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2024.04.11

レポート | 体験レポート

都会の真ん中で触れる、茅葺きの魅力 ─PLAY EARTH PARK #StrawPlayground─

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国立競技場に隣接する都立明治公園に、GOLDWINの「PLAY EARTH PARK WONDER STORE 都立明治公園」が1月末にオープンしたことを記念し、茅や竹を使った遊び場「#StrawPlayground」が1月31日〜2月12日に開催されていました。今回は期間中に実施された「【Plant Pillow】– 茅枕をつくる– 」ワークショップに、知財図鑑 知財ハンター加藤 なつみが参加体験した様子をお届けします。
(文:知財ハンター/加藤 なつみ)


PLAY EARTH PARK #StrawPlayground とは

スポーツアパレルメーカーのGOLDWINが展開する、「地球で遊ぶ、スポーツの原体験」をコンセプトに掲げている PLAY EARTH PARK。明治公園での新店舗オープンを記念して、藁や竹を使った遊び場「#StrawPlayground」が開催されていました。

監修・製作は、職能集団「くさかんむり」。茅葺き職人であり代表の相良育弥さんを筆頭に、伝統的な茅葺きの修復からコンテンポラリーな茅葺きの実践まで、茅葺きの持つ可能性や魅力を創造し続けるチームです。

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sub3 ©︎ 株式会社くさかんむり

広場には、「こもる(稲藁葺きの屋根の中に、ふわふわに敷かれた藁布団)」「のぼる(竹を藁縄で組んだアスレチック)」「もぐる(割竹を編んで作成された竹のドームとトンネル)」「ねころぶ(自分で藁枕をつくって好きなところにねころぶワークショップ)」が展開されており、都会のど真ん中で、子供たちが自由に遊び回っていました。

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印象的だったのは、その自由な遊び方。公園の遊具というと、滑り台やブランコなど、遊び方がある程度限定されているものが多い印象です。しかしこの茅と竹で作られた遊具は、寝転んだり、掴んで投げたり、集めて山を作ってみたり、埋もれてみたり、子供たちが自由に遊具に触れ、様々な遊び方をしていました。

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PLAY EARTH PARK 05 「こもる」。ふわふわの茅床の上で、子供たちが茅まみれになって遊んでいました。

PLAY EARTH PARK 06 野生に戻ったかのような子供たち。実にカオスな状態で、この後私も茅まみれになりました。

PLAY EARTH PARK 07 「のぼる」。プラスチックや金属の遊具と違って、組まれた竹をつなぐ紐も藁で作られており、竹や茅に触れる機会も貴重です。

【Plant Pillow】– 茅枕をつくる– ワークショップ

期間中、茅枕をつくる– ワークショップがあったので参加させてもらいました。講師は「くさかんむり」代表の相良さんと、お弟子さんである福山さん。茅葺きに触れる機会は滅多になかったのですが、茅葺きの魅力から製作している作品、また茅枕の作り方も一から丁寧に教えてもらいました。

まず、綺麗な茅の束を複数個作ります。手を使ってクシをとかすように茅の毛並みを整えていきます。

次に、束を複数個重ねて、枕の形を作っていきます。束をまとめるときに使う紐も、藁でできた「藁紐」でした。職人さんが手作りで作っているそう。枕本体も、それをまとめる紐も、全て茅でできているとは驚きでした。紐の閉め方も何種類もあるようで、解けないようなしっかり目の結び方を教わりました。

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仕上げに、両端を整えていきます。ここは職人技。パチ、パチという茅を切る心地よい音ともに、相良さんと福山さんが手際よく整えてくれました。ハサミを触らせてもらったのですが、道具を扱うのにも慣れが必要だなと感じました。

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PLAY EARTH PARK 10 茅の断面もいろんな形があり、唯一無二の表情を見せてくれます。

両端を整えたら、茅枕の完成です。子供はもちろん、私を含めた大人も夢中になって作っていました。完成した枕を並べて、みんなで青空の下、しばし寝転びました。

PLAY EARTH PARK 11 PLAY EARTH PARK 公式HPより。茅枕の様子


都会の真ん中で、茅葺きに触れて

なかなか普段触れる機会の少ない茅葺き。昔ながらの家屋では屋根に使われ、植物や鳥が生息することもでき、自然と共生することができる素材です。

茅葺きは五感を刺激してくれるものでした。独特な香りは自然に囲まれているようで、触覚も形によって様々で、束状にまとめたものは頑丈になり、細かくカットして重ねたものはふわふわの茅床になり、側面はツヤっとしているのに断面はざらっとしていたり。光を通して見るとキラッと光ったり、影が入ると表情が変わったり。

私たちは普段、プラスチックや金属などの素材に囲まれて生活しています。なかなか天然の自然素材に触れる機会はありませんが、今回のワークショップを通じて、茅の枕を作っているときも、ゴロンと寝転んだ時の茅床も、柔らかさや香り、そして温かさを全身で感じることができました。普段使っていない感覚や感性が開かれ、自然と心も安らぐようでした。

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茅葺きの魅力と可能性

日本に古くからある茅葺き。知れば知るほど、触れれば触れるほど、引き込まれていく不思議な存在です。

古来茅葺きの始まりは、身近な材料で住処をつくることだったそうです。草や竹や木を、組んだり編んだりして、古くなったら組み替えたり葺き直したり、最後には土に還って堆肥となっていきます。自然といつの間にかかけ離れてしまった現代の生活。茅葺きのある暮らしは、自然と人間のちょうど良い関係性に気づかせてくれる存在なのではないかと感じました。

従来の使われ方である屋根以外にも、様々な表情や作品の可能性を見せてくれる職能集団「くさかんむり」には今後も注目です。

PLAY EARTH PARK 14 くさかんむり公式HPより。こもる・のぼる・もぐる

くさかんむり

https://kusa-kanmuri.jp/

PLAY EARTH PARK #StrawPlayground(*イベントは終了しています)
開催:1月31日(水) – 2月12日(月・祝)
場所:都立明治公園 希望の広場

https://playearthpark.goldwin.co.jp/meijipark/events/play-earth-park-strawplayground/

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取材/知財ハンター

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加藤 なつみ

知財図鑑 知財ハンター。大学・大学院では感性工学を専攻し、修了後にクリエイティブカンパニー・Konelに参画。プロデューサー / UXデザイナーとして、感性を中心に据えた体験設計を軸に、地域から海外、ブランディングからR&Dまで、多岐にわたるプロジェクトを担当。感覚拡張による感性拡張、文化と美意識、自然、愛着がキーワード。

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