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2025.06.25
知財ニュース
Google、米国立ハリケーンセンターと提携して台風を予測する「Weather Lab」の立ち上げを発表

Google DeepMindとGoogle Researchは、米国立ハリケーンセンターと提携して台風の予測をする「Weather Lab」を立ち上げたと発表した。
ハリケーンや台風は、熱、湿気、対流によって暖かい海水上で発生する。大気の状態のわずかな変化にも非常に敏感であるため、正確な予測は非常に困難だ。しかし、サイクロン予測の精度を向上させることで、より効果的な災害対策と早期避難を通じて地域社会を守ることができるのだという。
「Weather Lab」は、確率的ニューラルネットワークに基づく最新の実験的なAIベースの熱帯低気圧モデルを利用できるウェブサイトだ。このモデルは、低気圧の形成、進路、強度、規模、形状を予測し、最大15日先までの50通りのシナリオを生成することができる。
実験的なサイクロンモデルによる予測を示すアニメーションでは、マダガスカル南方で発生したサイクロン「ホンデ」と「ガランス」の進路を、発生当時に正確に予測した。また、約7日後のインド洋でのサイクロン「ジュード」と「イヴォーン」の進路も捉え、最終的に熱帯低気圧へと発達する暴風雨域を的確に予測した。
コーラル海でカテゴリー3のサイクロンであったサイクロン「アルフレッド」の予測では、急速に弱まり熱帯低気圧に発達し、7日後にオーストラリアのブリスベン近郊に上陸し、クイーンズランド州沿岸のどこかに上陸する確率が高いことを正確に予測した。
Weather Labのユーザーは、様々なAIおよび物理ベースのモデルによる予測を探索・比較することができる。これらの予測を統合することで、気象機関や緊急サービスの専門家はサイクロンの進路と強度をより正確に予測することが可能だ。これにより、専門家や意思決定者は、様々なシナリオへの備えを強化し、関連するリスクに関する情報を共有し、サイクロンの影響を管理するための意思決定を支援することができる。
「Weather Lab」は、研究ツールであり、まだ実験段階だとし、表示されるリアルタイム予測は開発中のモデルによって生成されたもので、公式の警報ではない。そのため、ツールを利用する際はこの点に留意するようにとのこと。Googleの目標は、この技術の開発を継続し、気象機関や緊急サービスの専門家がサイクロンの進路と強度をより正確に予測できるようにすることだとしている。
また、同社は、英国気象庁、東京大学、日本のウェザーニューズ株式会社、その他の専門家とも協力し、モデルの改良に取り組んでいる。
Top Image : © Google DeepMind