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2025.12.08

インタビュー | 佐渡島 庸平×竹林 正豊

「欲望」に火をつけるのは「いい仮説」。佐渡島庸平が体現するAI時代の楽しみ方 ― 【欲望ハンタージャーナル】 #01

さくらインターネット株式会社, Blooming Camp

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「『やりたいこと』を『できる』に変える」を企業理念に掲げるさくらインターネットは、これまでにITインフラの第一人者として多くの企業や教育の現場にコミット。また、北海道、東京、大阪、福岡、沖縄…と日本各地にコミュニティを形成し、昨年9月に開所した本社兼オープンイノベーションのための施設「Blooming Camp」では、チャレンジの“第⼀歩”を共に踏み出す場所として、オンライン/オフラインを横断した「共創」を活性化させている。

そして今回、さくらインターネット社長室とコネル/知財図鑑の取り組みとして、来たる2030年に向けたスローガン「やりたいが増えちゃう世界へ」を制定。情熱を燃やし、他者を巻き込み、熱量の高い「やりたい」がインターネットのように広がっていく――そんな世界像を模索すべくスタートしたのが、『欲望ハンタージャーナル』である。全5回の聞き手を務めるのは、さくらインターネット社長室・室長で、「Blooming Camp」のプロデューサーでもある竹林正豊さん。知財図鑑とも関わりが深いことから、今回は「欲望ハンター」として任命した。

記念すべき第1回目のゲストは、株式会社コルクの代表・佐渡島庸平さん。『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』といったヒットコンテンツを生み出した編集者として知られ、主宰するコミュニティ「コルクラボ」では数多くのクリエイターを輩出。近年は創作活動をサポートするAI補助ツールを提供している「THE PEN株式会社」の取締役として、漫画家の未来のために奮闘中である。佐渡島さんが思うインターネットカルチャーとファンコミュニティ、そしてAI時代の欲望との向き合い方を聞いた。

僕が読みたいものは、自分で作るしかない

竹林

我々がITインフラの事業をやっている会社ということもあり、最初はこんな質問を…。佐渡島さんが初めてインターネットに触れたのはいつでしたか?

佐渡島

たしか高校生の頃でしたけど、周りの同級生ほど熱中しなかった記憶がありますね。僕は文学にどっぷり浸かっていた人間だったし、学生時代はインターネットを「ツール」としてしか見ていなかった。パソコン雑誌などに書かれている文章も、文学に比べると読むに値しないものだと思っていたんでしょうね。でもそれは、「人の営み」や「人間臭さ」みたいなものを面白がれるほど、当時の自分が成熟していなかったのかもしれません。

DSC00373 佐渡島 庸平|コルク株式会社 代表取締役社長CEO 

竹林

そうだったんですね。僕は佐渡島さんと同世代で、大学では建築を学んでいました。ちょうど2000年前後、iMacが登場し、GoogleやSNSの原型のようなサービスが生まれるなど、インターネットやテクノロジーの力で世の中が大きく変わりはじめていた時期です。

その変化に衝撃を受けて、「物理の建物をつくるより、頭の中で構築する世界のほうが面白いんじゃないか」と、卒業制作ではZINEをつくっていました。今でこそ佐渡島さんはAIやテクノロジーにも精通されている印象がありますが、インターネットに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

佐渡島

実は、講談社時代に『モーニング』のWebサイトを作ったのって僕なんですよ。『モーニング』だけだと予算が下りないから、『アフタヌーン』や『イブニング』の編集部も巻き込んでいって、社内を説得して(笑)。ただ、当時のインターネットって設定も含めて手間がかかりすぎるし、やりたいことに対してコストが見合ってないとは感じていました。

DSC00163 竹林 正豊|さくらインターネット株式会社 社長室 室長

竹林

そんな状況の中で、佐渡島さん自らサイト制作に動いたのはなぜだったのでしょうか?

佐渡島

一緒に仕事をしたい作家がいたからです。たとえば小山宙哉さんの『宇宙兄弟』の前の作品って、アンケートの結果が芳しくなかったんですよ。編集部内での評価を高めたいと思って、当時はまだガラケーでしたけど、ガラケーを使ってでもアンケートを送ってくるような熱量の高い読者の意見も集めたい。それで、オンラインでのアンケートの仕組みを構築しました。ハガキのアンケート結果が悪くても、ネットのほうで上位だったら作品が生き残れるんじゃないかと思ったんです。Webサイトも、自分の担当作を、雑誌以外で宣伝したかったから、周りを説得できる方法を考えた。

竹林

まずご自身の欲望があったと。佐渡島さんはよく「コンテンツの寿命」について語られていますが、当時からそれを意識されていたんですね。

佐渡島

というより、世の中に僕が読みたいものがないから作りたい――というのがモチベーションですかね。よく言われる表現ですけど、欲しければ自分で作るしかない。それで2012年に講談社を辞めました。これだけ社会が渦巻いているのに、恵まれた環境で漫画だけを作っていていいんだろうか?という葛藤があったんです。

欲望に火をつけてくれない仮説は、まだまだ解像度が低いだけ

竹林

佐渡島さんの語る「絵の具が変えた世界」に、僕はとても感銘を受けました。現在は加速度的にAIが大衆にも使われるようになっていますが、絵の具もAIもSNSも、ツールとしてうまく使える人と使えない人が共存していて当たり前。そういった時代において、エージェント/編集者としてテクノロジーの進化をどのように捉えていますか?

佐渡島

たとえばAI動画生成モデルの「Sora 2(ソラツー)」なんかは、パンドラの箱が開いた感じですよね。いずれそうなるのはわかっていたけど、ここまで早いとは思ってなかった……みたいな。クリエイター側の準備もルール整備もままならない中で始まっているし、この流れは不可避です。僕もコンテンツを作っている側の人間ですから著作権を軽視するわけではないけど、水が上から下に流れるように技術の進化は止まらなくて、そのスピードも様々な欲望が渦巻く中で存在するから、コントロールできないのが大前提ですよね。そういう意味では「あるがまま」というか、流れに身を任せるスタンスではあります。

竹林

ありがとうございます。AIを上手に使いこなせる人は、「問い」の立て方と「仮説」の立て方が上手い人なんだと佐渡島さんのnoteでも書かれていましたが、それってまさに「やりたい」が前提にあるのかなと感じていて。僕の場合は、As-Is(現状)とTo-Be(将来あるべき姿)の間にある「差分」や、そこに対してのチャレンジや課題をどういう風に解決するのか――を仮説だと捉えています。佐渡島さんにとって、仮説とやりたいことはニアリーなのでしょうか?

佐渡島

仮説には様々な抽象度があります。「1億総クリエイター時代」の到来と言われますが、それってAIがセットなら本当にそうなる可能性があって。たとえば、AIで大喜利動画を作る世界選手権があったときに、日本人はアフリカ人よりは上手に作るかもしれない。そうして日本人のコンテンツが世界中で視聴されて、全員がその収入で食っていけるようになるのでは――これも仮説としてあり得なくはないですよね。

もっと身近なもので仮説を立ててみましょうか。「竹林さんは今日、トランクスを履いているのか、ブリーフを履いているのか?」という問いを立てたとして…(笑)。「もしかすると超珍しいブリーフ派なんじゃないか!?」と仮説を立てると、確認したくなるじゃないですか。要するに、仮説を立てると答え合わせをしたくなるんです。逆に、答え合わせをしたくならない仮説って、たわ言に過ぎない。それが10年後に答え合わせするタイプの仮説なのか、失礼を承知で目の前で聞けるタイプの仮説なのか…みたいな抽象度の違いはありますけど。

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竹林

仮説すらもエンタメ化できてしまうんですね(笑)。

佐渡島

「いい仮説」っていうのは、科学者とか研究者も含めて自分のその欲望に火をつけるタイプのものなのかなって思っています。欲望に火をつけてくれない仮説は、まだまだ解像度が低いだけなのかもしれませんよ。

竹林

エンタメと仕事の観点で、「やりがい搾取」という言葉に対する考え方についてもお聞きしたかったんです。佐渡島さんは、「やりがい搾取と言われるところには“業務の遊び化”が起きている」といった発言もされていますよね。

新R25チャンネルより、佐渡島さんが「遊びを仕事にする方法」を語るインタビュー

佐渡島

そうですね。「やりがい搾取」と言っている人の多くは、起きている事象への解像度が低いんだろうなと感じるんです。たとえば、料理教室ではお金を払って料理をしてるじゃないですか。だけど別の場所で、それこそボランティアで料理を作るというケースでは、「やりがい搾取」という言葉が生まれたりする。これが「業務」なら、働きに見合ったフィーが発生するだけなのでシンプルですよね。

それに対して、やる人が「学び」になるもの。学びが確実に約束された学校――僕は学校が必ずしもそうあるべきとは思ってないんですが――体系立てて学ぼうって努力している場所が学校だとします。これは提供する側もされる側もコストがわかっているし、お互い「やりがい搾取だ!」なんて言いませんよね。また、ある人にとっては、カバン持ちが100万円払ってでもやりたい仕事なのかもしれない。世の中には整理されてない物事や感情がいっぱいあるんです。

「宇宙兄弟焼肉会」で痛感した、ファンコミュニティのパワー

竹林

弊社では、昨年9月に変化・成長・余白をキーワードにした「Blooming Camp」というイノベーション共創施設を立ち上げたんです。ここはオンラインコミュニティを軸に、オフラインを「ブーストする場所」と捉えていて、日々プロトタイピングやワークショップに打ち込んでいます。佐渡島さんはオンラインサロン「コルクラボ」を2017年から運営されていますが、そもそもどういった経緯で立ち上がったのでしょうか?

佐渡島

発端は、「mixiすげえ!」って衝撃を受けたことですね。昔とある知り合いと話したときに、mixiの「北海道日本ハムファイターズ」コミュニティで今の奥さんと出会った人がいて、「年齢も立場も関係なく話せて盛り上がっているんだよ!」と。そういうファンの熱量とか盛り上がりこそが作品を長寿化させるんですよね。グレイトフル・デッド(※)だってそうじゃないですか?やっぱり、ファンコミュニティを作ることが(当時編集を務めていた)『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』を長生きさせてくれるのかなと考えるようになって。それで、『宇宙兄弟』のファンを集めた「宇宙兄弟焼肉会」を企画しました(笑)。

※ヒッピー文化やサイケデリック文化を代表するアメリカのバンド。「デッドヘッズ」と呼ばれる熱狂的なファンを持ち、その特異な戦略は『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(2011年)で書籍化もされた。

竹林

いわゆるオフ会ですね。反響はいかがでしたか?

佐渡島

限定30名の枠が即完ですよ。作者の小山さんが来るわけでもないのに(笑)。わざわざ北海道から参加された人もいて、上は60代ぐらいから下は20代まで世代もバラバラで、全員初対面なのにめちゃくちゃ盛り上がりました。共通の話題、それが特に好きなものだと一瞬で心を開けるんでしょうね。当日は「もう1軒行くぞー!」となって、新宿・歌舞伎町のカラオケで朝まで二次会をやっていたみたいです(笑)。そこで作品の持つパワーを目の当たりにしまして、これはファンコミュニティをちゃんと作ったらすごいことになるぞ…と。

竹林

ファンコミュニティがきっかけというのは目から鱗です。「Blooming Camp」では「やりたいこと」を「できる」に変えるために必要な仮説検証⾏動をチャレンジに掲げているんですが、コルクラボが他と違うのは、「コミュニティファースト」という言葉を掲げて、コミュニティを実際に作りながら学ぶという点だと思っていて。この発想に至った理由を教えていただけますか?

佐渡島

僕はコミュニティ運営は素人でしたし、万が一炎上なんてしたら作品を傷つけてしまう。だったら僕が実験台になって「コミュニティを考えるコミュニティをやろう」と思いつき、コミュニティに関する本を集めて読書会を主催したんです。これがコルクラボのスタートですね。当初は、会費1万円の読書会に来る人なんていないよな…と思っていたんですが、フタを開けたら10人ぐらいの枠に100人もの応募があり、もうこれ読書会の規模じゃないじゃん!って(笑)。それで「編集」のノウハウを学ぶ体制に変えたら、メンバーが自ら運営をやってくれるようになったんです。

竹林

めちゃくちゃ面白いですね。メンバーによる自治性を重視するDAO(自律分散型組織)的な思想は「Blooming Camp」とも通じる部分があると感じているのですが、佐渡島さんが背中を押すこともあるんでしょうか?

佐渡島

もう立ち上げから8年以上ですけど、僕自身がメンバーに何かを課すことってほとんど無いんですよ。会社だと権力交配があるから、「給料払ってるんだからやれよ!」とか、「これぐらい売り上げるのは当然でしょ」みたいな暗黙の了解があるんだけど、コルクラボの中には「当然」は存在しないんです。年2回の合宿の幹事だってそうで、全員が喜んでやらなくちゃいけない。

竹林

本気で向き合っているからこそ、衝突することもあったり?

佐渡島

そうですね。たとえば合宿の幹事を名乗り出たメンバーが、「こんなツアーコンダクターみたいなことしたくない!」と匙を投げてしまったことがあります。すると、「誰も3万円以内で旅行できるところ探せなんて言ってないよ」「なんでそう思ったの?」っていう口論からディスカッションに発展して。だから最終的に、「どこにも行かない!」という決断になったっていいんです。「そもそもなんでケンカしたんだっけ?」というテーマでめちゃくちゃ盛り上がれますから(笑)。

IMG 8446 「大人の修学旅行」と銘打ったコルクラボの合宿の模様。春・秋の年2回行われ、コルクラボメンバーが幹事を担っている(©コルクラボ)

竹林

コルクラボは入れ替え制ではないから、長年参加されているメンバーもいれば、「出戻り」で帰ってくるメンバーもいるそうですね。佐渡島さんは、コミュニティをどのように定義しているのでしょうか?

佐渡島

コミュニティって、「目的」じゃないんですよね。目的があるとコミュニティじゃなくなっちゃう。これが会社の場合、どちらかというと「チーム」だなっていう感じがあって。コミュニティ、チーム、グループ……みたいな感覚で集団のカタチは色々あるわけですけど、コミュニティには相互扶助の考えがある。コルクラボは、一緒に生活することの楽しさとか、人間関係の楽しさみたいなものを味わう場にしていきたいんです。

自分の中に眠った、トレースできない欲望を引き出す

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竹林

佐渡島さん個人の欲望についても聞かせてください。我々さくらインターネットのビジョン「『やりたいこと』を『できる』に変える」になぞらえて、佐渡島さんがいま一番やりたいことは何ですか?

佐渡島

これからもヒット作品を生み出し続けたいと思っています。最近は「オリジナル」って何なのか?って考える機会が多いんですけど、今ってほとんどのものが何に影響を受けているかが辿れるわけですよ。先日もイラストのトレースが炎上しましたが、どれだけ技術が高くても、簡単に元ネタが辿れてしまうと「なんだ、たいしたことないじゃん」って思われてしまう。いっぽうで、80歳のアーティストが生涯で作品を1点だけ作りましたとなれば、それまでの人生で影響を受けたものがミックスされまくって表現されるわけだから、もはや何がオリジンかわからないということが起きる。

竹林

なるほど、おっしゃるとおりですね。

佐渡島

何が言いたいかというと、世の中にあふれた「やりたい」「あのクルマに乗りたい」「あそこに住みたい」「何々を食べたい」といった欲望って、結局他人からの「やりたい」という欲望が転移してる場合がほとんどなんですよ。CMで見たから「ハンバーガー食べたい」とかもそうですよね。社会とか他人から転移している欲望って、こっちを「消費者」として駆り立てているだけの状態。そうじゃなくって、自分の中で長く眠っていて、もうどこから来ているかもわからないし、それこそトレースできない感情というか…。瞬時に情報がキャッチアップできるAI時代だからこそ、「これは俺がやりたかったことだ!」という作家自身も気づいていなかった欲望を引き出してあげたいなと思っています。

竹林

たしかにその欲望って、AIには奪えない人間だけのものですよね。では、佐渡島さんが個人的に新しく始めたことや、ハマっていることってありますか?

佐渡島

最近は、色んな人に手料理を振る舞うことにハマっています。なぜかというと、毎回その人のためのオリジナル・レシピをAIで作るんですよ。たとえば、「定番のレベルをどう上げるか」を軸に活動しているデザイナーさんを招く場合、「定番なのに見たことも食べたこともない!」と感動してもらえるレシピは何だろう?と考えて、まずはAIにその人のプロフィールや情報をインプットして議論を重ねます。その後は「じゃあ、この人に合ったコース料理を提案して」と打ち込むと、そんなに難しいレシピじゃなさそうなのに「食べたことないかも」っていう料理を提案してきたりする。AIと一緒に未知の料理を食べられるし、実際に美味しいし、すっかり料理熱が再燃しましたね。その流れで、ブッダ、葛飾北斎、アイザック・ニュートンといった歴史上の偉人をテーマにしたコース料理なんかも作っています(笑)。

竹林

振り幅がすごい!今日お話を聞いていて、佐渡島さんのおっしゃる「人の心を動かすものは、いつだって強い衝動から生まれる」という言葉を痛感しました。佐渡島さん自身が一番のクリエイターなんだなって(笑)。

佐渡島

ありがとうございます。『美味しんぼ』で京極(万太郎)さんが泣きながら「なんちゅうもんを食わしてくれたんや」って感動する有名な1コマがあるじゃないですか?究極は、あれを現実でも起こしたいんですよね(笑)。みんなAIを効率化ばかりに使っていますけど、自分が楽しむためにAIを使ったら、もっと人生が豊かになるんじゃないでしょうか。

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欲望ハンター竹林の編集後記

初回の『欲望ハンタージャーナル』は佐渡島庸平さん。編集部からご提案をいただいたとき、いつかお話を伺ってみたかったので、すごくワクワクしました。ぼくは映画やテレビ、雑誌を観るときも、作品そのもの以上に"作り手"に惹かれるタイプで、『宇宙兄弟』や『インベスターZ』の編集者である佐渡島さんの頭の中を、少しでも覗けるんじゃないか──そんな期待で臨みました。

特に印象に残ったのは、AIの"捉え方と遊び方"、そして「仮説」の扱い方。ぼく自身、日々の仕事で仮説検証を繰り返しながら、そこから生まれる"失敗(=成長の種)"を積み重ねて変化をつくることを大切にしているので、佐渡島さんの「答え合わせしたくなる仮説こそが前に進む」という言葉は、その姿勢をもう一段引き上げてくれる強い刺激になりました。

最後に、本編には載せていないけれど、特に刺さった言葉をひとつ。

やりがい搾取のように感じる部分は、エンタメ化――つまり設計側の努力が足りていないだけだ。

いろんなプロジェクトをやる中で、"関わってくれる人のやりがいを搾取していないか"と遠慮が先に立つことがあります。けれど、配慮は大事にしつつも遠慮に逃げず、設計にもっと創意工夫を加えて、体験の質を上げるべきなんだなと。そんな気づきをいただきました。

「欲望」に火をつけるのは、いい仮説。
その火を楽しく、面白く燃やし続けるのが、いい設計。
ぼくは、そんな設計を遊びのように描ける人でありたいと感じた対談でした。


Interview:Masatoyo Takebayashi (SAKURA internet Inc.)
Edit:Kohei Ueno
Photo:Kodai Nagata
Direction:Satoru Kabuyama (Konel Inc.)

佐渡島 庸平

佐渡島 庸平

株式会社コルク 代表取締役社長CEO

2002年講談社入社。週刊モーニング編集部にて、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年講談社退社後、クリエイターのエージェント会社、コルクを創業。著名作家陣とエージェント契約を結び、作品編集、著作権管理、ファンコミュニティ形成・運営などを行う。従来の出版流通の形の先にあるインターネット時代のエンターテイメントのモデル構築を目指している。

竹林 正豊

竹林 正豊

さくらインターネット株式会社 社長室 室長

さくらインターネット株式会社 社長室 室長。ファッション誌の編集者、PR会社にてプランナー/クリエイティブディレクターを経て、2017年にさくらインターネット入社。第一期うめきた本社移転プロジェクトや、経済産業省の委託事業である衛星データプラットフォーム「Tellus」のPR責任者などを歴任し、現職。大阪芸術大学 芸術学部建築学科卒業。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。

さくらインターネット株式会社

レンタルサーバー、VPS、クラウドサービス、データセンター事業などを提供。1996年の創業当初から日本のインターネット黎明期を支え、自社で国内最大級のデータセンターを所有・運営しており、コストパフォーマンスの高い高品質なサービスを提供している。

レンタルサーバー、VPS、クラウドサービス、データセンター事業などを提供。1996年の創業当初から日本のインターネット黎明期を支え、自社で国内最大級のデータセンターを所有・運営しており、コストパフォーマンスの高い高品質なサービスを提供している。

Blooming Camp

さくらインターネットが運営するオープンイノベーションのための施設。2024年9月に大阪にて開所。オンラインとリアルの双方から人々がつながり、チャレンジが生まれる場を目指している。年間数百件のイベント開催に加え、アクセラレーションプログラムや会員制度も提供。

さくらインターネットが運営するオープンイノベーションのための施設。2024年9月に大阪にて開所。オンラインとリアルの双方から人々がつながり、チャレンジが生まれる場を目指している。年間数百件のイベント開催に加え、アクセラレーションプログラムや会員制度も提供。

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