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2023.11.24

コラム | 特許文献を愛でる

「餃子麺皮、その製造法及びその利用」株式会社紀文

株式会社 紀文食品

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餃子の皮は円形・・・いずれその常識は覆されるかもしれません。

これまでの円形の皮では製造時に残皮が生じてしまっていたところ、「餃子の皮を六角形にする」というアイデアがSNS上で注目を集めました。六角形にすることで、生地の打抜きかすを減らすことができるためです。ハチの巣にも採用される形状である六角形は、食品分野においても恩恵をもたらしてくれるようです。

ところで「餃子の皮を六角形にする」というアイデアに関して、実は40年以上前に特許が取得されていたことをご存じでしょうか。株式会社紀文が1981年に出願していたのです。

特公昭62-46144:餃子麺皮、その製造法及びその利用

出願人:株式会社紀文 出願日:1981.12.28

「餃子麺皮、その製造法及びその利用」株式会社紀文 特公昭62-46144 より引用

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S62-046144/3D444C7FBDD19B7D8F6217BC71F0D35727A3C4D79145AF6E692F2766AC34AA62/12/ja

特許権の権利範囲を示す特許請求の範囲は以下のとおり。

1. 六角形状の餃子麺皮。
2. 麺皮を筒状とし、六角形状に打抜くことを特徴とする餃子麺皮の製造法。
3. 六角形状の餃子麺皮で具を包み、略五角形の餃子とすることを特徴とする餃子の製造法。

請求項1は、なんと10文字。句点が全体の1/10を占めるという、実にシンプルな内容で特許として認められています。そして第4図に示すとおり五角形となるように具を包むことで、見た目が従来の半円形の餃子とほぼ同じで、違和感なく食すことができるとのこと。

形状の変更で残皮を減らすことができるなんて、素敵ですね。世の中が持続可能性に焦点を当てる中で、このようなアイデアは重要な役割を果たすことでしょう。しかし、少なくとも現在の市販品において、六角形状の餃子の皮は見当たりません。製造方法が難しい等の理由があるのでしょうか。実際の製品に採用されていない理由が気になりますね。

gyoza スーパーの陳列棚に並ぶのは、円形の餃子の皮のみ(筆者撮影)

紀文が1981年に行った特許出願には、六角形の餃子の皮の製造方法や利点に関する情報が含まれています。古い特許出願には、現代においても有益で革新的なアイデアが潜んでいる可能性があるということですね。先人が残した特許文献を読むことで、出願当時における未来へのインスピレーションを感じることもできるでしょう。

特許出願は、知的財産の保護に繋がるとともに、技術や社会の進化を支える基盤情報を生み出す行為ともいえます。特許に興味を持ち、新しいアイデアを創出した際には特許出願を検討してみてはいかがでしょうか。

そして出願の前には是非、既に公開されている特許文献を読んでみることをおすすめします。40年以上前に、似たアイデアを考えて特許出願している先人がいらっしゃるかもしれません。

参考情報
特公昭62-046144

ライティング:Uchida
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