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2024.10.21
知財ニュース
アドビ、作品に認証情報を付与できる無料webアプリ「Adobe Content Authenticity」を発表―生成AIモデルの無断学習を防止
アドビは、2024年10月9日、クリエイターのコンテンツ保護と認証を支援するwebアプリケーション「Adobe Content Authenticity」を発表した。
アドビがクリエイターを対象に実施した、生成AIに関する最新の意識調査では、クリエイターの91%が、作品に認証情報を付与できる信頼性の高い方法を求めていることが明らかになった。さらに、クリエイターの半数以上(56%)が、自身のコンテンツが無断で生成AIモデルのトレーニングに使用されることを懸念していると回答している。
「Adobe Content Authenticity」は、クリエイターが自身の作品にコンテンツクレデンシャルを手軽に付与できる無料のwebアプリだ。コンテンツクレデンシャルは、デジタルコンテンツの「成分表示ラベル」のようなもので、誰でも自身の作品に付与できる安全なメタデータであり、作成者の情報と、それがどのように作成され編集されたかについての背景情報を提供する。
コンテンツクレデンシャルは、 Adobe Photoshop、Adobe Lightroom 、Adobe Fireflyなどの人気なAdobe Creative Cloudアプリですでにサポートされているとのこと。
クリエイターはこのwebアプリでコンテンツクレデンシャルを一括で簡単に付与し、画像、オーディオ、ビデオファイルなどのデジタル作品に署名することができる。さらにクリエイターは、コンテンツクレデンシャルに含まれる情報(氏名、webサイト、SNSアカウントなど)をカスタムでき、同社はさらに多くのカスタマイズオプションを提供していく予定だ。これらの情報を付与することで、クリエイターは帰属情報の認証表示によって、無断使用や誤った情報から作品を保護し、信頼を確保することができるとしている。
クリエイターは、「Adobe Content Authenticity」の「Generative AI Training and Usage Preference(生成AIのトレーニングと使用に関する設定)」機能により、自身の作品が他の生成AIモデルに使用され、トレーニングに用いられたくない旨を表明できる。
現在、一部のSNSプラットフォームやwebサイトでは、投稿されたコンテンツにコンテンツクレデンシャルのような来歴情報がオンラインで表示されず、消費者にとっての透明性が制限されているのだという。
コンテンツクレデンシャルの普及に伴い、このギャップを埋めるため、同社はGoogle Chrome用のContent Authenticity拡張機能と、Adobe Content Authenticity webアプリ内の検証ツールをリリースし、コンテンツに関連付けられたコンテンツクレデンシャルの内容のすべてを復元して表示できるようにするとしている。また、編集履歴がある場合は、その履歴も含まれる。
Adobe Content Authenticityで付与されたコンテンツクレデンシャルは、コンテンツのライフサイクル全体を通じてクリエイターの作品に安全に関連付けられた状態を維持し、来歴情報が削除されたり、コンテンツのスクリーンショットが撮影された場合でも復元することができる。
これを実現するために、コンテンツクレデンシャルは、デジタル指紋、見えない電子透かし、暗号署名付きメタデータを組み合わせ、デジタルエコシステム全体でコンテンツクレデンシャルが損なわれず、検証可能な状態を維持できるようにするとのこと。
このwebアプリの無料パブリックベータ版は、2024年11月〜2025年2月末の四半期中に提供開始予定だ。Google Chrome用Content Authenticity拡張機能のベータ版は、すでに利用可能になっている。
また、アドビは、10月14日から16日までマイアミビーチで開催される世界最大のクリエイティブイベント、Adobe MAXのブース(ブース424)で、 Adobe Content Authenticityのプレビューを行う予定だ。
Top Image : © アドビ 株式会社