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2023.01.17

知財ニュース

海洋研究開発機構ら、温泉から「金」を取り出す方法を開発─採掘の6倍~10倍の採取量

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海洋研究開発機構と株式会社IHIの研究チームは、温泉に溶け込んでいる「金」を、藻を特殊なシート状に加工したものを使って吸着・回収する方法を開発した。

「金」の鉱脈は、地中深くのマグマに含まれる「金」が熱水に溶け出し、長い年月と共に地表に露出し冷えたものと考えられている。ここから、研究チームは温泉にも「金」が含まれている可能性があると考え研究を進めたところ、「金」が温泉中に塩素と結合した化合物の形で存在していることが判明。加えて、高温かつ酸性が強い環境では水に溶けやすいことも分かった。

温泉から「金」を効率的に吸着・回収する方法として、研究チームは「ラン藻(そう)」に「金」を吸着する性質があるという数十年前の研究に着目。研究を進めたところ、結合している塩素を分離することで、温泉に溶け出した「金」のみを吸着できることを確認したという。

研究チームでは、高温かつ酸性度が高い方が「金」が溶け込みやすいと考え、「ラン藻」を加工した特殊なシートを用いて秋田県・玉川温泉で実験を実施した。最も濃度が高いものでシート1トンあたり30g程度の「金」の採取に成功したという。なお、世界の主要な金山での鉱石1トンあたりの採取量は3g〜5g程度とされている中、大きな成果をあげている。

研究チームでは現在、温泉だけでなく、東京・青ヶ島沖の深海で高温の熱水が吹き出している箇所でも実験を実施中。2023年中にシートを回収し成果を確認する予定とのこと。

採掘費用が莫大な上、環境負荷も大きい「金」の採掘。その代替手段である本研究に、さらなる期待がかかる。

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海洋研究開発機構 公式サイト

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Top Image : © Unsplash

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