No.171
2020.08.19
人間の手を借りず自ら進化するAI
AutoML-Zero(オートエムエル・ゼロ)
概要
AutoML(Automated Machine Learning)-Zeroは、高校生が知っているような基本的な数学だけを使い、人間からの入力は実質ゼロで機械学習モデルの自動生成を行うシステム。ランダムな初期プログラムまたは白紙の状態から生成するため、人間による先入観を排除し、設計の負担を減少・効率化させることができる。将来的には、数理演算の種類を増やし、計算リソースをプログラムに割り当てることで、人間の思いつかないような高度で斬新な学習アルゴリズムを生成しうると期待されている。
なにがすごいのか?
人間の介在によるバイアスを限りなく減らした、モデル設計・構築の自動化システム
高校数学レベルの基本的な数理演算だけで学習アルゴリズムを記述
適者生存などのダーウィン進化論を借用した新規手法
なぜ生まれたのか?
Googleは長年、機械学習の知識を持たない初心者が学習モデルを実装できるシステム(AutoML)の開発に力を注いできた。AutoMLは、データ前処理・モデル検証などのプロセスや、最適な学習アルゴリズムの構築を自動化できるが、アルゴリズム構築のいくつかの場面では例外的に専門家の知識が必要であったり、モデルの探索空間が限定されたりする問題があり、これらが初心者にとって大きな壁となっていた。スタンフォード大学のLe氏率いるGoogleのエンジニアチームは、探索空間における人間の介在バイアスに引っ張られない新しいフレームワークを導入することで、これらの課題の解決を試みた。
なぜできるのか?
進化的アルゴリズム
高校数学レベルの簡単な変換の最適な組み合わせを進化的アルゴリズムで探索させる。進化的アルゴリズムは、次のようなアルゴリズムである。
1. 緩い近似を利用して初期アルゴリズムを構築し、数理演算をランダムに組み合わせることで、100個の候補アルゴリズムの母集団を生成する。
2. これらのアルゴリズムに画像認識の簡単なタスク(画像に猫が写っているかトラックが写っているかの判定など)を解かせ、性能の良いトップパフォーマーと、その一部を置換・編集・削除した突然変異アルゴリズムを保存し、それ以外のものを削除する。
3. 保存したものを新しい母集団に加え、同じ処理を最適なアルゴリズムに到達するまで繰り返す。
ここで、システムは母集団を一度に何千も作成し、1秒間に何万ものアルゴリズムを処理する。これにより、人の介在によるバイアスを減らすことができ、バックプロパゲーションによって訓練されたニューラルネットワークを発見することも可能となる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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