No.236
2020.12.25
感染症リスクを下げる、蚊が逃げ出す肌
低粘度シリコーンオイルによる蚊よけ技術
概要
この技術は、肌上に低粘度のシリコーンオイルを塗布することで、蚊が肌にとどまって吸血するのを防ぐ技術である。今までの虫除け剤は、蚊の感知能力を撹乱して吸血行動を阻止するものが主流だった。一方で低粘度シリコーンオイルによる蚊よけ技術は、蚊の着地面である人間の肌に着目。撥水性の高い蚊の脚にも濡れ広がる低粘度のシリコーンオイル「low-viscosity polydimethylsiloxane; L-PDMS」を肌に塗ることで、蚊が肌に留まりにくくする。地球温暖化の影響で蚊の生息密度がで増加しつつある蚊媒介感染症を予防する有効な手段になると期待される。
なぜ生まれたのか?
近年、地球温暖化や交通網の発達に伴う蚊の生息域拡大により、蚊を媒介とする感染症が劇的に増加している。病原体を保有するヤブ蚊に刺されることで感染するデング熱には、世界中で毎年3億9千万人が感染していると推定されており、さらに世界の人口の4割が感染リスクのある地区で生活しているとされる。ところが現在は、安全で有効なワクチンや治療法が確立しておらず、対症療法が中心なため、感染を防ぐには、蚊に刺されないことがとても重要となる。そのため、蚊に刺されないための新たな手法としてこの技術が開発された。(花王株式会社プレスリリースより)
なぜできるのか?
蚊の脚の構造を利用
蚊が嫌う表面を調べた結果、親水性が低いオイルを塗布した表面からは即座に飛び立つことを明らかにした。さらに蚊の脚の微細構造に注目し、撥水性のある脚でも下方へ引き込み(蚊の逃避を促すような)液体の条件を導き出した。
液体による濡れ性の違いを比較
液体同士で蚊の脚の引き込みやすさを比較したところ、低粘度のシリコーンオイルやカバの分泌液ではその効果が高いことがわかった。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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