Pickup

2021.03.25

コラム | 特許文献を愛でる

「新しい種類の発音装置」ヤマハ株式会社

ヤマハ 株式会社

002 1
J-PlatPatより

楽器メーカーのヤマハが海外での知財戦略を強化しているのをご存知でしょうか。ヤマハでは日本で出願したものはすべて海外でも出願する姿勢で出願戦略に取り組み、現在では売上高の約7割が海外での成果となっているそうです。

そんな知財戦略の強化による発展を見せているヤマハは、昨年12月にこれまでにない新しい種類の打楽器の特許を取得しています。特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で確認できる「容易な演奏操作により複数の発音体を互いに衝突させて音を発生させる新しい種類の発音装置」は、ピアノやドラムセット、シンバルのように演奏経験がないと音のコントロールが難しいものではなく、容易な演奏操作によって音を発生させる打楽器とのこと。

——シンバルを用いた演奏方法としては、2つのシンバルを互いに対向させて衝突させることによって発音させることもある。このような演奏方法には、両手それぞれに持ったシンバルを演奏者が互いに衝突させる方法、またドラムセットにおいて用いられるハイハットのようにペダル操作によってシンバルを互いに衝突させる方法が知られている。いずれの方法においても演奏操作において経験が必要なものであり、音の制御をすることは容易でなかった——本発明の目的の一つは、容易な演奏操作により複数の発音体を互いに衝突させて音を発生させる新しい種類の発音装置を提供することにある——(J-PlatPatより)

記事冒頭の画像は、その新しい打楽器の外観。次の画像が、発音体の関係を示す断面図です。

002 2 J-PlatPatより

操作キーが押下されると、2つの発音体が衝突することによって音が鳴るというのが基本の仕組み。発音体の振動が効率よく続くように、衝突の後に発音体は互いに分離し、複数の発音装置を並べることで様々な高さの音が鳴るとのことです。2つの発音体の基本周波数が若干異なることから豊かな音が得られるそうです。

AIと自動演奏ピアノを用いた「人工知能合奏システム」やダンサーの動きに応じて自動演奏ピアノでフレーズが鳴るシステムなど、ユニークな技術開発を行っているヤマハの全く新しい打楽器のニュース。まだ実物の写真や音などは発表されていませんが、どのような面白い楽器が登場するのか、期待が高まります。

また、ヤマハではありませんが、現代に未だない楽器を発明することをテーマにした「キンミライガッキ」にもユニークな未知の楽器が数多くラインナップされており、2021年5月22日(土)にはYouTubeの配信ライブも予定されています。さまざまな企業の新たなアイデアとテクノロジーの進化により、従来では聴いたことのない音楽のジャンルとアーティストが生まれる未来が来るかもしれません。

ニュース:現代に未だない楽器を発明する「キンミライガッキ」が自動演奏による新感覚の配信ライブを開催

特許情報プラットフォーム内の文献はこちら

広告