No.165
2020.07.03
SNSにおける誹謗中傷の実態を見える化
Mention Analyzer(リプライユーザ可視化システム)
概要
Mention Analyzerは、Twitter上で多数のメンションやリプライを送ってくるアカウントがどのようなアカウントなのかを可視化するアプリ。一見して社会全体からの攻撃のように思われがちなTwitterでの炎上・誹謗中傷における実態を正確に認識できる。従来、個人レベルでの炎上は規模が小さく攻撃の実態が見えにくい問題があったが、Mention Analyzerを使えば、ネガティブ思考やバイアスに囚われることなく実態を客観的に俯瞰し、ロジカルに自身の置かれた状況を判断できる。
なにがすごいのか?
炎上参加者の属性や人数を統計処理・分析
炎上や誹謗中傷が実は少数のものからだと客観的に認識可能
全体像を把握しやすいデータ・ビジュアライゼーション
なぜ生まれたのか?
人々が一団となって段階的に押し流されてしまう社会現象(サイバーカスケード)において、特定の個人が不特定かつ非常に多数の者から集中攻撃を受けるという事態、いわゆる「炎上」といった危険性が指摘されている。炎上の研究について、従来は定性的な研究が多かったが、近年のビッグデータ整備拡充や情報利用技術の普及によって、計算社会科学や定量経済学などの専門家らによる定量的な研究が盛んになった。特に、山口真一氏(国際大学)らは、炎上の実態と炎上加担者属性の検証において、炎上に加担する人は1.5%程度しかいないことを指摘した。
ソーシャルネットワーク上でのデマの伝播といった、集団レベルでの比較的規模の大きい炎上の研究を行っていた鳥海不二夫氏はこの成果を受け、個人レベルでの規模の小さい炎上について、誹謗中傷が全体から見ればごくわずかな人々の手によるものだということを分かりやすく可視化することを目標にMention Analyzerを開発した。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
若年者自殺防止アプリ
2020年5月、女子プロレスラーの木村花氏の自殺という傷ましい事件が話題となった。弱冠22歳というあまりにも早すぎる彼女の死はSNS上での誹謗中傷によるものだったと言われている。このようにSNSは時にユーザーを、特に自己防衛の手段を知らない若年者を殺す凶器となりうる。
ところが、こういったネットいじめなどのSNS利用におけるリスクは、個人レベルで密やかに忍び寄るものであり、本人や周囲の人間が予兆を検知して対策をとることは難しい。もし、リスクを事前に検出しユーザー自身に気づきを与えるシステムがあれば、若年者が自ら命を絶つような事態を抑制できるだろう。
「リプライユーザ可視化システム」を組み込んだ「若年者自殺防止アプリ」は、そのような事態に役立つ可能性がある。多くの若年者が所有するスマートフォンアプリとして簡単にダウンロードできれば、自身のツイートに対する悪意のあるリプライや攻撃的なユーザーの分析結果から自身の置かれた状況を客観的に俯瞰することができ、ネガティブ思考や閉塞した感情を打破することにつながるかもしれない。分析結果は保存できるため、権利侵害の開示請求など、いざという時の誹謗中傷の証拠としての一助にもなるだろう。
なぜできるのか?
データ・ビジュアライゼーション
CanvasJSによるレスポンシブルなグラフの高速生成や、D3-cloudによるテキストマイニング集計結果のグラフィカルな表示が可能。
リプライの統計指標及びリプライを送ったユーザーの特徴量の表示
以下の情報が表示される。リプライ総数、リプライアカウント数、フォロワー比、ついったらー比、日本人口比、Gini係数、平均リプライ数/日、分析期間、リプライ数分布、リプライした人の特徴、リプライされた時間、リプライ上位アカウント
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
ソーシャルメディアにおける誹謗中傷など反社会的行動の原因解明と対策
いわゆるバイトテロのリスクを認識するための「データドリヴンSNS炎上対策ガイドライン」
- 生活・文化
新型コロナ禍における感情分析や、災害時フェイクニュースツイートのアラートシステム
- 教育・人材
炎上事例へのリプライ情報を元にした、SNS活用アドバイスや他者とのコミュニケーション教育
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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