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2022.11.08
レポート
眠らない国・日本から拡がる“快眠の輪”─「sasayaki lullaby」が誘う“音楽×睡眠”の新たな可能性
Konel inc., NTT東日本/東日本電信電話 株式会社, 株式会社 ブレインスリープ
Konelとソニー・ミュージックジャパンインターナショナルは、2022年3月18日の「世界睡眠の日」に、おやすみ前専用の入眠プレイリストプロジェクト「sasayaki lullaby」をローンチしました。ソニーミュージックの名曲・ヒット曲をささやき声で子守唄のようにリアレンジカバーし、おやすみ前専用の入眠音源として、各種音源配信プラットフォームで配信された楽曲プレイリストです。
本プロジェクト発表後、睡眠医学とIT技術で睡眠を追求する株式会社ブレインスリープとNTT東日本が協同し、「sasayaki lullaby」の楽曲が睡眠にどのような効果があるのかを検証する実証実験を行いました。
耳元で子守唄を歌っているような楽曲が、まどろみの中でより質のよい眠りをもたらすことができるのか。実証結果を基に、プロジェクト企画者であるA&R クリエイティブプロデューサーの大多康平氏、開発のキーマンであるNTT東日本 ビジネスイノベーション本部の尾形哲平氏と、株式会社ブレインスリープ取締役の松井大樹氏、知財図鑑 編集長の荒井亮により行われた座談会の様子をお届けします。
sasayaki lullaby Spotify
▼sasayaki lullaby「What Makes You Beautiful」(YouTube) https://sasayakilullaby.lnk.to/YouTube
▼sasayaki lullaby Linkfire
https://sasayakilullaby.lnk.to/WhatMakesYouBeautifulMD
きっかけは子どもの「寝かしつけ」
荒井亮(以下:荒井):今回は、クリエイティブ集団Konelと、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(以下、SMJI)がコラボレーションし楽曲制作した入眠プレイリスト「sasayaki lullaby」を通じて、音楽と睡眠の未来について話していきたいと思います。まずは企画の発案者の大多さんから、プロジェクトにおける役割についてお話ください。
大多康平(以下:大多):私はこれまで、SMJIのチームと海外アーティストや洋楽曲のプロモーションを行ってきたんですが、YouTubeやストリーミングサービスなど音楽の聴取体験が大きく変わっている中で、旧譜楽曲の新たな提供方法として「睡眠」をテーマにしたら面白いんじゃないかと考えるようになりました。Konelと一緒にささやき声によるおやすみ前専用のプレイリスト「sasayaki lullaby」プロジェクトを推進してきました。
A&R(アーティスト&レパートリー)クリエイティブプロデューサーの大多康平氏
大多:「睡眠」に着目した理由は2つあって、1つは「子どもの寝かしつけ」。私には2歳の子どもがいて、絵本を読んだりお腹をトントンしたり、眠れない子どもを寝かしつけようとするんですが、子守唄の効果が高いことに気づいたんですね。でも、楽をしてスマートフォンで子守唄を再生しても全然効果がなくて、耳元で歌うのが一番効果があるんです。歌っていると、私自身も寝落ちしてしまったことも結構あって、子守唄は大人にも効くんじゃないかと思うようになりました。
2つ目の理由は、お笑い芸人のミルクボーイさんのYoutubeコンテンツ「おやすみミルクボーイ」です。お2人がささやき声で漫才を披露するのですが、彼らの漫才を聞いていると、本当に眠くなってくる。そこから、ささやき声で歌われたら大人も気持ちよく眠れるんじゃないかと思い、SMJIのチームでアイデアを共有したら「面白いね」と。そこがスタートですね。
荒井:「寝かしつけ」の個人的な体験と、旧譜を普及させたいビジネスのミッションが結びついたんですね。僕も子どもの寝かしつけで寝落ちすることが本当に多く、とても共感しました。
尾形さんは「sasayaki lullaby」をはじめて聞いたとき、どのような感想を持たれましたか?
尾形哲平(以下:尾形):NTT東日本では、睡眠医学の知見を持つ株式会社ブレインスリープとワンチームで企業や自治体に睡眠の質の改善を提案したり、新しい価値の創出を行ったりしています。「sasayaki lullaby」は、知財図鑑がメンターとして入っている虎ノ門のインキュベーションセンター「ARCH」で出村さんと立ち話をした時にこの企画を耳にして、ぜひご一緒したいと感じました。
まず、“おやすみ前専用の入眠プレイリスト”というキャッチフレーズにとても魅力を感じましたね。寝る前の音楽ってクラシックとかASMRとか、声が入っていないものが主流だと思うんですが、「sasayaki lullaby」は声で寝かせるので、そこも面白いなと思いました。
NTT東日本ビジネスイノベーション本部の尾形哲平氏
荒井:企画の発案当初は、NTTさんのプロジェクト参画は想定されていなかったと思いますが、大多さんはどういう展開を想定されていましたか?
大多:眠れない人たちに良質な睡眠を提供したい思いが先にあって、効果検証もいずれできたらとチームでは話していたんですが、縁あってNTT東日本さん、ブレインスリープさんと効果検証できたのはとても幸運なことでした。
松井大樹(以下:松井):日本は“世界で一番寝ていない国”と言われるほど、睡眠課題がとても多い国です。ブレインスリープは国内の睡眠課題の解決を目的に、2019年に創立した睡眠に特化したスタートアップ企業です。巷だと枕やベッドなどのプロダクトがよく話題になるんですが、商品の提供だけではなくNTTとタッグを組んで睡眠の効果検証やコンサルティングを行ったり、良質な睡眠を促す鍼灸マッサージ店を運営したりと、幅広い事業を展開しています。
「sasayaki lullaby」については、尾形さんから詳細を聞いている中で、なにか一緒にできたらと徐々に関わり始めました。
左:ブレインスリープ取締役の松井大樹氏
実証された「sasayaki lullaby」の効力
荒井:効果検証は実際にどのように行われたんでしょうか。
松井:2つのステップに分けて検証を行い、主に「sasayaki lullaby」のプレイリストが睡眠にどのような影響を及ぼすかを検証しました。ステップ1では、音楽を聴くことによって変化する自律神経活動を評価し、プレイリストが日中に及ぼす影響について検証しました。要は、日中に音楽を聴くことでリラックスしたかどうかですね。ステップ2では、音楽が睡眠に及ぼす影響について検証しました。
ステップ1では、音楽を聴いた時と聴いてない時とで自律神経に関するデータがどのように変化するかを曲別に検証しました。まず、全体で見た時はあまり変化はなかったので、曲ごとのデータなど、さまざまな方法で特徴を解析しました。すると、耳馴染みのある曲の場合は、交感神経が優位になり、軽く興奮したような状態になった一方で、別の曲では、副交感神経が若干優位になり、リラックスしたような状況が全体的に現れました。
検証では被験者がすでに知っている曲の場合は興奮する傾向が、知らない曲の場合は、リラックスする傾向が見受けられました。この結果は想定していなかったので、とても興味深かったですね。
右奥:知財図鑑 編集長の荒井亮
荒井:確かに知ってる曲だと耳で追いかけちゃうというか、メロディーを自分で想定できますよね。ステップ2の場合はどのような結果が出ましたか?
松井:ステップ2では、ベッドに入ってから実際に眠るまでの時間を示す「睡眠潜時」を計測しました。一般的に人は、ベッドに入ってから10分~20分で眠りにつくことが多いんですが、今回の検証では、曲を聴かなかった場合は19.9分だったのに対し、音楽を聴いた場合は11.1分と、聴いた時と聴いていない時で明確な差がありました。
荒井:「睡眠潜時」というのは、寝つきの良し悪しを示す指標ですね。曲を聴いている時の方が、寝つきが改善されてすぐに寝てしまうと?
松井:そうですね。ささやくような曲調の場合は、リラックスして寝つきが良くなることがデータとして示されたんじゃないかと思っています。
荒井:他の指標についてはどうでしょうか?
松井:データとして最も顕著に出たのは寝つきの良さでした。他に測定した指標は、寝てる間に目覚めてしまった時間を示す「中途覚醒時間」。それから、目が覚めてからベッドを出るまでの「起床潜時」ですね。朝、心地よくパッと目覚められると、すぐにベッドから出られるじゃないですか。目覚めが良いほど「起床潜時」は短くなる傾向があって、今回の検証では、寝つきも目覚めもどちらも良くなったというデータが出ています。
荒井:これはもう、成功ってことでいいんじゃないですかね?(笑)「sasayaki lullaby」を聴くだけで寝つきと目覚めが良くなって、質の良い睡眠もキープできるのはすごいですよね。
松井:これまでの実証で音楽を聴くと寝つきが悪くなるというデータもあったり、歌声がある曲は、ない曲に比べて身体が反応しやすかったりするので、「sasayaki lullaby」も歌声なので、良い結果が出にくいんじゃないかと思っていました。寝つきの結果がはっきりと出てきた時は素直に面白いなと。
荒井:ちなみに、検証に参加した被験者の方の声はどのようなものでしたか?
松井:検証後のアンケートでは、音楽を聴くことでスッと眠りに入れたといった声もありましたね。ささやきの力を感じるコメントは結構ありました。
大多:ソニーミュージックのチームでも寝つきの悪い方がいるんですが、「sasayaki lullaby」を聴くようになってから気持ちよく眠れるようになったという声はありますね。あと、自分の子どもがスッと寝れるようになったので、新しくママやパパになる方がご自身の睡眠だけでなく寝かしつけに使ってくれたら僕としては義務を果たせたかなと。
人生を左右する“良質な睡眠”の重要性
荒井:大多さんは、「sasayaki lullaby」で当初、どういったアーティストや楽曲の制作を想定していたんでしょうか。
大多:楽曲に関しては、まずSMJIの楽曲であることが前提です。その上で、One Directionの「What Makes You Beautiful」やBackstreet Boysの「I Want It That Way」など、世界的にヒットした耳馴染みのある曲を選曲しています。あとはDoja Catの「Say So」や24kGoldnの「Mood」など、日本ではまだそこまで馴染みはないけど、最近リリースされた曲も選曲しています。
One Direction
One Direction「What Makes You Beautiful」(sasayaki lullaby) Spotify: https://open.spotify.com/track/54kqQ0uvKO5iSNBZLPfCg8?si=03674065b2a24f49
Backstreet Boys
Backstreet Boys「I Want It That Way」(sasayaki lullaby) Spotify: https://open.spotify.com/track/5PWtio4POyn3xjfbNYs5Us?si=6484bfae527c49ee
荒井:睡眠に適した形で、アーティストさんにささやき声でアレンジをお願いしたということですよね。
大多:そうですね。レコーディングの時はリスナーの耳元で歌っている感じで歌ってください、とディレクションしました。ミックスの際に声が一番近くにあるような形にしたり、冒頭に環境音を入れてドリーミーな雰囲気を醸し出したり、入眠時に流れていたら気持ちよく感じる効果は随所に入れています。
荒井:チームで総力を挙げて「寝かせてやろう!」という感じですね(笑)。
大多:ちなみに企画にあたっては「最後まで聴けない音楽を作ろう」という裏テーマを設定していました。
耳元で歌っているような、声が近くにあるような音源同様に、PV映像もささやいているムードで撮影された。
荒井:音楽業界でも健康やウェルビーイングの観点での楽曲制作に注目が集まってるんでしょうか?
大多:ソニー・ミュージックでは、今年久々に「image」という癒し系コンピレーションアルバムが復活したので、そういった点では「音楽×ウェルビーイング」も盛り上がっているかもしれません。スマートスピーカーの普及で、家中どこでも音楽を聴ける環境が広がり、音楽業界にいる身としては、眠る直前まで音楽を聴いてもらえる環境の出現が良いチャンスになっている気がしますね。
荒井:確かにハードウェアの進化で、真っ暗な部屋の中でも声の指示で曲を再生できたり、自由にコントロールできる環境が整ってきています。音楽に接する時間も増えて、新しいシチュエーションが生まれてきたということですね。
松井:誰もが聴く音楽が、自分の睡眠習慣を見直したり、睡眠を改善する音楽以外の要素に目を向けるきっかけになるのはとても面白いですよね。ブレインスリープも、良質な睡眠により、マイナスの状態をゼロにもっていくのではなく、ゼロをプラスにして、人間の可能性を目覚めさせることをミッションに据えています。寝具の販売だけでなく、睡眠に関する知識や関心を高める活動も積極的に行う必要があると思っています。ポテンシャルを目覚めさせるためにもっと良い睡眠をとりましょう、と。こういった考えをもっと世間に発信したいですね。
荒井:良質な睡眠は日常生活のベースですからね。朝気持ちよく起きて、テンションが良い状態で始めると1日の過ごし方が違います。
松井:人生の3分の1から4分の1は睡眠に費やしているわけですから、睡眠とどう向き合うかで残りの人生が決まるといっても過言ではないと思います。ただ、良質な睡眠を取るには寝る前にスマホ使っちゃダメ、これしなきゃいけません、では苦しいし、行動の制約になってしまう。そうではなく楽しみながらできて、なおかつ良質な睡眠が取れたらすごく良いなと。
無限に拡張する「睡眠×○○」の可能性
荒井:「sasayaki lullaby」は、睡眠に携わる企業同士の共創の入り口になると思いますが、この先のロードマップはあるんでしょうか?
尾形:この取り組みはファーストステップだと思っていて、男性の声だとどうなのかとか、どの言語が一番適しているのかとか、「睡眠」という観点でさまざまなトライができると思っています。眠りに特化したアーティストによる生演奏もやりたいですね。海外ではマックス・リヒターという音楽家が行った「スリープ」という寝るためのコンサートがあるんですが、「sasayaki lullaby」でも生演奏のコンサートを考えていて、大多さんと目下プランニング中です。
荒井:良質な睡眠を提供するコンテンツをパッケージ化できそうですね。ヤクルト1000も用意して、仕上げに「sasayaki lullaby」を歌うという(笑)。眠りにつかせるだけじゃなくて、寝てる間も演奏し続けることで、良質な睡眠を維持できれば良いですね。
松井:人によって音楽や香りが効くとか、ヨガやサウナの方が効くとか、多様性があると思うので、人ごとにパーソナライズできたら面白いですね。
尾形:私は世界一寝てない国・日本から睡眠のムーブメントを起こすことにとても意味があると思っているので「sasayaki lullaby」の試みはすごくいいな、と。こういった試みは、カルチャーづくりに近いと思っていて、単純に音楽と睡眠を掛け合わせただけでは成り立たない。クリエイティブの要素や訴求の仕方、アートの文脈づくりが必要だと思っているんですが、このチームであれば実現できそうな気がしています。
荒井:さまざまなプレイヤーに睡眠業界に参入していただけたら良いですね。最後に、今後コラボしていきたい方がいれば教えてください。
大多:今回は洋楽の曲を選曲しましたが、今後は邦楽の曲にもトライしたいですね。また、今回の楽曲たちのベースはアレンジがピアノでしたが、弦楽器や金管楽器など、さまざまな楽器でトライしたいです。ブレインスリープさんの検証結果では、知ってる曲と知らない曲で明確な差がありましたが、日本語だと童謡や子守歌含め知っている曲が圧倒的に多いと思うので、そこをアレンジしてみたいですし、そういう方とパートナーになれたらと思っています。
尾形:「睡眠×音楽」という切り口では、「sasayaki lullaby」の生演奏など、検証を深めながらさらにサービス拡張を図っていきたいですね。また、CAさんや看護師さんといったシフト勤務の方は睡眠に悩んでいるらしく、「仮眠」に関しても別途アプローチしていければと思っています。
音楽以外の切り口だと、睡眠業界は今、睡眠に一見関係ない企業が続々参入してきていて、弊社も「睡眠×住居」「睡眠×香り」といった組み合わせで異業種コラボを行っています。
が、参入の障壁がかなり高くて、睡眠医学やデータ解析の知見が無いといけなかったりするんですね。こういった背景から、私たちは9月3日にブレインスリープと共同で「ZAKONE(ザコネ)」という睡眠コミュニティをローンチしました。これは、睡眠に関する情報の提供や睡眠に関わるキーマンの紹介を行うコミュニティで、業界の参入障壁を下げて参入の輪を広げていくことを目的としています。
松井:僕はホテルとタッグを組んで、睡眠イベントを開催したいですね。例えば、ホテルの全客室に「sasayaki lullaby」が流れているとか、どこのホテルが一番最初に全員寝たかで対決をするとか、そういうイベントも面白いと思っています。睡眠って奥が深くて身近なんだけど、だからこそ、ないがしろにされがちで、その分チャンスもたくさんある分野だと思っています。
荒井:睡眠は大事なものではあるけど深刻に捉えず、楽しく良い睡眠がとれたら人生とか仕事に対して良いフィードバックが起きて、良い未来が開けるかもしれない。ヨガをやるくらい気軽なアクティビティとして睡眠を考えることができれば楽しいかな、と思いました。今日はありがとうございました。
左から 知財図鑑編集長 荒井亮、A&R クリエイティブプロデューサー 大多康平氏、NTT東日本ビジネスイノベーション本部 尾形哲平氏、株式会社ブレインスリープ取締役 松井大樹氏
座談会からは、「sasayaki lullaby」の確かな効果や良質な睡眠の重要性、注目を集める睡眠業界の様子などが語られました。
“世界一眠らない国”と呼ばれている日本。「sasayaki lullaby」の取り組みは、日本がそんなイメージを払拭する最初の一歩となるのかもしれません。
皆さんにも、睡眠課題に悩んでいる方が多いはず。1日を気持よく迎えるためにも、「sasayaki lullaby」を使ってみてはいかがでしょうか。
■「sasayaki lullaby」再生・購入はこちら
https://sasayakilullaby.lnk.to/EPVol1AW
■「sasayaki lullaby」公式サイト
https://www.sasayakilullaby.com/
■プレスリリースはこちら
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000057032.html
Interview:荒井 亮/Text:柴田 悠