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2022.09.19

知財ニュース

九州大学、世界に先駆けて「3Dデジタル生物標本」1400点以上公開─誰でも利用可能、メタバースにも

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九州大学の「持続可能な社会のための決断科学センター」の鹿野雄一特任准教授は、世界に先駆けて開発した「バイオフォトグラメトリ」技術による1400点700種以上の3Dデジタル生物標本を、3Dコンテンツ共有プラットフォーム「Sketchfab」でオンライン公開した。

生物標本は従来、生物研究で重要な役割を担ってきたが、その管理は標本室の温度・湿度管理や液体の交換など煩雑なほか、標本の劣化や退色が免れられない場合があった。また、重要標本の多くは博物館や各研究室で厳重に管理されているが、そのためにアクセスが困難で、あまり利用されないといったジレンマも抱えている。近年は、オープンサイエンスの発展に伴い、標本のリストや画像のオンライン公開が進んでいるが、標本の細かな部位を観察・計測するには実物にアクセスする必要がある。

FireShot Capture 132 - 3D models by ffish.asia floraZia.com (@ffishAsia-and-floraZia) - Sk - sketchfab.com

鹿野特任准教授は、従来、地形や街の景観の測量、CTスキャナなどに用いられてきたフォトグラメトリ(被写体を多角的な角度から複数撮影し3Dモデルを構築する手法)を発展させ、生物標本を対象にした独自かつシンプルなフォトグラメトリの手法を開発。水生生物を中心に1400点700種以上の生物の、生鮮時のカラフルな状態を生物標本として3Dモデル化しデジタルデータで公開した。

公開された3Dモデルのほとんどは、CC BY 4.0ライセンスのもと、だれでも自由にダウンロード・利用が可能。3Dモデルによるデジタル図鑑の作成や、メタバース、バーチャルリアリティなどさまざまな分野での3Dモデルの応用が期待できる。

また九州大学では、今後「バイオフォトグラメトリ」が潮流に乗れば、模式標本(生物分類を定義づける標本)や絶滅種などの重要標本が3Dモデル化され、順次オンライン公開されることが期待できるとしている。

「3Dデジタル生物標本」公開サイト

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Top Image : ©︎ ​九州 大学

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