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2021.11.10
レポート | 体験レポート
「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021」─ポスト・コロナ時代に向けての新たな第一歩が集結
「ACTION FOR A NEW ERA!」をテーマに開催された「イノフェス」。今年は2021年10月9日(土)・10日(日)の二日間、六本木ヒルズでのリアルイベントと配信のハイブリッド開催となりました。六本木ヒルズアリーナでは、3面巨大スクリーンのステージで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとAR三兄弟・川田十夢氏のARを活用したコラボライブなどが繰り広げられました。
会場の「TECHNOLOGY BOOTH」では、ポスト・コロナ時代に向けての新たな行動を模索するようなテクノロジーが集結。本レポートでは、その中でも特に音楽・映像の未来のアクションにつなげようとする知財に着目しました。
デジタルデータ化した人物を再現する最先端XR体験
▼curiosity, inc.
【概要】Rememory Studioでボリュメトリック撮影したアーティストの立体映像ライブXR(AR/MR/VR)視聴および、アバター操作アプリ体験。
こちらでは現実の人物や場所を三次元デジタルデータに変換し、高画質に再現するボリュメトリックビデオを使った「Rememory」と、自分自身を小人化したアバターに変換できる「AVATAVI」を体験。「Rememory」ではVRゴーグルを装着することで仮想の異世界空間でのライブ視聴という貴重な体験ができました。メタバースにおける未来のエンターテインメントの拡張を肌で感じられる展示でした。
TOKYO ISOLATION
▼知財図鑑 × Konel × 東京電機大学
【概要】この作品では、立体音響テクノロジーとクリエイターのコラボレーションにより「大都会の心地よい孤独」を実装しました。人々が行き交う東京・六本木に96個のスピーカーを搭載した「音響樽」を設置。高精度の立体音響空間の中で日常から隔絶されていく没入感が体験できます。
こちらの展示で使われた「音響樽」は、96個のスピーカーが搭載された、空間の雰囲気までを表現することが可能な音響装置。空間における「音の波」を全方位で収録し再現できることで、まるで遠隔地にテレポートしたような体験を得ることができます。中に入り静かに目を閉じることで、六本木という場所にいながら水中深くに沈んでいったような不思議な没入感を味わうことができました。
世界ゆるミュージック協会
▼株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
【概要】誰でもすぐに弾ける「ゆる楽器」を使って誰とでもすぐに「合奏」でき、音楽の楽しさを実感できる、そんな世界を目指している「世界ゆるミュージック協会」。本ブースでは協会が今まで開発してきた数々の「ゆる楽器」を展示、実際に触って体験することもできます。楽器が苦手な方も是非一度触れてみてください!
こちらでは楽器の知識や経験、年齢にかかわらず音楽を誰もが楽しめる「ゆる楽器」が数多く展示されていました。鼻歌を歌うだけでサックスの音が鳴る「Ultra Light Sax」やPCのタイピングの要領でピアノが弾ける「タイププレイヤー」など、ユーモアの利いたオリジナル楽器を大人から子供までの来場者が手に取りながら楽しんでいました。公式HPには他にもユニークなゆる楽器が多数紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。
新たな分野へのレーザー・イノベーション
▼VENUS LASER
【概要】レーザーショーで培われたノウハウを新たな分野へ応用することにチャレンジ「エンターテイメント」「仮想空間でのレーザーショー」「農業」「交通」「ドローン」レーザーを活用したイノベーティブな製品とサービスを紹介します。
レーザーシンセサイザーマシン「radietor」の展示。アナログシンセ感覚でレーザーVJが可能になります。レーザーグラフィックと音楽の同期による表現ツールとしてはもちろん、夜間における店舗の装飾や案内表示などにも使えそうです。あらかじめ様々なグラフィックパターンが内蔵されており、初心者でも直感的に扱えるのが魅力でした。
スマートミラー「MirrorRoid」
▼株式会社ミラーロイド
【概要】鏡のなかでヘアーシミュレーションを体験。あなたに似合う髪型を探してみよう。
こちらは髪を切る際の細かなニーズに応える、ヘアシュミレーションに特化したスマートミラー。撮影した自身の顔をベースに、さまざまな髪型をアバターのように装着させて最も似合う髪型を導き出します。ただレイヤー的に被せるだけでなく、肌と髪の部分を指でなぞると馴染んでいくといったインタラクティブな要素があるのも魅力です。髪のみならず衣服やアクセサリーなどにも転用できれば、毎朝その日の自分にもっとも似合うファッションを提案してくれるスマートミラーができそうです。
■全体所感
さまざまなブースを通じて、テーマにもある「新しい時代の第一歩」を感じられる一方、まだまだコロナ禍での在り方に試行錯誤し、多様な反応が寄せられる音楽・エンターテインメント業界に求められる期待や、体験型施策への欲求を覚えました。これらのプロトタイプを実現させるためのテクノロジーと、そこに交差するクリエイターの想像力とデザインの力、未来を洞察しバックキャストして「今」を考える重要性を改めて感じました。
ぜひ来年の「イノフェス」では様々な制約を取り外し、思う存分音楽とテクノロジーが融合された体験を楽しみにしたいです。
■開催概要
イベント名:J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI
開催日時:2021年10月9日(土)、10日(日) 開場12時、開演13時
会場:六本木ヒルズ 他
主催:J-WAVE / 筑波大学
企画制作:J-WAVE / 筑波大学 / HOT STUFF PROMOTION / Nu ink.
特別協賛:CHINTAI
協賛:ARCH / エイブル&パートナーズ / 田中貴金属グループ / 凸版印刷
文:知財ハンター/荒井 亮・松岡 真吾