No.168
2020.07.21
培養肉からコスメまで。低コスト細胞農業技術
CulNet System(カルネットシステム)
概要
CulNet Systemは、汎用性の高い低コスト細胞培養プラットフォーム技術で、動物細胞で構成される食品や皮革をはじめ、様々な分野の活用を視野に入れた知財である。従来より肉などにおいて細胞培養の技術は存在していたものの、細胞の培養に必須な培養液のコストが高くなかなか商用化が進まなかったが、この知財では人間の体内システムに似た環境を構築することでコストダウンを実現。商用化や多分野応用への道が現実的になっている。
なにがすごいのか?
体内に似た環境を構築することで、細胞培養コストを大幅ダウン
コスメや健康食品・皮革など、多分野で幅広く応用が可能
細胞農業の商用化サポートや共同技術開発などで知財をプラットフォーム化
なぜ生まれたのか?
食肉や魚介類などのタンパク源や、皮革などの生物由来素材は、環境負荷の大きさ、持続可能性やアニマルウェルフェアなどについてグローバルで課題となっている。また、プラセンタ、スクアレン、レバニン、脂質成分などの機能性物質も、動物から抽出されるため、同様の状況である。
これらの解決策の一つが細胞培養(細胞農業)であり、そのための安価な細胞培養を可能にするため、インテグリカルチャー社により独自開発の低コスト細胞培養技術「CulNet System」が開発された。動物細胞で構成される食品、皮革をはじめ、様々な分野での活用を目指し、その先に食料自給率改善(食料安全保障問題への一助)やSDGs達成を見据える。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
絶滅生物種レストラン
1968年、グアム島でひとつの生物種が死に絶えた。グアムオオコオモリと呼ばれたその生物種は、乱獲を受けて個体数を減らし、世界中の美食家たちによってとうとう“食べ尽くされて”しまった。絶滅したグアムオオコオモリが再び存続の道を歩むことはなかった。
「絶滅生物種レストラン」は、絶滅した生物を使った料理を食べる体験を通じて、生物多様性の保全を目標の一部に掲げたSDGs達成のために人類がすべきことを考えるきっかけを与える料理店である。古生物データベースの系統解析・タンパク質構造予測と、細胞培養技術「CulNet System(カルネットシステム)」を組み合わせることで、マンモスや恐竜といった絶滅生物種に近いと想定される生体組織・味を再現する。なぜ絶滅に至ったかを理解するための絵や映像を鑑賞しながらゆっくりと味わうことで、自身が関与しておらずともあたかも追体験するかのような錯覚に陥るかもしれない。
この珍しいレストランに足を運んだ際には是非、食を通じて学び、自身と他の生物種とを関係づける座標軸をあらためて引いてみてほしい。
なぜできるのか?
コストダウンを実現する独自の培養法
体内では臓器間相互作用(臓器が出す有用因子が血管を通って他の臓器に届き、影響を与え合う機能)が構築されているため、効率よく安価に細胞の成長などを促すことができる。この効率的かつ自然発生的な体内システムに学び、CulNet Systemでは似たシステムを構築する事で、一般的な培養法では突破し得なかった大幅なコストダウンを可能にした。
多分野で幅広く応用が可能
この知財は細胞培養の技術であり、動物細胞で構成される食品、皮革をはじめ、様々な分野で展開することが可能である。
技術をインフラ化し、細胞培養の普及を目指す取組み
CulNet Systemを細胞培養の基本インフラとして提供し、細胞培養が国内外に広く普及することを目指す構想、「Uni-CulNet(ユニ カルネット)」を推進している。具体的には、個別企業との細胞農業商用化ソリューションや、同技術の共同技術開発ソリューションとして社外の団体と連携した組織を作る取組みを行う。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。