News
2022.12.07
知財ニュース
世界初、「固形タイプの粉ミルク」を実用化─明治のキューブ製法技術が発明表彰で特別賞と実施功績賞を受賞

株式会社明治は、同社の粉ミルクを固形タイプに実用化する「キューブ製法技術」が高く評価され、公益社団法人発明協会が実施する「令和4年度関東地方発明表彰」において、特別賞「日本弁理士会会長賞」と「実施功績賞」を受賞した。また、明治が事業提携・技術提供を結んだダノン社との商品、キューブタイプの粉ミルク「Aptamil」が、英国最大規模の賞「新商品アワード(2022 Product of the Year | Consumers Vote. Sales Increase.)」を受賞した。
「キューブ製法技術」は、壊れない硬さと溶けやすさを両立した固形ミルクを形成する製法。低圧で圧縮した粉ミルクを加湿することで、表面の粉ミルクの粒子を結合させ、これをさらに乾燥させることで、硬い表面層を形成した。一方、お湯の中では表面層がすぐに溶け、キューブ内部の多孔質構造にお湯が速やかに浸透するため、サッと溶かせる技術だ。
粉ミルクは従来、持ち運びしにくい、計量時に粉をこぼしがち、計量間違いしやすいなどの不便さが指摘されていた。しかし、粉ミルクを強く圧縮し固形にすると、調乳時にお湯が内部まで浸透せずに溶け残ってしまい、反対に、弱い力で圧縮すると、非常にもろく、輸送時に壊れてしまうといった課題があった。そのため、固形タイプの粉ミルクは世界的にも実用化されていなかった。こういった背景から、明治は「キューブ製法技術」の開発に着手した。
本発明は、日本では「明治ほほえみらくらくキューブ」と「明治ステップらくらくキューブ」に使用されている。英国では、技術提供先のダノン社が提供する「Aptamil」ブランドから販売のキューブタイプ商品に使用されている。
育児の負担軽減に寄与し、育児用粉ミルク市場において新しいカテゴリーを創出した本製法。さらなる展開にも期待したい。
Top Image : © 株式会社 明治