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2026.05.28
レポート
カンヌライオンズ2026 開幕直前レポート:オプラが来て、Appleが来て、新たな偉業が達成される

毎年6月に南フランス・カンヌで華々しく開催される世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ」。会期中は、数百にも及ぶ講演やセッション、活発なネットワーキングイベントに加え、権威あるカンヌライオンズ賞の授賞式が執り行われます。今年も、ガリアーノインスピレーションズ代表の阿部光史が、歴代の作品から、特に注目すべき作品群をご紹介します。
(文:阿部光史)
毎年6月、南フランスの海沿いの街カンヌに世界中の広告・クリエイティブの関係者が集まる。世界最大の広告祭、カンヌライオンズだ。今年は6月22日(月)から26日(金)の5日間にわたって開催される。
開幕まで1ヶ月を切った今、届いているプレスリリースを読んでいたら、「これは業界関係者だけでなく、広く伝えた方が良い」という情報がいくつか揃ってきた。開幕前の予習として、簡単に整理しておきたい。
オプラ・ウィンフリーが来る
今年最大のサプライズは、オプラ・ウィンフリーOprah Winfreyが登壇することだろう。
オプラ・ウィンフリーは、アメリカを代表するトーク番組の司会者、メディア・プロデューサー、女優、そして慈善家である。貧困と過酷な環境を乗り越え、自身の名を冠したトーク番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』を世界的ヒットに導いたことで知られている。
彼女は今年の「Cannes LionHeart」受賞者として発表された。LionHeartとは、カンヌライオンズが設ける最高名誉のひとつで、自らのプラットフォームや影響力を使って社会に長期的で意義ある変化をもたらした人物に贈られる賞だ。「有名であること」ではなく、「その影響力をどう使ってきたか」が問われる。
オプラは6月23日(火)午前10時、ルミエール劇場のステージに立つ。世界中のクリエイターが集まる場で彼女がどんな言葉を語るのか。今から楽しみにしている。
Appleがまたカンヌのステージをジャックする〜エディ・キューと、ジェリー・ブラッカイマー
昨年(2025年)のカンヌライオンズで「Creative Marketer of the Year」を受賞したのはAppleだった。そして今年は、Appleのシニアバイスプレジデントであるエディ・キューが「Entertainment Person of the Year」として表彰される。
エディ・キューは、Apple TV+やApple Music、さらには映画『F1』の米国独占放映権など、Appleのエンターテインメント事業全体を束ねる人物だ。『Severance』『Ted Lasso』『The Studio』など、近年、批評家から絶賛されたApple TV+の作品群は、いずれも彼のリーダーシップのもとに生まれている。
この受賞について、カンヌライオンズCEOのサイモン・クック氏は次のように述べている。「エディ・キューはエンターテインメントとストーリーテリングの境界を一貫して押し広げ、観客が文化と関わる方法を再定義するプラットフォームや体験を構築してきました。」
ここで面白いのは会場での登壇相手だ。6月22日(月)のリュミエール劇場、エディ・キューのとなりにはジェリー・ブラッカイマーが座る。『トップガン』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『アメリカン・アイドル』などを生み出し、ハリウッドを代表するプロデューサーが、広告祭の壇上に上がる。
広告・エンターテインメント・テクノロジーの境界線が溶けている。カンヌは近年、そのことを体現する場になってきている。
AB InBevが3度目のCreative Marketer of the Year
マーケティング業界の中では、もうひとつ歴史的なニュースがある。
バドワイザー、コロナ、ステラ・アルトワを傘下に持つ世界最大のビール会社、AB InBevが今年も「Creative Marketer of the Year」を受賞した。過去5年で3度目という、これまで誰も達成したことのない記録だ。
この賞はひとつのキャンペーンへの評価ではなく、「継続的に世界水準のクリエイティブな仕事を生み出し続けてきたマーケター」に贈られる。3回の受賞が示すのは、ある年にヒット作が生まれたのではなく、創造性を組織の中に仕組みとして組み込んでいるということだ。開幕初日6月22日(月)午前10時、彼らが基調講演を担当する。上のアップルのセミナーと被ってないかチェックしなくては。
新しい賞が生まれる:「Creative Brand Lion」
今年から、新しいカテゴリーの賞が加わった。「Creative Brand Lion」だ。
従来のカンヌライオンズが評価してきたのは、主に「広告作品」だった。しかしこの新賞の評価対象は少し違う。ブランドが「世界水準のクリエイティブな仕事を、必然的に生み出せる組織・文化・仕組みを持っているか」を問うものだ。
作品ではなく、作品を生む土壌そのものを表彰する。こういう発想が生まれてきたこと自体、クリエイティビティの評価軸がどこへ向かっているかを示しているのかもしれない。カンヌはまた応募フィーを集めたいのか、という商売心が透けて見えるにしても。
他にもステラ・マッカートニーが登壇するなど、今年のカンヌは、開幕前からすでに話題が豊富だ。さらに新しい情報が入ってきたら、またこちらでお伝えしたい。
阿部光史
クリエイティブディレクター / コピーライター
株式会社ガリアーノインスピレーションズCEO
東京工芸大学非常勤講師
クリエイティブディレクター / コピーライター / CMプランナー。株式会社ガリアーノインスピレーションズCEO、東京工芸大学非常勤講師。広告キャンペーンの企画制作をメイン業務としつつ、クリエーティブなアイデア・発想力についての講義やワークショップを大学等で行っている。電子工作にも造詣が深く、SXSWへの出展などを通じてイノベーティブな技術領域の企業プロトタイプ製作支援も行う。
X: @galliano
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