No.092
2020.05.26
指紋、静脈、脈波を同時取得する世界初のセンサー
極薄シート型イメージセンサー
概要
極薄シート型イメージセンサーは、生体認証に用いられる指紋や静脈、バイタルサインの1つである脈波を測定する1枚のシート型イメージセンサー。生体情報と生体信号を同時に取得することができるため、安全性の高い認証システムを構築することができる。また、シート自体が薄型で曲がるためウェアラブル機器への組み込みが容易で、ユーザーの生体認証と同時に健康状態を計測・紐づけることやなりすましの防止など、セキュリティを求められる場面での活用が期待されている。
なにがすごいのか?
世界で初めて、1枚のシート型イメージセンサーで指紋、静脈、脈波の3つを同時測定
わずか15マイクロメートル(0.015ミリメートル)の薄さを実現
高解像度と高速読み出しを両立
なぜ生まれたのか?
日本社会の超高齢化が急速に進む中、高騰する医療費を抑制しつつ、いかにしてQuality of Life(QoL)を高めるかが喫緊の課題となっている。この課題の解決に向けて、ウェアラブルデバイスといった新技術による生体情報の取得とその活用への期待が高まっている一方、多くのウェアラブル機器が病院や福祉施設で利用される際の患者の取り違えなどのリスクを低減する必要が発生する。そのため、ユーザーの生体認証と同時にバイタルサインを計測することが急務の課題となっていた。
従来のシート型イメージセンサーでは、高解像度撮像と高速読み出しの両立は実現できなかったが、極薄シート型イメージセンサーでは、高効率の有機半導体を感光層にした光検出器と低温ポリシリコン薄膜トランジスタのアクティブマトリックスを用いた高速の読み出し回路を高密度に集積して作製されているため、1枚のシート型イメージセンサーで、静的な生体認証データと動的なバイタルサインを計測することが可能。指先をかざして情報を読み取る据え置き型と、手首などに貼り付けるウェアラブルとして活用できるフィルム型が発表された。
なぜできるのか?
指紋、静脈、脈波の3つを同時に測定
高感度な有機光検出器と高移動度の低温ポリシリコン薄膜トランジスタとを集積化することで、高解像度と高速読み出しを両立している。その結果、高解像度が必要な生体認証向けの指紋や静脈の撮像と、高速読み出しが必要な脈波の分布計測を3つのイメージセンサーで計測可能。
極薄で超軽量なデザイン
わずか15マイクロメートル(0.015ミリメートル)と極薄なデザイン。手首などに貼り付けるフィルム型タイプは装着感がなく気軽に身に着けられるので、子供から大人までシーンを選ばず幅広く利用できる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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