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2025.03.24
知財ニュース
AIが論文を自動で作成、査読プロセスを世界で初めて通過

Sakana AIは、2025年3月12日、同社のAIシステム「The AI Scientist-v2」で自動で作成された論文が、トップレベルの機械学習会議「ICLR 2025」のワークショップで査読プロセスを通過したと発表した。
これは、人間の科学者と同じ査読プロセスを通過した初の完全なAIが生成した論文だ。また、この査読に合格するということは、「The AI Scientist-v2」が作成した論文が、ワークショップの平均承認基準を上回る平均査読者スコアを獲得したことを意味するとのこと。また、AIが科学論文全体を生成した初めての事例なのだという。
ICLRワークショップの主催者と協力し、3つのAI生成論文をワークショップに提出したのだという。査読者には、査読対象の論文がAI生成である可能性と確率については通知されたが、割り当てられた論文が実際にAI生成であるかどうかについては通知されていなかった。
今回、査読プロセスを通過した論文のタイトルは、「Compositional Regularization: Unexpected Obstacles in Enhancing Neural Network Generalization」。内容はニューラルネットワークのトレーニング用の手法を考案で遭遇した否定的な結果に関するものとのことだ。この原稿は、平均スコア6.33を獲得し、基準値を上回った。
この論文の重要な点は、この提出されたAI生成論文は、人間による変更を一切加えずに、AIによって完全にエンドツーエンドで生成されたということだ。AIシステム「AI Scientist-v2」は、科学的仮説を考え出し、仮説をテストするための実験の提案、コードの作成と改良などの実験の設計や実行、データ分析、図、書式設定、タイトルから最終的な参考文献まで、科学論文全体のすべての単語を書き上げた。
今回の論文は、査読されたAI論文は、実際に出版される前に撤回することが事前に決定されていた。これは、透明性を保つため、また、AIコミュニティと科学コミュニティが AI によって生成された原稿を同じ場所で出版するかどうかがまだ決定していないためだ。
同社は、この論文が採択された場はメインのカンファレンストラックではなくワークショップトラックであり、作成された3つの論文のうち、このワークショップで採択されたのは1つだけであったことを強調している。
トップクラスの機械学習会議のメインカンファレンスでの採択率は通常20~30%で、ワークショップでの採択率は60~70%だ。同社は今後、トップクラスのカンファレンスの基準を満たす、さらに質の高い科学論文を作成するためにプロセスを改善していく予定だ。
Top Image : © Sakana AI