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2025.03.27
知財ニュース
マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」開始―持ち方を3タイプから選択可能

3月24日、マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」の運用が始まった。各都道府県の運転免許センターや警察署などで、マイナンバーカードのICチップに免許情報を記録することで、運転免許証として使用できる。
記録した情報は、マイナポータルや専用の読み取りアプリで確認可能。アプリには、従来の免許証のデザインで画像表示する機能もある。
マイナ免許証は、健康保険証とは異なり、切り替えするかどうかは持ち主に委ねられる。今後は、①従来型の運転免許証のみ ②マイナ免許証のみ ③従来型とマイナ免許証の両方を所有という、3タイプから選択できる。マイナ免許証を持つメリットも複数ある一方で、注意点もいくつかあり、各情報を確認した上で判断する必要がありそうだ。
主なメリットとしてはまず、手数料が安くなる。免許更新時は、従来型のみが2,850円に対して、マイナ免許証では2,100円。新規の免許取得手数料では、従来型が2,350円でマイナ免許証が1,550円と、800円安くなる。
また、住所変更等のワンストップサービスを利用でき、手続きの手間を削減できる。従来型の免許証では、住所や氏名などを変更する際、市区町村役場と警察署や運転免許センターの両方で手続きする必要がある。マイナ免許証に一本化して所定の手続きを行えば、市区町村役場のみの変更手続で済むようになる。
さらに、免許証更新時の講習をオンラインで受けられる(優良・一般運転者の場合)。オンライン講習は、スマートフォンなどからいつでも受講可能。運転免許センターでの対面受講が不要になり、滞在時間を削減できる。
一方で、マイナ免許証のみの場合、紛失時の利便性は下がる。従来型の再発行は即日受け取れるが、マイナ免許証は少なくとも1週間ほど時間を要する。また再発行後に免許情報の再記録が必要となる。ただ、マイナ免許証に切り替えた後も従来型を再交付できるため、再発行待ちの間に運転をしたい場合はそちらで対応できる。
海外渡航時も注意が必要だ。国外運転免許証の申請時に、渡航先の国によっては従来型の免許証が必要な場合がある。デジタル庁の平将明大臣は、3月18日に行った記者会見で、海外での運転を予定している場合は、従来の免許証との2枚持ちを検討して欲しいと注意喚起した。
また現状では、マイナンバーカードを更新する際、ICチップの記録が引き継がれないため、再度一体化の手続きが必要となる。この点に関しては現在、関係省庁などが免許情報の自動記録に向けてシステム改善を進めており、今後解消される予定。運用開始は2025年秋ごろを見込んでいる。
運転免許証の提示を前提としたレンタカーサービスなど、当面、マイナ免許証は扱わない方針を決めた企業もある。日常的にレンタカーを使う人は、運営会社の対応状況を確認した方が良さそうだ。
メリット・デメリットや立ち上げに伴う多少の混乱はあるが、免許保有者の選択肢は広がった。マイナ免許証を含む、マイナンバーカードの今後の進展が期待される。
デジタル庁「マイナンバーカードの運転免許証利用」
警視庁「マイナンバーカードと運転免許証の一体化について」
警察庁「マイナ免許証読み取りアプリ」専用サイト
Top Image : Adobe Stock