知財ミックスとは？

知財ミックスとは、ある製品やサービスを複数種類の知的財産権（特許権、実用新案権、意匠権、商標権等）で多面的に保護することを指します。

複数の知的財産権を組み合わせることで独自性が守られ、製品やサービスのブランド力をより一層高める効果があります。

知財ミックスが関わるケース

知財ミックスの効果は、特許権や意匠権、商標権といった知的財産権単独の効果とそれらの組み合わせにより生じる相乗効果とからなり、その本質的な効果は相乗効果のほうにあります。

• 意匠権+特許権：製品等の見た目を意匠権で、技術を特許権で保護できます。

• 商標権+特許権：独自の発明や技術を保護し、その技術により提供可能となるブランド体験を商標権でも保護する狙いがあります。

• 意匠権+商標権：製品等の見た目を保護することで唯一無二の商品の「顔」として確立し、そのブランド体験を商標権でも保護する狙いがあります。

※ブランド体験とは、接客や広告、SNSなど、ある商品やサービスからユーザーが享受する経験の全てを指します。

［参考文献］乾智彦、「知財ミックス戦略及び知財権ミックス戦略の本質的効果」、パテント、Vol.69, No.6,日本弁理士会、2016.

知財ミックスの具体例

※詳しい内容は、特許番号や意匠番号、商標登録番号からリンク先をご確認ください。

• iPhoneのスライド式ロック解除（アップル  インコーポレイテッド／特許第5457679号・意匠登録第1356981号）

特許第5457679号より

意匠登録第1356981号より

知財ミックス戦略をとる代表的な企業は、例えばApple社です。特にiPhoneには、スライド式ロック解除など、様々な特許技術が凝縮されています。

• 多機能トイレパック「RESTROOM ITEM 01」（TOTO株式会社／特許第5865574号・意匠登録第1329767号）

特許第5865574号より

意匠登録第1329767号より

こちらは、TOTOの多機能トイレ。車椅子使用者やオストメイトにも優しいトイレで、2009年度のグッドデザイン賞で金賞を受賞しています。

• カドケシ（コクヨ 株式会社／特許第4304926号・意匠登録第1191186号・商標登録第4684894号）

特許第4304926号より

商標登録第4684894号

細かいところも快適に消せる「カドケシ」。こちらは、特許権、商標権、意匠権により、3重に保護されています。

• 雪見だいふく（株式会社 ロッテ／特許第4315607号・意匠登録第1647919号・商標登録第1742355号）

意匠登録第1647919号より

商標登録第1742355号より

「雪見だいふく」も、特許権・意匠権・商標権を取得。独自の技術でお餅を冷やしてもカチカチにならず、オンリーワンの地位を築いています。

知財ミックスにまつわるニュース

タイガー魔法瓶の知財ミックス戦略
https://newswitch.jp/p/26880

中小企業で拡大する知財ミックス戦略
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC095BF0Z00C21A9000000/

アップルvsサムスンの知財訴訟
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1210/10/news009.html