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2021.12.23

知財ニュース

日産、JAXAと共同研究の月面探査機の試作機を公開―日産の電気自動車技術を応用

日産月面ローバ

日産自動車は12月2日、日産本社ギャラリーで開催中のイベント「NISSAN FUTURES」にて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究を行っている月面ローバ(探査車)の試作機を公開した。日産の電気自動車の開発で培ったモーター制御技術と、月面の砂地環境でのスタックを回避する走行性能を高める研究を進めているという。

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月面は細かな砂とレゴリスと呼ばれる軟らかい堆積層に覆われ、起伏に富んだ場所も多く、車両の走破が極めて難しい。また月面環境では、走行用のエネルギー資源も限られるため、スタック(砂やぬかるみにはまりタイヤが空転し、車が脱出困難な状況に陥ること)を引き起こすとエネルギーロスにつながり、遠隔探査の環境においてスタックは命取りとなる。

こういった問題を解決するため、日産は2020年1月からJAXAとの共同研究に参画し、「日産リーフ」に代表される電気自動車の開発で培ったモーター制御技術と、「日産アリア」に2022年夏以降に搭載される電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を応用し、高い走破性と高効率の走行性能を兼ね備えた月面ローバの研究・開発をJAXAと共に進めてきた。

日産月面ローバ

今回の共同研究では、「e-4ORCE」をさらに進化させ、路面状況に応じてタイヤの空転数を緻密に制御する技術を研究・開発。タイヤの空転量を最小限に抑えることで、砂地でのスタックを回避する。さらに空転によるエネルギーロスの最小化にもつながり、結果として走行エネルギーを効率化できるという。

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日産によれば、テストカーの開発で得た日産の知見と、ローバの研究で得られたJAXAの知見を互いに共有することで、月面ローバのみならず地上の車の技術を進化させることを目指しているとのこと。日産の先行車両開発部部長・中島敏行氏は「JAXAとの本共同研究で得られるノウハウは、地上における自動車のイノベーションにもつながると考えています」と語っている。

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Top Image : © 日産自動車 株式会社

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