No.138
2020.04.23
距離を超えて「声」と「想い」を届ける腕輪
CHEERPHONE(チアホン)
概要
CHEERPHONE(チアホン)は、マイクを内蔵する親機とスピーカー・LEDを内蔵する子機から構成される腕輪型のIoTデバイス。親機にて入力された音声が離れている子機へ届けられ、発光しながら音声を再生する。主にスポーツ観戦シーンでの利用を想定されており、距離を超えて「声」と「想い」を届ける新しい応援の形を提案している。「無観客試合」の状況においても、スタジアム内にCHEERPHONEを多数設置することで、ファンからの応援を届けることも期待されている。
なにがすごいのか?
自宅からスタジアムに声を直接届けられる
スタジアム側ではLEDが光ることで選手が遠隔地からの応援に勇気付けられる
専用アプリにより、子機を託したい相手をマッチングできる
なぜ生まれたのか?
スポーツ観戦の形は、ラジオからテレビへ、そしてスマートフォンへと時代とともに進化し、会場に居なくてもリアルタイムで試合を見られるようになった。会場で「想い」を声にのせて応援することはアスリートへの後押しとなるものの、離れた場所からの観戦では、どんなに大きな声を挙げても会場へ「想い」を届けることが出来ない。
また、かつての日本では全国から伊勢神宮にお参りをする「お伊勢参り」の文化があり、遠方から伊勢へ行くことは時間と費用がかかるため、代表者が伊勢に行き、「想い」を託された者は皆を想ってお祈りをしていた。「CHEERPHONE」は、日本の人と人を紡ぎ、「想い」を託す文化を取り入れ、離れていても「想い」が届く新しい応援の形の提案として開発された。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
リモート第九
年の瀬になると各地でコンサートが行われる、“第九”ことベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調作品125・合唱付き。中でも「歓喜の歌」と呼ばれる終盤の大合唱は、壮大な構成と希望に満ちたメロディで、世界で歌い継がれている名曲である。しかし奇しくも2020年に起こったCOVID-19パンデミックによって、この年末の風物詩も軒並み中止となってしまった。そんな時でも、この「CHEERPHONE」を活用すれば、一箇所に集まらずとも大合唱が可能なのではないか?というアイディアが「リモート第九」である。
合唱に参加する歌い手たちはそれぞれの場所で歌い、コンサートホールのステージに並べられた「CHEERPHONE」の子機からその歌声を流せば、飛沫感染の心配もなくあの感動の大曲を演奏することができる。音楽の聴き方・参加の仕方の新しい形として、実現を期待したい。
なぜできるのか?
専用アプリを通じて子機を託す人とマッチング
CHEERPHONEは、スタジアムなどの会場に行けない人が専用アプリを通じて子機を託す人を探し、マッチングした相手に子機を預けるシステム。託された人が会場に子機を持っていくことで、自宅などの離れた場所からでも親機を使って声を届けることができる。
親機を持つ人と連動するスピーカーやLED
声や腕を振る振動が親機から子機へと伝わり、会場に設置されているスピーカーやLEDで応援の熱量が表現される。
相性のいい産業分野
- スポーツ
アウェーゲームなど現地に観戦に行くことが難しい場合、離れた場所からチームに声援を送れる
- メディア・コミュニケーション
離れて暮らす家族や友人に対して、励ましや慰めなどの言葉を伝える
- 教育・人材
リモートワークでコミュニケーションが激減した部下を叱咤激励して作業効率アップ
- アート・エンターテインメント
一年に一度だけ応援団から一挙手一投足を賞賛してもらえるサービス「CHEER-HOYA(チヤホヤ)」
- 官公庁・自治体
選挙演説に対して何処からでも密にならない形でリアクションできる「ニューノーマル選挙演説」
- 生活・文化
新型コロナウイルス流行を受けて帰省の難しい場合でも、離れた場所からお参りできる「帰省せずにお墓参り」
この知財の情報・出典
CHEERPHONEは自己拡張(Augmentation)をテーマとした研究開発組織「Aug Lab」のプロジェクトとして制作されました。
詳しくはAug Labの公式サイトをご参照ください。