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2021.09.08
知財ニュース
株式会社ドキドキ、音声AR空間をNFTでデジタル資産化できる「オーディオメタバース」事業に進出
AR(拡張現実)空間と音関連の連続起業家・井口尊仁氏が率いる株式会社ドキドキが、新たにオーディオメタバース(Audio Metaverse)事業に進出する。
ドキドキは、空間オーディオで構成された音声AR空間をデジタル資産として扱える技術「オーディオメタバース」を開発。本技術を用いた新サービスとして、2021年8月8日、東京上空に仮設営された音声AR空間内で世界初の音楽フェスを開催した。ドキドキは、ウイルス感染対策で世界中で非接触・人流抑制が行われる中、分断や相互不理解を超えて日常的に交流できる世界を構築するため、本技術の発展と普及に取り組んでいくという。
「オーディオメタバース」のベースには、Appleが開発したドルビーアトモス実装の空間オーディオ(Spatial Audio)技術を活用。空間オーディオを仮想的な世界に統合して音声AR空間を構築する。AR空間へはGPSとインターネットアドレス(URL)からのアクセスを可能とし、NFT(ノン・ファンジブル・トークン:ブロックチェーン上で発行される所有証明書付きのデジタルデータ)を用いて暗号化した土地台帳に記帳することで、デジタル資産として扱えるようにしている。
音声AR空間は、アーティストやクリエーターなどの活用を想定。持ち主はそこで、音楽演奏や音声パフォーマンス、ディスカッションなどを発信できる。AR空間にはいつでも誰でもアクセスが可能だ。会話など双方向での交流も持てるため、新たな人流や交流機会の創出にもつながる。結果として商流が生まれ、ニーズが高まった音声AR空間は、デジタル資産として売買取引できるという。
井口氏はこれまで10年以上にわたり、拡張現実とオーディオ技術に携わってきた。2008年には、米国で開かれたTechCrunch 50で、現実世界にAR空間を重ねて表示するスマホアプリ「セカイカメラ」を発表し注目を集めた。2014年のドキドキ創業後は(創業地は米サンフランシスコ)、2019年にリリースした雑談ができる音声ソーシャルアプリ「ダベル(Dabel)」が特に米国の視覚障がい者から支持を受け、世界8万人以上のユーザを持つ。2019年のダベル制作後からは「オーディオメタバース」の開発に注力し、本事業化に至っている。
ドキドキの事業概略(公式サイトより抜粋)
ドキドキは、オーディオメタバース事業への進出について、「地球規模でのより生き易い新世界構築を意味するものであり、より多くのパートナーやクリエーターを巻き込んだムーブメントに発展することを切望しています」としている。
NFTサービス「Mint」などをはじめとする、ブロックチェーン技術を活用したデジタル資産の価値のアップデートが進む中、「オーディオメタバース」の進展により人の活動空間とその可能性はさらに拡がっていきそうだ。
Top Image : © 株式会社 ドキドキ