No.221

2020.12.18

ナノサイズのスマイルマークや世界地図を描くDNA

DNA Origami(DNA折り紙)

DNA Origami

概要

「DNA折り紙」は、DNA鎖を折り紙のように折り畳むことで(*1)極小サイズの形状・パターンを作る技術。配列デザインしたウイルスの長い一本鎖DNAに短いDNA鎖を混ぜ合わせると、数時間で二次元・三次元の複雑なナノ構造体が自然と出来上がる(自己組織化)。「DNA折り紙」は格子構造作製法(*2)と呼ばれる既存手法をベースにしているが、より複雑で綺麗な構造体を作ることができ、特定の「足場」を持つDNA鎖に好みの機能を与えられる。ナノ分子の構造・機能を思いのままにアレンジできる手段として、ロボティクスや医療分野など幅広い分野へ応用される可能性を秘めている。

(*1) 2006年の開発当時こそ「折り紙」と名付けられたものの、開発者のRothemund氏自身は後になってこの命名に納得していないという。実際に、「DNA折り紙」の原理は「折り紙を折り畳む」というよりは「タテとヨコの糸を編み込む」つまり、織物を作る操作に近いとされる。

(*2) 「DNA折り紙」のような研究開発分野は「DNAナノテクノロジー」と呼ばれるが、この分野における先駆的発見として、Nadrian C. Seeman氏による「格子構造作製法」(1982年)が知られている。

undefined 地図、雪の結晶、二重らせんの上に表示された「DNA」の文字。 (3枚目の画像では螺旋が連続して見えるように折り紙を2枚貼り合わせている。) (右側の最初の「DNA」の左側の「D」のように、時々エラーが発生することもある。)

なぜできるのか?

複雑なDNAナノ構造が得られる「ワンポット法」

ウイルスの持つ7,000塩基ほどの長い一本鎖DNAを足場(スキャフォールド)として、200本以上の短いDNA鎖(オリゴヌクレオチド)を相補的に結合させることで(ラスター充填)、長い鎖を所望の形状・構造に折り畳んでいく(所定の各位置で折る、ステープル)。混合・加熱冷却(アニーリング)すると足場の長い鎖とステープルの短い鎖が自己組織化するため、大陸の地図や雪の結晶、構造体表面の文字・画像のような複雑なパターンをナノスケールで作ることができる。

プログラミング言語との類似性

個々のDNA構造をプログラムする(デザインを設計する)ことで、より大きく複雑な集合体を形成することもできる。Rothemund氏は「DNA折り紙」の自己組織化技術を応用することで、“分子のためのプログラミング言語”を作りたいと語っている。現在、既にプログラミング用ソフトウェアが登場しており、中でもハーバード大学のShawn Douglas氏の開発した「caDNAno」が、扱いやすいグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を備えていることから、DNA折り紙デザインのスタンダードとなっている。

相性のいい産業分野

医療・福祉
  • 薬剤を標的組織・細胞へピンポイントに届けるドラッグデリバリーシステム用ナノカプセルの開発

  • DNA折り紙で特定のDNAやタンパク質を検出できる「分子センシングチップ」

AI

機能を付与したナノ構造体によって、標的タンパク質の立体構造変化をスイッチング

アート・エンターテインメント

DNA折り紙で描くバイオアート「DNAモナ・リザ」

この知財の情報・出典

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