したと発表した。
2023年11月に嵐キアランがヨーロッパ北西部を襲い、現在の気象予測モデルの限界が露呈され、気候変動に直面してより正確な予報の必要性を浮き彫りにした。また、最も高度なAI気象予測モデルでさえ、嵐キアランの急激な激化と最大風速を捉える上で課題に直面していることが強調された。これらの課題に対処するために、マイクロソフトの研究者チームは、最先端のAI基盤モデルであるAuroraを開発した。
Auroraは、天気と大気のプロセスを高解像度で予測するための13億のパラメータ基盤モデルだ。1分以内に、5日間の世界規模の大気汚染予測と10日間の高解像度の天気を予測することができるのだという。
100万時間を超える多様な気象および気候データでトレーニングされており、データがまばらな地域や極端な気象シナリオでも、幅広い予測タスクで優れた性能を発揮することが可能だ。また、最先端の数値予報システム「統合予報システム(IFS)」に比べて、Auroraの計算速度は約5,000倍向上すると推定されている。
その優れた精度と効率性に加え、気温や風速から大気汚染レベルや温室効果ガスの濃度まで、幅広い大気変数を予測することが可能。空間と圧力レベルにわたるさまざまな大気変数を処理して予測できる。
代表的な例としては、Copernicus Atmosphere Monitoring Service(CAMS)のデータを使用した大気汚染レベルの予測能力だ。0.4°の解像度で5日間の正確な地球大気汚染予報を生成し、ターゲットの74%で最先端の大気化学シミュレーションを上回ったとのこと。これは、データがまばらなシナリオや非常に複雑なシナリオでも、幅広い環境予測問題に取り組む優れた適応性と可能性を実証しているのだという。
また、この研究の主な発見の1つは、多様なデータセットで事前トレーニングを行うと、単一のデータセットでトレーニングする場合と比べて、Auroraのパフォーマンスが大幅に向上するということだ。気候シミュレーション、再解析製品、運用予測のデータを組み込むことで、大気の力学をより堅牢かつ一般化可能な形で表現する。その規模と多様な事前トレーニングデータコーパスのおかげで、Auroraは幅広いタスクと解像度において最先端の数値気象予測モデルや特殊なディープラーニングアプローチを上回るパフォーマンスを発揮することができるとしている。
同社は、地球科学における基礎モデルの威力を実証することで、この研究は地球システム全体を網羅する包括的なモデルの開発への道を開くと述べている。
Top Image : © Microsoft