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大阪・関西万博
2025.07.09
レポート
建築とテクノロジーを巡る、大阪・関西万博一泊二日 視察レポート
5月某日、大阪・関西万博を初めて訪問。
東京から前乗りして二日間、多くの美しい建築とランドスケープ、そして最先端のテクノロジーに、多くの刺激をもらった滞在となりました。
この記事では筆者が体験したものの中から、特に印象に残った場所をダイジェストでお届けします。これから万博を訪れる皆さんのモデルプランにもなれば幸いです。
※メディアとして参加のパビリオンもあるため、このままのコースは再現できない箇所もあります。あくまで一例としてお読み取りください。予約等は万博公式サイトをご確認ください。
今回のコース
うめきた再開発視察(新大阪駅周辺・グラングリーン大阪)
↓
大阪・関西万博
・シグニチャーパビリオン「EARTH MART」
・ヘルスケアパビリオン(リボーン体験・企業展示・モンスターハンター ブリッジ)
・フランスパビリオン
・パソナグループパビリオン
【1日目】
大阪中心部の再開発視察と、万博に向けた予習を兼ねて、うめきたエリアへ向かいました。
■グラングリーン大阪
Konelが企画に携わった、さくらインターネットが運営するオープンイノベーションのための拠点「Blooming Camp」へ。「やりたいこと」を「できる」に変える場として、リアルとオンラインの両方で人々が集い、つながり、新たな挑戦が生まれることを目指すこの場所、新しい出逢いをアシストするAIプラットフォーム「Buddies」も楽しく、多くの人々が利用する賑わいある拠点でした。
続いて「うめきた公園」へ。よくぞこの立地にこれだけの空間を!と驚くほどの広々としたエリア(通常ならお金を生む商業施設やオフィスにしがちですよね)。SANAAの作る余白たっぷりの流れるような大屋根はとても美しかったです。
一方、できて半年ほどの芝生広場とその周辺は、きれいに整いすぎていてまだ人々の血が通ってない印象も。これから時間をかけて景色と人が馴染んでいくのが楽しみです。
【2日目】
いよいよ本丸、大阪関西万博へ。視察した中でも印象に残った箇所をいくつかご紹介します。
※泊まりがけで行く場合は、夢洲駅の通る大阪メトロ中央線沿いの駅にホテルをとるのがおすすめ。
筆者は谷町四丁目の駅前に泊まり、快適なアクセスでした。※キャリーケースの会場持ち込みは禁止なので注意。ホテルに預けて出かけるのも◎。
とにかく歩くのでスニーカー&少ない荷物がベストです。紫外線対策の帽子や日傘も必須。
10時の予約に合わせて行くと、この状況。ただし混んではいたものの誘導オペレーションが的確で、見た目よりもノンストレスですいすい進むことができました(これは各パビリオンも同様。さすが日本のホスピタリティですね)。
■EARTH MART
小山薫堂氏が手がけるシグニチャーパビリオン。「食への感謝」を伝えるというコンセプトの通り、毎日の食をさまざまな角度から見つめ直す展示で、個人的にもとても楽しみにしていたコンテンツのひとつです。
展示は長崎県の農家さんが集めた在来種の展示からスタート。入り口に草の香りが広がって、野菜の一生が体感できる、序盤から考えさせられる内容。
食材の美しさはもちろん
食の流通プロセスや消費量についても、「そうだったのか!」とデータを基にした事実ベースで体感できる仕掛けが秀逸でした。
“個人”と“世界”を行き来しながらその繋がりを自然と意識させる展示手法も素晴らしかった点のひとつ。
そして後半は世界の最先端フードが集結。昆虫食や代替肉、宇宙食など、未来の食の可能性を五感で体験できるマーケット型展示でした。
■大阪ヘルスケアパビリオン
『REBORN ”「人」は生まれ変われる”、“新たな一歩を踏み出す”』がテーマの人気パビリオン。パーソナライズドが進む医療やウェルネスの進化を楽しく体感できる場所です。
リボーン体験(カラダ測定ポッド)
カラダ測定ポッドに入り、短時間で髪や肌などの7項目の健康状態を測定。その結果をもとに生成される25年後の「ミライのじぶん」を見ることができます。健康的な生活をしているとは言い難い筆者ですが、意外にも健康体と測定されたので嬉しかったです。
CO2回収装置「Syllego」
パビリオン内には、各企業の環境と健康の未来を担う技術が集結。CO₂の資源化技術や培養肉など、サステナブル社会の最前線が紹介されていました。中でも筆者が気になったものの一つがこちら。
SyncMOF株式会社が手がける、多孔性物質「MOF」を活用した、空気中のCO2を効率的に集める装置です。これを自転車のヘルメットにつけてツーリングしたり、楽しみながらCO2を回収して有効活用するという画期的な取り組みがされています。詳しくはこちら。
モンスターハンター ブリッジ
人気ゲーム『モンスターハンター』の世界に没入できる、360度シアター・ARデバイス・音や振動のすべてが融合した体験型コンテンツ。詳しくはこちら。
会場前のオブジェのクオリティにまずびっくり(これはCGではなく写真です...)。
ARデバイスを装着し、360°シアターが設置された会場内へ入ります。
圧巻の没入感。映像にリンクした床の振動もリアルで、ゲームの世界に迷いこんでしまったよう。
キャラクターに手を振ったりモンスターに石を投げたりすることができ、この世界の一員になった気分になりました。
■フランスパビリオン
芸術と科学が融合した空間。サステナビリティやテクノロジーへのアプローチを、フランスらしい感性で発信する洗練された展示でした。
誰もが知る一流ブランドの歴史や新しいインスピレーションを感じる展示に。
樹齢1000年を超える長寿オリーブ「若さの樹 (Tree of Youth)」の展示も。不思議な力をもつ微生物が宿るこの木からも、フランスという国のパワーを感じるパビリオンでした。
■パソナグループパビリオン「PASONA NATUREVERSE」
「いのち、ありがとう」をコンセプトに、アトムの物語とIPS細胞技術などを融合し、さまざまな角度から命の未来に迫る空間。
いのちの象徴として、アンモナイトの「螺旋形状」を採用した建築デザインが夕暮れに映えてとても綺麗でした。建築は会期終了後に丁寧に解体され、再活用されるそう。
人間の持つ力の可能性、自然の力の偉大さ、進化のダイナミクスを表現する「生命進化の樹」。長い長い進化の積み重ねが未来へと繋がっていくイメージが浮かぶ作品。
このパビリオンの見どころのひとつである、人間と技術の共生を描く映像ショー。角柱型のディスプレイが自在に動き、斬新で見応えのあるコンテンツでした。
いかがでしたでしょうか?
丸一日歩き回ってもまだまだインスピレーションが湧いてくる....、万博はそんな場所だと感じました。「5回は行かないと回りきれない!」と言われるのも納得の、魅力的なコンテンツ満載の万博。ぜひまた訪れてみたいと思います。
最後におまけとして、いくつか万博会場の景色を。
歩いているとふと予期せぬ美しい瞬間に出会えるのも、この場所の醍醐味のひとつかもしれません。
※知財図鑑では万博の関連記事を多数掲載中。ぜひこちらもご覧ください。
https://chizaizukan.com/pickup/special/7z45mqvINKoGzG2FifYXVL
取材/文・丑田美奈子