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2021.10.22

レポート | 体験レポート

CEATEC 2021 ONLINE ー知財ハンターが注目する「人に寄り添うテクノロジー」4選

富士通 株式会社

会場イメージ

CEATEC 2021 ONLINEのスローガンは、昨年に続き「CEATEC - Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)」。コロナ禍を経て大きく変化した社会におけるSociety 5.0実現するために「カーボンニュートラル」「スーパーシティ&スマートシティ」「モビリティ」「5G」の4つが特に重点テーマとなっており、これらに沿ってさまざまなカンファレンスも開催されました。

そして、多くの出展者・技術の中で今回知財図鑑が注目したのが、ダイバーシティー時代における“すべての人に寄り添うテクノロジー”です。社会的弱者と呼ばれる障がいを持った人や、遠く離れた場所にいる人、外出が難しい人など、さまざまな人々のハードルをテクノロジーの力で取り除く、やさしい技術を紹介します。

聴覚・視覚障がい者支援システム

▼アルプスアルパイン株式会社

電子部品および車載情報機器メーカーのアルプスアルパインでは、聴覚・視覚支援機能を備えたネックスピーカ型ウェアラブル機器を開発中。

・3Dサウンド・ハプティック®︎で聴覚・視覚情報をわかりやすく伝え、日常生活と移動のサポートを実現していること 

・環境音識別AI・音源位置推定アルゴリズムによる独自認識技術と3Dサウンドハプティック®︎によるユーザーフィードバック技術を統合したこと

が主な特長で、ユーザーファーストなデバイスとなっています。

聴覚支援デバイス

アルプス画像

肩にかけるというシンプルな形状で、聴覚障がいのある人には振動で、視覚障がいのある方には音で周囲の状況や目的地をわかりやすく知らせる仕様です。また環境音を識別し必要な音を聞き分けるAIや、音の方向を推定するアルゴリズムなど、複数の技術を掛け合わせることで利用時のニーズに沿ったサポートが可能に。

同社によると、まずは視覚や聴覚の障がいを持つ方々へのユーザビリティを磨きつつ、現在実装している緊急情報の報知だけでなく「周りに何かありそうな気配を伝える」ような、環境センシング技術や触覚・サウンドによる情報提示技術の開発、関連アプリケーションの広がりも視野に入れているとのことです。さらにこのような「ユーザーにとって分かりやすい新たな情報伝達方法」のような基礎技術は、障がい者以外の方々や幅広い市場への応用が可能であるため、今後の活用フィールドの広がりが期待されます。

「遠隔医療」を支える取り組み

▼株式会社ゼンリン

住宅地図やカーナビゲーションなど地図情報を使って企業の活動や人々の移動を支援しているゼンリン。「地図情報を活用した地域課題の解決支援」というテーマのもと、離島や山岳地などの医療提供不足に悩む地域に向けて、遠隔医療を支える取り組みを行っています。

・医師と患者の位置情報を連携し、患者へのシームレスな診療機会増加に寄与

・ドローンを用いた医薬品輸送手段の強化により、スピーディな処置を実現

・効率のよい遠隔診療体制により、医師の働き方改革を実現

等の側面から、地域へ貢献しています。

ゼンリンイメージ

高齢化社会の到来や過疎化問題を受け、昨今ますます重要性が増す遠隔医療。各業界・地域でさまざまな取り組みが行われていますが、ゼンリンでは同社が培った精緻な地図データを活用した包括的な仕組みを提供しています。リアルの医療現場と連携し、医師の処方のもと配送指示された薬が的確な位置情報データをもとに自宅に迅速に届くー。そんな医療サポート体制が広がれば、地域医療への不安が軽減し、魅力ある地方への居住ニーズが増すのではないでしょうか。

同社は遠隔医療のほかにも“移動”という観点において“誰もが移動をあきらめない”世の中の実現を目指しており、自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど、移動に必要なあらゆるネットワークを一つの空間に組み込んだ「Mobility based Network」を開発しています。同社によると、「MaaSに最適化されたこの基盤データベースに対し、交通結節点のデータ拡充を行い、更なるバリアフリーサービスへの貢献を目指しています。また、地図データと様々な情報を掛け合わせることでユーザへの最適な情報の提供を行うほか、ユーザーの行動履歴などの情報の活用によって、あらゆる人が移動に前向きになる環境を作っていきたいと考えています。」とのこと。まさに多くの人々の生活に役立つテクノロジー、今後の展開が楽しみです。

未来のスタジアム体験

▼富士通株式会社

総合エレクトロニクスメーカー・ITベンダーの富士通は、今回の出展で社会課題解決や変革に役立つソリューションや取り組みを公開しました。その一つである「豊かで持続可能な社会の実現」というテーマでは、川崎市と連携した「未来のスタジアム体験」を紹介。同社はデジタルツインが提供する新しいエンターテイメントの創出を目指しており、その第一弾として富士通の拠点がある川崎市の「川崎フロンターレ」のホーム「等々力陸上競技場」をバーチャル空間に再現します。

・時間や場所に囚われずに、これまでにないスタジアム体験ができる。

・将来的にはリアルとバーチャルの融合によるファンエンゲージメントを加速、新しい顧客体験の創出につなげる。

等を視野に開発が進んでおり、これまでのスタジアムのあり方を変える取り組みとなることが期待されます。

富士通フロンターレ

富士通がオフィシャルパートナーを務める川崎フロンターレは、サポーターとの関係性が強く、地元川崎市とは幅広い連携をしていることでも知られています。その人気の高い川崎フロンターレの試合を、誰でもどこからでも観戦することができれば、ファンとのエンゲージメントが高まるだけでなく、さまざまな理由でスタジアムに来られない人たちに寄り添う体験の創出につながります。スタジアムの熱気をリアルに伝えるデジタルツイン技術活用のひとつの形としてどんな体験が提供されるのか、今後の展開に注目したい取り組みです。

洋上風力発電とアルミケーブル向けソリューション

▼TE Connectivity

自動車・産業機器・医療・エネルギー・データコミュニケーション等の広範囲な業界にコネクティビティとセンサソリューションで貢献するTE Connectivityからは、「洋上風力発電とアルミケーブル向けソリューション」を取り上げます。脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーへのパラダイムシフトが言われる中、特に洋上風力発電はその切り札とされています。TE Connectivityでは以下の技術を紹介しています。

・洋上風力に不可欠な接続剤“RSTF”の製品ラインナップ

・昨今高止まりを続ける銅に代わり注目を浴びている、アルミを導体としたケーブル用のコネクタと端子の製品群

風力発電コネクト

2050年度までに温室効果ガス排出ゼロを掲げる日本政府。先ほど経済産業省は洋上風力について2030年までに1000万キロワットの導入にめどを付ける方針であると取りまとめました。洋上では陸上に比べ大きな風力が得られるため、海に囲まれた日本にとっては有力な再生可能エネルギーのひとつです。その開発における縁の下の力持ちとなる接続剤・コネクタは、人々の暮らしを持続可能なものにするためのキーテクノロジーと言えます。再生可能エネルギーの先を行くヨーロッパに続き、どこまで日本でもこの流れを加速していけるか、グローバルの知見が集まるTE Connectivityの技術に期待が高まります。

以上、知財ハンターが注目した「CEATEC 2021 ONLINE」での“人に寄り添うテクノロジー”でした。CEATECメインイベントは本日10月22日(金)まで開催です。気になった方はぜひ各展示会場を訪れてみてはいかがでしょうか。


CEATEC 公式HP

アルプスアルパイン株式会社

株式会社ゼンリン

富士通株式会社

TE Connectivity

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