「CEATEC AWARD 2026」、総務大臣賞・経済産業大臣賞・デジタル大臣賞など各賞が決定

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、「CEATEC 2026(シーテック 2026)」で展示される技術・製品・サービス等を対象とした「CEATEC AWARD 2026」の受賞案件を発表した。総務大臣賞、経済産業大臣賞、デジタル大臣賞の3つの大臣賞に加え、今年から新設された優秀賞、イノベーション賞やネクストジェネレーション賞などの各賞、モビリティイノベーション賞の受賞案件が決まった。
「CEATEC 2026」は、2026年10月13日(火)から16日(金)まで幕張メッセで開催されるデジタルイノベーションの総合展だ。今年は「Transformation─企業が、産業が、そして社会が変わる─」をテーマに掲げ、国内外から821社・団体が出展する。「Japan Mobility Show Bizweek 2026」と併催される。
「CEATEC AWARD 2026」は、CEATEC 2026に展示される(モビリティイノベーション賞を除く)技術・製品・サービス等の中から、出展者が事前に応募した出展品・案件について、「CEATEC AWARD 2026審査委員会」が学術的・技術的観点、市場性や将来性等の視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査・選考し、表彰するアワードだ。
■総務大臣賞
フィジカルAIの“耳”:多様な現場の音から、異常音も人の声も聞き分ける「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」
三菱電機グループ(一般展示|ブース番号:8H412)

【案件概要】
多様な環境下でも音を正確に聞き分ける聴覚認識機能をフィジカルAIに与えることができる「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」を開発。分離・抽出したい音をプロンプトで指定することで、マイクで収音した混合音から目的の音を音源ごとに分離・抽出する処理を単一のAIモデルで実現する本技術は、音を起点とした現場の複雑な状況認識が可能となり、フィジカルAIの信頼性向上に貢献します。
【選評】
工場や公共空間では、機械音、人の声、環境ノイズが重なり、AIが必要な音を正確に捉えることが難しい。三菱電機グループの「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」は、収音した混合音から分離・抽出したい音の種類を指定し、音声分離、音声強調、機械音分離など、従来は用途ごとに専用モデルが必要だった処理を単一のAIモデルで実現する。現場や目的が変わってもモデルを作り分ける必要がなく、柔軟に対応できる点が特徴だ。
処理の高速化やマイク本数に依存しない設計により、ロボットや監視機器、設備機器などへの実装も想定する。画像・映像中心だったフィジカルAIに聴覚情報を加え、異常検知や音声認識、現場記録などの精度向上を支える。音をデータとして高度に活用し、AIが現実世界を理解する幅を広げる基盤技術として、幅広い展開が期待される。
■経済産業大臣賞
スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー
TDK株式会社(一般展示|ブース番号:5H261)

【案件概要】
スマートグラスは、AI技術と連携した次世代端末として期待されています。顔に装着するためスタイリッシュさが非常に重要ですが、スマートグラス向けのディスプレイは対面から虹模様が見えるなど、大きな課題がありました。そこでTDKは、微細ナノ構造によるメタオプティクスミラーを用いたディスプレイを開発しました。これにより従来の光学系の限界を打破し、スタイリッシュなディスプレイを実現することができました。
【選評】
AIとの連携で次世代端末として期待されるスマートグラスでは、表示性能に加え、日常的に装着できるデザイン性や光学系の小型・薄型化が普及の鍵となる。TDKは、ナノサイズの反射構造で光の反射方向を制御する「メタオプティクスミラー」を開発。網膜直接描画型ディスプレイで眼前に必要だった大きな曲面ミラーを薄型・平坦化し、眼鏡レンズへの埋め込みを可能にした。光干渉による虹模様を抑えつつ高い透明度を確保し、通常の眼鏡に近い外観を実現する。
従来の網膜直接描画方式が抱えていた外観上の制約を、ナノ構造を用いた部品技術から解決し、高価な導波路に依存しない光学系の簡素化にもつながる。スマートグラスの実用化を前進させ、次世代インターフェースの市場形成を支えるものづくり技術として、今後の展開が期待される。
■デジタル大臣賞
「ハーモナイズドソサエティ」の実現を支えるAIソリューション群「HMAX™ by Hitachi」
株式会社日立製作所(一般展示|ブース番号:7H010)

【案件概要】
HMAXは日立が日本企業発でグローバルに提供する社会インフラ向けAIソリューション群。鉄道、電力、産業、金融などのミッションクリティカル分野をAIとデータでつなぎ、運用・保守・制御・意思決定を高度化。長年培ったOT・IT・プロダクト技術とドメインナレッジを活用し、安全・安心を確保しつつ、社会インフラを継続的に最適化・運用高度化を実現。持続可能でレジリエントなSociety 5.0の実現に貢献。
【選評】
人材不足や熟練技術者の減少、設備の老朽化など、社会インフラを支える現場の課題は深刻化している。「HMAX™ by Hitachi」は、鉄道、電力、産業、金融などを対象に、日立が培ってきたOT(制御・運用技術)、IT、プロダクト技術、ドメインナレッジとAIを組み合わせ、運用・保守・制御・意思決定を高度化するAIソリューション群。現場のデータを分析するだけでなく、その結果を実際の運用や制御に反映し、継続的な改善につなげる。
安全性や信頼性が不可欠な社会インフラで、AIを実際に動く設備やシステムへつなぐ実装力が特徴。個別設備の予兆保全や運用効率化から、複数の設備・業務を横断した最適化へと発展させる構想も持つ。AIを社会インフラの安全・安心とレジリエンス向上につなげる取り組みとして、今後の展開に期待が寄せられた。
■優秀賞
今年から新設された賞で、全ての応募案件の中から、先進性、社会性、実現性、市場性、共創性など、多面的な観点から総合的に優れていると評価された案件に贈られる。
排水レス循環型洗濯システム「トリプルフリーランドリー」
シャープ株式会社(一般展示|ブース番号:5H340)

【案件概要】
排水レス循環型洗濯システムは、洗濯水を繰り返し再利用できる洗濯システムです。洗濯水の浄化に最適化した独自のフィルターが洗濯排水と同時並行でろ過を行い、洗濯に適した水を再生することから大幅な節水を実現しました。システム小型化の実現により給排水設備がない様々な場所での設置が可能となり、災害時の避難所など給排水設備の確保が困難な環境や、水資源が限られる地域においても、衛生環境の維持・向上に貢献します。
【選評】
災害時の避難所では、断水や排水設備の制約で洗濯が難しくなり、衣類を清潔に保つという日常の衛生を維持しにくくなる。シャープの「トリプルフリーランドリー」は、洗濯排水を多段階で浄化して再利用する循環型洗濯システム。平時は通常のランドリーとして使い、有事には循環モードへ切り替えることで、固定の給排水設備が使えない状況でも洗濯を継続できる仕組みを目指した。
災害専用品を備蓄するのではなく、平時に使っている設備を有事にもそのまま活用する「フェーズフリー」の発想が特徴だ。固定の給排水設備に依存しないため、避難所だけでなく、水量が限られる船舶や離島、水道インフラが未整備な地域への展開も想定する。「どこでも使える洗濯機」という価値を家電技術から具体化し、水の制約がある場所でも洗濯という生活インフラを維持する新しい選択肢を示した点が評価された。
Physical AIの“データの入口” ― 人の手指動作を高精度に捉え、AI・ロボットへつなぐハンドトラッキンググローブ
株式会社村田製作所/メルトインターフェーステクノロジーズ株式会社(一般展示|ブース番号:7H340)

【案件概要】
人の手に染み込んだ暗黙知を、AI・ロボットが学ぶデータへ。ムラタ独自の小型・高感度LFアンテナを搭載したメルトインターフェーステクノロジーズのContactGlove3 Proは、EMF(電磁場)方式により、遮蔽に強く外部カメラ不要で5本指の動きを高精度に計測。8時間以上連続稼働し、取得データをロボット学習・遠隔操作・技能継承に活用することで、Physical AI時代の実世界データの入口となる。
【選評】
Physical AIが人の仕事を支援・代替していくには、現実の作業を学ぶための質の高いデータが欠かせない。とりわけ手指の細かな動きは、カメラでは遮蔽が起き、IMUでは誤差が蓄積するため、長時間安定して収集しにくい。村田製作所とメルトインターフェーステクノロジーズの「ContactGlove3 Pro」は、電磁場(EMF)方式で5本指の位置・姿勢を捉え、実作業を継続的にデータ化する。
単なる骨格座標ではなく、「どの工程で何をしている時の動作か」という作業文脈と結びつけることで、AIにとって意味のあるデータになる。熟練動作を高品質なデータとして蓄積できれば、ロボット学習や技能継承、自動化が難しかった細かな手作業へ活用範囲が広がる。ヒューマノイドを含むPhysical AIの社会実装を、データの入口から支える基盤技術として評価された。
においセンシング x AI で挑む「がん」の早期発見~兆しを嗅ぎとる0次スクリーニング~
太陽誘電株式会社(一般展示|ブース番号:8H030)

【案件概要】
においセンサを使用したがんスクリーニングは、尿中の成分から生体の変化を"非侵襲・リアルタイム"で捉える今までにないサービスです。独自のQCMセンサ、感応膜、AI解析技術により高感度なにおいセンシングを実現。日常生活の中で継続的に異常の兆候を捉え、無自覚段階で受診行動を促すことで、このような溶け込むスクリーニングを通じて、ウェルビーイング社会の実現に貢献します。
【選評】
がんの早期発見では、検査技術の高度化だけでなく、自覚症状がない人を検査へつなげること自体が課題となる。太陽誘電は、尿に含まれるVOC(揮発性有機化合物)の反応パターンを独自のQCMセンサで捉え、AIで解析するにおいセンシング技術を開発。身体への負担が少ないサンプルから変化を捉え、必要に応じて医療機関での検査を促す「0次スクリーニング」を提案する。診断を置き換えるのではなく、その前に「気づき」をつくる発想である。
電子部品で培った材料・薄膜・微細加工技術を健康分野へ展開し、人が感覚的に捉えてきた「におい」を比較可能なデータに変える。日常生活の側に受診のきっかけを増やすことで、検診・診断技術だけでは届きにくかった「そもそも検査を受ける」という行動につなげる。がんの早期発見を、医療技術だけでなく受診行動につなげるところから支えようとする取り組みとして評価された。
■イノベーション賞
プロセス全体最適化プラットフォーム
アイクリスタル株式会社(ネクストジェネレーションパーク|ブース番号:4H019)

【案件概要】
AIと物理シミュレーションを融合したプロセスインフォマティクス(PI)により、製造ライン全体をデジタルツイン上で再現・接続し、複数工程を一気通貫で最適化するプラットフォームです。少量データから高精度モデルを構築することにより、試作回数や開発期間の大幅短縮を実現し、あらゆるモノづくり産業における品質向上、歩留改善、および開発・製造プロセスのDX推進に貢献します。
【選評】
製造業でAIによる不良検知が進んでも、不良を早く見つけるだけでは不良そのものは減らない。アイクリスタルの「プロセス全体最適化プラットフォーム」は、設備、工程、検査などに分散した製造データをつなぎ、製造条件と結果の関係をAIでモデル化。各工程のデジタルツインを連結し、単一工程の局所最適ではなく、前後工程を含めて製品全体の性能や歩留まりを高める条件を探索する。
現場で繰り返してきた試行錯誤をデジタル空間へ移し、熟練者の経験や工程ごとの知見を再利用できるデータ資産へ変えることは、製造開発の進め方そのものを変える。解析支援に加え、データ基盤整備や人材育成まで含め、多様な製造現場で実践を重ねている点を強みとする。部分最適と属人的なノウハウに頼るものづくりから、データ駆動で全体最適を回す開発へ転換する実装力が評価された。
外科手術支援のための視覚・言語統合型AI基盤モデル〜手術の文脈を理解する、次世代Surgical AI〜
Direava株式会社(NEDO)(一般展示|ブース番号:5H440)

【案件概要】
術中の内視鏡映像をリアルタイム解析して解剖構造や手術工程を認識し、「何に注意すべきか」「次に何をすべきか」を日本語で対話提示する国内初の外科特化型生成AI。専門医監修データのみを学習しハルシネーションを抑制。大学病院の手術室でのリアルタイム実証で解剖学的正確性84.7%、臨床的有用性82.9%を達成。手術教育から術中支援、将来の自動化まで支える「外科の頭脳」。
【選評】
外科手術を支援するAIは、映像から臓器や血管を認識する「目」の役割が中心だった。Direavaの「Surgical VLM」は、内視鏡映像から解剖構造や手術状況を理解し、言語で説明・対話する視覚・言語統合型の外科特化生成AI。外科医が自ら構築・監修した専門データを学習に用い、大学病院の手術室でリアルタイム実証を行いながら、まず手術教育から段階的な導入を進めようとしている。
特徴は、汎用AIを医療へ持ち込むのではなく、外科医自身が「何を見るべきか」「何を伝えるべきか」を専門データと評価基準へ落とし込んでいる点だ。若手医師や医学生が手術映像から専門家の判断文脈を学べる環境をつくり、その先に術中の確認・提案支援を見据える。外科医不足や教育機会の地域・経験差という課題に対し、専門知を共有可能な形へ変える新しい基盤として、今後の実用化と展開に期待が寄せられた。
■グローバルイノベーション賞
NoorNation for Renewable Energy
NoorNation(グローバルパーク|ブース番号:4H501)

【案件概要】
LifeBoxは、農業や農村地域向けに清潔な電力と安全な水を供給するバッテリーレス太陽光ソリューションです。太陽光発電・揚水・水処理を1つの即用型システムに統合し、ディーゼル発電機等への依存を低減します。IoT遠隔監視により稼働状況や水・電力生産量をリアルタイムで可視化可能。ニーズに応じた拡張性も備え、エネルギーと水を一体で提供する持続可能かつ信頼性の高いインフラを実現します。
【選評】
電力網や水インフラが十分に整備されていない地域に向けて、太陽光発電、揚水、水処理を一体化したモジュール型のソリューション。バッテリーを使用せず、IoTによる遠隔監視・制御にも対応することで、ディーゼル発電機や不安定な送電網への依存を減らしながら、クリーンエネルギーと安全な水を供給する。用途や規模に応じてシステムを拡張でき、農業や農村コミュニティなど幅広い活用を想定している。
太陽光発電や水処理という個々の技術だけでなく、それらを一つのパッケージとして組み合わせ、地域のインフラ課題に対応するという着眼点が評価された。日本国内での活用に限らず、世界各地が抱えるエネルギーや水の課題に対応できる社会的意義と、グローバルに展開できるポテンシャルにも期待が寄せられた。
■トランスフォーメーション賞
AIエージェントがロボットを育てる― 一行の指示から実機までをつなぐPhysical AI自律R&D基盤
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(X(Transformation)パーク|ブース番号:4H535)

【案件概要】
ロボットに新しい作業をさせるには、人が教え、試し、直す繰り返しが必要で、時間も人手もかかります。本展示は、この繰り返しを生成AIのエージェントが人の代わりに回します。AIが練習用の仮想空間と手本を作り、Physical AIに学ばせ、採点し、悪い所を直して次へ進む。この輪(Agent Loop)は人なしで回り続けます。会場では、実機のロボットまでつないだこの輪をAWSで構築し、お見せします。
【選評】
Physical AIの社会実装では、ロボットや基盤モデルの性能だけでなく、現場ごとの環境構築、動作設計、評価・修正に多くの専門人材と時間を要する。AWSは、ソフトウェア開発で進むAIエージェントの自律的な改善ループをPhysical AIのR&Dへ拡張。シミュレーターで仮想環境の構築から試行・評価・修正までをAIが回し、生成した制御コードを実機へ配信、現場データをクラウドへ戻して再改善する「Agent Loop」を、実機を含めて検証している。
狙いは、ロボットそのものではなく「ロボットを育てる工程」の変革だ。人は動作を一つずつ作り込む役割から、AIが試行錯誤する環境やルールを設計し、その結果を監督する側へ移る。仮想環境で失敗を吸収し、実機では人の承認とAIの外側に置く安全制約を組み合わせる。現場ごとの調整負担を減らし、Physical AI導入の速度と裾野を広げるR&D基盤として、今後の展開に期待が寄せられた。
■ネクストジェネレーション賞
常識を覆す新素材×超高速「熱」検知技術で世界の市場を切り拓く
TopoLogic株式会社(ネクストジェネレーションパーク|ブース番号:4H141)

【案件概要】
東京大学発のディープテックスタートアップ、TopoLogicは、革新的なトポロジカル材料を活用した熱流束センサ「TL-SENSING」を開発しています。超高速で発熱そのものを検知する技術により、バッテリーの異常発熱検知をはじめ、人・動物の熱に関するサービス、水素センシング、産業機器の予兆検知など幅広い分野への応用を行っています。様々なシステムへの組み込みを実現し、新たな市場創出を世界で実行します。
【選評】
機器の故障やバッテリーの異常発熱は、温度上昇が現れてからでは対応が遅れることがある。TopoLogicの「TL-SENSING」は、トポロジカル物質の異常ネルンスト効果を利用し、温度ではなく熱エネルギーの流れる方向と大きさを捉える熱流束センサ。小型・薄型で高速応答する特徴を生かし、研究・評価用途が中心だった熱流束計測を、機器へ組み込むセンシングへ広げようとしている。
熱を「結果として測るもの」から「予兆を捉え、制御に使う情報」へ変えられれば、バッテリーやパワー半導体の安全監視、産業設備の予兆保全、データセンターの熱管理、水素漏れ検知などへ応用が広がる。「熱の流れ」という新しい情報軸は、安全性と省エネルギーの両面から機器やシステムの設計を変える可能性を持つ。新たなセンシング市場を切り拓く基盤デバイスとして、今後の実用化と展開に期待が寄せられる。
TRAILS ― スマホのみでGPSの届かない場所でも位置測位できる空間AI
zeteoh株式会社(ネクストジェネレーションパーク|ブース番号:4H242)

【案件概要】
アンカーもWi-Fiも不要。スマートフォンやウェアラブル単体で、GPSの届かない屋内・地下・トンネルでも人や資産の位置を1〜3m精度で測位する空間AI「TRAILS」。慣性オドメトリの学術ベンチマークで最先端手法を上回り、未学習の建物でも初日から動作。走行中の新幹線車内(285km/h)でJR東海が第三者検証済み。消防・災害対応から産業現場のデータ化までフィジカルAIの基盤を築く。基本特許査定済。
【選評】
工場、地下、トンネルなどGPSが届かない空間では、人や物の位置・動線を把握するためにビーコンやWi-Fiなどの固定設備を設置する方式が多く、導入・保守の負担が継続的なデータ取得の壁になってきた。zeteohの「TRAILS」は、スマートフォンなどの慣性センサ情報を学習済みの空間モデルで補正し、建物側に固定アンカーを置かずに自己位置を推定する空間AI。施設の図面など既存情報を活用しつつ、専用インフラの敷設を抑えて導入できる。
価値は、位置を知ることより、その先にある。人や資産の移動を継続データにできれば、工場・倉庫の動線改善、保守記録、技能分析、災害現場での所在把握など、見えにくかった現場の動きを可視化できる。さらに、空間データは運用AIやPhysical AIが現実世界を理解する基盤にもなる。既存端末を入口に、現場の「動き」を継続的なデータ資産へ変えられる実装性と、そのデータを次世代AIの基盤へつなげる発展性が評価された。
■モビリティイノベーション賞
雪国の危険・重労働を無人化する国産陸上ドローン「除雪ドローン®」
エバーブルーテクノロジーズ株式会社(Japan Mobility Show Bizweek 2026出展者)

【案件概要】
遠隔操作・自動運転に対応した小型・無人の電動除雪機。RTK GNSSによる高精度測位や2D LiDAR等を活用し、設定したエリアの除雪経路を自動生成して走行できます。小型車体による狭所対応、電動駆動による静音性に加え、障害物検知時等の自動停止機能を備え、人が立ち入りにくい場所や危険・重労働な除雪作業の省人化・安全性向上を支援します。
【選評】
豪雪地域では、人口減少と高齢化で除雪の担い手不足が進む一方、除雪は暮らしや物流を維持するために欠かせない。また、除雪作業は重労働でもあり滑りやすく、転倒や事故の危険も伴う。エバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローン®」は、水上ドローンで培った制御技術を陸上へ展開した小型電動UGV。4輪独立電動AWDによる強い押す力と走破性を備え、RTK GNSSや2D LiDARを用いた遠隔操作・自動走行に対応する。
除雪という課題を起点にしながら、運搬、牽引、警備、工場・建設現場などへ広げられる汎用プラットフォームとして設計した点も特徴だ。人が危険・重労働を担ってきた現場を小型モビリティに置き換えることで、省人化だけでなく、担い手が減っても地域や産業の機能を維持できる可能性を示す。現場導入を重ねながら、将来の複数台運用やさらなる自律化へつながる発展性にも期待が寄せられた。
CEATEC 2026(シーテック 2026)
期間:2026年10月13日(火)〜16日(金)10:00〜17:00
会場:幕張メッセ
入場:無料(全来場者登録入場制)
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Top Image : © 一般社団法人 電子情報技術産業協会





