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2022.12.21
知財ニュース
NTTグループら、離島「男木島」をメタバース上で完全再現─島生活をリアルに体験、関係人口創出と課題解決を目指す
NTT、NTT西日本、NPO法人男木島生活研究所、有限会社ケノヒは2022年11月15日、瀬戸内海の離島「男木島」(おぎじま、高松市男木町)をフォトリアルなメタバース化し、離島地域の関係人口創出・拡大を目的とした「TENGUN Ogijimaプロジェクト」を発足、共同検討を開始した。
「TENGUN Ogijimaプロジェクト」は、NTTグループが推進する「IOWN構想」で実現できる没入感の高いメタバースによって、離島などの地域の課題解決に取り組むもの。「IOWN構想」とは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、低遅延・低消費電力・大容量・高品質のネットワークを実現する構想。NTTで研究開発を進めている3D空間メディア処理技術やAnother Me関連技術等により、リアル世界とサイバー世界それぞれの体験をシームレスにつなげる新たなコミュニケーション基盤の実装を目指す。
今回の取り組みの対象地域となる「男木島」は、瀬戸内海の中央に位置する、周囲約4.7キロメートル、人口160名ほどの小さな島。島民の約6割が高齢者で、多くの猫が暮らす「猫島」としても知られ、2010年からは、3年に一度開催されるアートフェスティバル「瀬戸内国際芸術祭」の会場の1つになって以降、移住者も少しづつ増えてきてはいるものの、人口は自然減少が続いており、教育や医療などに新しい課題も抱えている。そこでNTTグループでは今回のプロジェクトを考案した。
本プロジェクトでは、現地で計測した3D点群データなどの膨大な情報をもとに、男木島をフォトリアルなサイバー空間として再現。現地の豊かな自然や島民との出会いや交流を介して島での生活をリアルに体感してもらうことで、男木島に対する情熱や愛着を醸成。関係人口(地域に深い情熱や愛着を持ち地域と多様に関わる人々)の創出・拡大により地域づくりの新たな担い手を創出し、課題解決を目指す。
また、本プロジェクトでは、11月16日から18日まで開催された研究発表イベント「NTT R&D FORUM ― Road to IOWN 2022」で「IOWN時代のメタバース」と題しデモンストレーションを実施。舞台演劇と映像表現を組み合わせたイメージ動画では、都会の若者が島出身の友人の誘いで「男木島」メタバースを訪れて愛着を持ち、現地へ旅するまでの流れを描いたストーリーが発表されている。
Top Image : © 男木島生活 研究所