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2026.01.31

レポート

森ビル×日テレが仕掛ける“新たな祭典”「TOKYO PROTOTYPE」レポート―先端技術が虎ノ門ヒルズに集結

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森ビル(TOKYO NODE LAB)と日本テレビが共催するクリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE」が、2026年1月29日に虎ノ門ヒルズで開幕しました。本イベントは、AIやロボティクス、アートなどの先端技術を街なかに解放し、都市を舞台にした新しい「祭り」の創出を目指す実験的な試みです。

会場には、世界的なアワードで評価されたプロジェクトから新鋭クリエイターによる意欲作まで、計26組のプロトタイプが集結。実際に触れて体験できる展示を通じ、未来の都市文化のあり方を提示しています。本記事では、熱気あふれる会場の様子や、特に注目を集めていた展示内容についてレポートします。


鎖に繋がれた犬のダイナミクス/藤堂高行

鎖に繋がれたロボット犬が、人に襲いかかろうと暴れ狂う姿を、安全圏から眺める作品

人に襲いかかろうとする自律ロボットを、鎖に拘束した不自由な状態で展示するインスタレーション作品。鑑賞者は、ロボットの攻撃が届かない安全な距離を保ちながら、その〈殺意の視線〉と対峙する。既にじゅうぶんな運動能力と殺傷力を有しながら、たった1本の〈倫理の鎖〉によってかろうじてコントロール下にある人工の猛獣は、それに睨み付けられる人間の目に〈生きた他者〉として映るだろうか。

MorphFlux/森田 崇文

MorphFlux は、磁性流体の形状と流れが相互に作用しながら絶えず変化する実体ディスプレイのキネティックイ ンスタレーションです。複数の液体ピクセルが干渉し合い、形や波が絶えず変化することで、一定の状態にとど まらない様子を生み出します。液体の流動的な振る舞いを通して、結びつきと切り離しが繰り返される関係性を 想起させるとともに、個々の境界を曖昧にしながら関係し合う、新たな表現のあり方を探ります。

宙に浮遊する魚が生み出す、超自然を体感/bit.studio

『FLOCK OF』は、私たちの先入観を揺さぶり、好奇心を呼び起こすことで、想像と現実の境界を新たに捉え直す体験へと誘います。作品が描き出すのは、輪郭のあいまいな世界。そこでは存在同士の交わりがひとつの光景となって立ち現れ、魚の群れが空へと舞い上がり、天空を泳ぐというシュルレアリスティックな変容が展開します。
宙を漂う魚たちは、新たな空の環境に身を委ねながら、群れとしての気配やまとまりを少しずつ、しかし確かに変えていきます。それは鳥の群れがかたちを変えながら飛ぶ姿にも重なり、水中の集合体が別の存在として生まれ変わる瞬間を象徴しています。本作は、自然界に潜むつながりや相互作用、そして異なる要素が影響し合い適応していく過程が、調和として結実することを静かに示します。

「Plurality of Life — 純粋な命と、多様な命」/ike-bana (池坊 / BAUMX / enigma)

蓮が象徴する清浄・純粋な命と、都市に脈動する多様で雑多ないのちの営み。

本作は、その二つの層が交差する領域を「光」と「視点の移り変わり」によって可視化し、いのちが持つ多元的・多層的な姿を体感的に捉えるインスタレーションです。鑑賞者は空間の中を移動しながら、個としての命と都市としての命のリズムが呼応するプロセスを体験化します。

本作は、既存のジャンルに収まらない新たな表現領域──「プレ・カテゴリー(pre-category)」を提示する祭典TOKYO PROTOTYPEにて展示されました。虎ノ門ヒルズステーションタワー49Fのインフィニティプールを舞台に、東京を借景とする特異なロケーションで、いけばなとテクノロジーを融合した実験的な実践哲学を試みました。伝統と都市、自然と人工、静謐と動勢といった複数のレイヤーを同時に成立させることで、「いのち」をめぐる新しい観察方法と鑑賞体験を創出しています。

Postrace/東京大学五十嵐研究室 / ソフトバンク株式会社 / Takram

「Postrace」は、ショーウィンドウなどでの使用を想定し、衣服を着用して様々なポーズをとることが出来るマネキンロボットです。展示プロトタイプでは、目の前の人の動きを真似するように動作します。
人が衣服を着用したのと同じような衣服の変形やしわ、人が服を着て行う様々なポージングを再現するため、人体の自然なシルエットがなるべく崩れない関節構造や、胴体のひねり、肩や骨盤の傾きなどを変化させられる構造になっているのが特徴です。

ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEM/Konel Inc. / NTT DX Partner Corporation

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パーソナルに眠りを持ち運べる新しい睡眠システム

「睡眠後進国 日本」 ──日本人の睡眠時間は、先進国を中心とした世界33カ国の中で最下位。未だに十分な睡眠時間を得られておらず、睡眠不足による経済的な損失は計り知れません。
オンライン化によって常に大量な情報に晒される現代人にとって、睡眠は世界と断絶できる唯一の時間。
私たちは個人の生体データをもとに最適化された音楽と照明によって、パーソナルに眠りを持ち運ぶことができる新しい睡眠システムを提案します。

ユニバーサルハプティクスデバイス"echorb"/株式会社ミライセンス

大阪・関西万博で話題となった「ふしぎな石ころ」。石が語りかけ、鼓動を響かせ未来をともにひらく

「響き」のリレーと未来への継承~万博で184日間、無数の人々の鼓動を受け取ってきたechorbは、その“響きの遺伝子“をもって、Tokyo Prototypeにやってきます。
それは単なるテクノロジーの“再利用“ではなく、記憶と共鳴の継承、そして未来への飛躍です。万博が未来の都市を描いたなら、Tokyo Prototypeでは“未来と文化が交差する場“として、響きによる人と人との共鳴の新しいカルチャーを定義します。

Brain Body Jockey Project & The Third Between Us/KMD Embodied Media | 慶應義塾大学大学院

ロボティクスによる身体拡張と聴触覚XRによる空間拡張が拓く「身体性メディア」の最前線

Brain Body Jockey projectでは、身体拡張技術を応用し、ALSなど身体的制約を抱える障害当事者と共に、日常・非日常を支援する技術開発と社会実践を行っています。The Third Between Us project では、空間音響と触覚フィードバックを通じて、見ることができない不可視のヒト・モノの存在感を複数人で共有する体験を展示します。

IDEATIONS Vol.4 Satellite/D2C IMG SRC STUDIO × SoVeC

XRと生成AIを駆使し、現実と仮想の境界を融合させ知覚をアップデートする感覚拡張展示

IMG SRC STUDIOの自社展示「IDEATIONS」を「Satellite」としてTOKYO PROTOTYPEに展開。さらにSoVeC社と協業し、最新技術を応用した作品を制作。XRと感覚刺激による現実と仮想が相互接続する体験、生成AIと知覚的統合による多層的なXR共有体験、そしてユーザーデータや環境をサンプリングし即座にDJミックス可能な感覚拡張型コンテンツを出展します。
技術協力 : ソニー株式会社 技術開発研究所

TORIHADA/3 AND PROGRAM

未来、魂はアバターへ。TORIHADAは感情を毛先に映す孤独な星、今もなお静かにあなたをずっと探す

いまは未来。AIが灯した新しい光の中で、人は働くことを忘れ、愛するものに身をゆだねる。肉体は書き換えられ、感覚は衣のようにまとわれ、魂はアバターに宿る。TORIHADA――それは感情を毛先に映す小さな星。鋭く世界に触れ、静かに孤独を抱く。そして今、新たな心の温もりを探している。その手は、あなたのものだろうか。
テクノロジー: Alexander Reeder / デザイン・映像: Yusuke Murakami / ファッションデザイン: Hiromi Murao / 音: HAL ca / プログラミング: Kato Yuya

Core Shell Lounge/130 onethirty | MagnaRecta.inc

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恒星Helioと空のシェルが同居する、コアと身体の境界を探る小さな静かなラウンジ

デザイナー: 加藤大直
中央に置かれたランプ《Helio》は、多層のグリッド構造からなる“コア(核)”として設計されています。その周囲を取り囲むのは、外装一層だけでかたちづくられた人型のマネキンたち──中身を欠いた“シェル(殻)”です。
Helioは光を放つランプですが、恒星を模したその光に、人は自然と求めていく様を表現しています。
放射状に広がるHelioのグリッドと、薄いシェル構造の人型との対比を通じて、「どこまでが家具で、どこからが身体なのか」「コアとシェルはどちらが主役なのか」という問いの小さなラウンジです。

氷塊のなかに、怪物を求める。/I.CEBERG | WOW

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5名のメゾンによる主要作品と、その制作過程で生まれた個々の物語を組み合わせ、思考の内部をのぞき込むような体験を構成

本展では、5名のメゾンによる主要作品と、その制作過程で生まれた個々の物語を組み合わせ、思考の内部をのぞき込むような体験を構成します。来場者は、怪物に向き合うメゾンの旅路を追体験しながら、いつのまにか自身の内側に潜む怪物と向き合うことになるでしょう。

空間の未来をプロトタイプする/乃村工藝社 未来創造研究所 NOMLAB

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空間の可能性を模索する「感情」「音」「植物」「3Dセラミック」の4つのプロトタイプを展示

NOMLABでは、依頼を受けてから考え始めるのではなく、自ら想像し、これからの空間のアイデアを育てています。
今回は、4つのプロトタイプの展示を行います。

emograf:感情で人と空間をつなぐ
小さな電気でできること:自然由来の小さな電気で植物と人と空間をつなぐ
Sound Seek:音で人と空間をつなぐ
Generative Tile:陶器とデジタルファブリケーションで空間の未来を描く

100+ prototypes/HAKUTEN

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プロジェクトの過程で生まれた試作をアーカイブし、創造の循環を生み出すことを目指した取り組みを展示

「100+ prototypes」とは、プロジェクトの過程で生まれた試作(プロトタイプ)をアーカイブし、創造の循環を生み出すことを目的としたHAKUTENの自主活動です。完成には至らなかった断片にも、試行錯誤の跡やひらめきの種が宿っています。それらを捨てずに蓄積・共有することで、別の誰かの新たな発想に繋げることを目指しています。
本展示ではその一部を公開すると同時に、100+ prototypesを起点に実装されたプロジェクトや共創の成果物を展示します。
共創展示技術提供:Sony Corporation

Material Experience Design/xlab (筧康明研究室)| 東京大学

素材の特性や振る舞いにテクノロジーを交差させ、質感を通してナラティブを探究する複数の作品を展示

Braided Crawlies
西原 由実+筧 康明 協力: 株式会社ZOZO NEXT
Living Lens
大平 麻以+森田 崇文+筧 康明
CryoScapes
李 佳宝 + 江 子淵 + ウ クアンジュウ + 筧 康明
Helixels
香川 舞衣 + 今村 友美 + 筧 康明


「TOKYO PROTOTYPE」は、2026年1月31日(土)まで虎ノ門ヒルズで開催されています。画面越しに見るだけでは伝わらない、ロボティクスの動き、AIとの対話、そして街全体が実験場となっている独特の空気感。ここで生まれた数々のプロトタイプが、今後どのような形で社会に実装されていくのか。ぜひ会場へ足を運び、五感で「少し先の未来」を体験してみてください。

開催概要

イベント名:TOKYO PROTOTYPE(東京プロトタイプ)

会場:虎ノ門ヒルズおよびTOKYO NODE(東京都港区)

開催期間:2026年1月29日(木)〜1月31日(土)

出展者数:計26組(企業・クリエイター・研究機関など)

主催:森ビル株式会社、TOKYO NODE LAB、日本テレビ放送網株式会社

公式サイトhttps://tokyoprototype.jp

プレスリリースはこちら

イベント詳細(PDF)

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