News

2025.11.04

知財ニュース

カナダの大学、キノコの菌糸で排泄物を土に変える世界初の水なしトイレ「Mycotoilet」を開発

mycotoilet 01

カナダのブリティッシュコロンビア大学研究チームは、キノコの菌糸(マイセリウム)で人間の排泄物を土壌へと変換する世界初の水なしトイレ「Mycotoilet」を開発したと発表した。

mycotoilet 01

「Mycotoilet」は、キノコの菌糸(マイセリウム)で、人間の排泄物の臭いを吸収し、微生物がそれを堆肥に分解することができる世界初の水なしトイレだ。固形および液体の排泄物を肥料に変換し、地域の土壌を豊かにすることができる。これにより、年間約600リットルの土壌と2000リットルの液体肥料を生成することができると期待されており、化学肥料への依存を軽減することができるとのこと。

Mycotoiletは水・電気・化学薬品を使わない構造を採用しており、従来の下水インフラが整備されていない地域でも運用できることを目指している。

mycotoilet 02

微生物学・免疫学科の教授であるスティーブン・ハラム博士によると、菌類は、人間や動物の排泄物を含むバイオマスの分解に非常に優れているのだという。また、水、電気、化学物質の追加の必要もないとのこと。実験室で行った試験では、菌糸が悪臭の原因となる化合物の90%以上を除去できることが示唆されている。

mycotoilet 03

車椅子でも利用可能で、トイレ環境は植栽された屋根が室内を涼しく保ち、バランスの取れたソーラー換気システムにより、常に新鮮で清浄な空気が室内に供給される。さらに、メンテナンス頻度は年間4回程度を想定しており、従来のコンポストトイレよりも手間を抑えた運用を可能にする。

mycotoilet 04

研究チームは、2025年秋に6週間で実際のユーザーを対象にシステムのテスト、菌糸の変化をモニタリングする予定だ。ブリティッシュコロンビア大学(UBC)のLiving LabsおよびBiogenic Architecture Research Groupとの共同プロジェクトとして進められており、廃棄物の循環利用による持続可能な衛生インフラの構築を目指している。

mycotoilet 05

「Mycotoilet」プロジェクトについてはこちら

ニュースリリースについてはこちら

Top Image : © THE UNIVERSITY OF BRITISH COLUMBIA

広告